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雲雀恭弥


夏の蒸し暑さも少しずつ去り居心地の良い風が吹くようになった今日この頃。ツナ達は染み染みと秋の訪れを感じつつ屋上で昼食を食べていた。


「もー秋か〜。夏休みもあっという間に終わって何かさみしーなー」
「補修ばっかだったしな」
「でも秋は気持ちいいよね」
「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」


栗もうまいぞ、と背後から声がした途端ツナの肩に毬栗が命中した。そのチクチクと刺さるような痛みでツナは声を上げる。


「いだ!いだだ!リボーンだな!い"っ」
「ちゃおっス」


振り返るとリボーンは毬栗のコスプレを見に纏いその針はツナの体に刺さっていた。このコスプレは秋の隠密用カモフラージュスーツらしいがこれでは全ての人が目を引き振り返るだろう。


「ファミリーのアジトを作るぞ」
「はぁ!?」


毎度毎度のリボーンの突拍子の無い発言に驚かされるばかりのツナ。しかしこれも毎度お馴染のことだが何故かツナ以外のメンバーはいつも乗り気なのだ。


「へー。面白そうだな。秘密基地か」
「うん!アジトがあった方が楽しいし」
「子供かテメェらは!アジトいーじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「ちょっ、まっ」
「決まりだな」


マフィアのようにアジトを作るなんて冗談じゃない。ツナは心の中で全力で拒否をするがツナの心を理解してくれる者は誰1人いなかった。


「どこに作るんだ?裏山か?」
「それとも公園とか?」
「なわけねーだろ!!」
「学校の応接室だ」
「「「!?」」」


“応接室”という単語を聞いて舞は今朝、花と京子から聞いた話を思い出した。この並盛中で絶対的な存在であるのが風紀委員だということはほとんどの生徒が知っていること。その風紀委員が応接室を拠点とすることになったと聞かされたのだ。


「応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴らしもいいし立地条件は最高だぞ」
「まずは机の配置変えからだな」
「俺10代目から見て右手の席な」
「(まっ、まじで〜!!?)」


揃って応接室へと向かう3人を見てリボーンの思惑に気付いた舞は引き止めようと声を発する。


「あ、待って!応接室には…風、!」


だが言い終わる前に舞は意識を飛ばし倒れてしまった。リボーンが舞の首に手刀を浴びせたのだ。バタリと倒れる音にツナ達は気づき振り返る。


「え!?舞ちゃん!!?」
「舞っ!」
「チビ女!?」


慌てて3人で舞に駆け寄り様子を伺う。舞は顔色も悪くなく規則正しい息の音が聞こえたのでツナ達は一先ず無事なことに安心をした。


「どうやら舞は睡眠不足らしいぞ。応接室で休ませてやれ」
「じゃあ、俺が連れてくぜ」
「ケッ、10代目を困らせやがって手のかかる奴だぜ」
「……!」


山本は意識の無い舞を背負いあまりの軽さに驚愕する。いつも獄寺と対等に言い合いツナの役に立つため日々努力している彼女。しかし本来の彼女は自分達よりも遥かに小柄。その小さな体で多くの人から頼りにされていると考えると背中から感じる暖かさが何故か愛しく感じられた。


「(手ならいつでも貸してやるんだけどな)」


彼女の役に立って彼女の笑顔を独り占めしたい。微かに芽生えた新たな感情に山本自身もまだ気づかない。だが宝物を壊さないように山本は優しく舞の体を背中で受け止めた。



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