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「そーいえばハルと言ったな。俺はツナから離れられないんだ」
「ほえ?」


舞との話に夢中になっていたハルだが愛しのリボーンから話しかけられたことで視線をリボーンへと移した。


「ツナをマフィアのボスに育てるのが俺の仕事だからな」


その刹那、ツナの左頬にはハルの拳がめり込んだ。この状況をもし獄寺が見ようものなら今すぐにでもハルをダイナマイトで果たしているだろう。


「なにがマフィアですか!不良の遊びにもほどがあります!リボーンちゃんの自由まで奪って」
「(じょ…女子にぐーで殴られたー!)」


リボーンをギュッとしたい気持ちを堪え私がリボーンを守らなくては、とハルは妙な決心をし表情を険しくさせツナを睨んだ。


「(なんか恨まれてるーー)」


そのあまりにも恐ろしい形相にツナは後ずさる。そして、ハルは表情を変え笑顔を舞に見せると手を振り別れを告げた。


「またね」
「あ、うん。またね」
「(何なんだこの女…!)」


歩く後ろ姿からも執念の様なものが感じられるハルを見てリボーンは何故だか意味ありげにほくそ笑んだのだった。



▽ ▲ ▽



ガシャン、ガシャン。ハルという不思議な少女に出会った次の日。灼熱の太陽の陽が降り注ぐ中、異様な音が耳に入った。何の音だろう。ツナと舞は音が鳴る方へとキョロキョロと周りを見渡し、瞳に映り込んだものに思わず顔をギョッとさせた。


「おはよーございます」
「あんた何ー!!?」


ツナが叫ぶのも無理は無い。ツナ達の前に姿を現したハルは顔色を悪くしながら何故かこの真夏日に鉄甲冑を身に纏っていたのだ。


「昨夜、頭がぐるぐるしちゃって眠れなかったハルですよ」
「寝不足は身体に悪いよ」
「寝不足だとそーゆう格好しちゃうわけ!!?」
「ちがいますーっ。それじゃ私がおバカですよ。それと舞ちゃんはお気遣いありがとうです!」


リボーンが本物の殺し屋なら本物のマフィアのボスになるツナはとっても強いはずだろう。ツナが強かったらリボーンの言ったことも信じるし、リボーンの生き方にも文句は言わない。ハルはツナに自分の考えを告げると片手にホッケーのラケット、頭にはヘルメットを被り呟いた。


「お手合わせ願います!」
「んなー!!?」
「あちょー!」
「ま、待って!ハルちゃん」


妙な叫び声と共にハルはツナ目掛けてラケットを思い切り振り翳す。舞も止めようと試みるがヘルメットの所為なのか音が聞こえにくくなっているハルの耳には舞の言葉は届かなかった。ブンと勢いをつけて振り回されるラケットにツナは必死で避け続けた。


「俺はマフィアのボスなんかにはならないんだって!」
「じゃあやっぱりリボーンちゃんをもてあそんでるんですね!」
「そーじゃなくて…!」


どうやらハルの耳には標的であるツナの声しか届かないらしい。こうなったら強行手段を取るしかない。ハルは友達である前に女の子であるから手を出したくはなかった舞だがこれ以上ツナの危機に黙っているわけにはいかないと懐にあるヌンチャクに手を伸ばしたその時だった。


「10代目さがって下さい!」
「え?ごっ獄寺君…!!」
「獄寺!」
「へ?」


流石ツナの自称右腕。忠犬とでも言うべきだろうか。ツナの危険を察知したのか獄寺がハルの前に立ちはだかりダイナマイトに火を灯した。


「獄寺ストップ!」
「果てろ」


舞の声などお構い無しに彼は空へとソレを投げた。獄寺の言葉と共に舞い上がる幾つものダイナマイト。それは真っ直ぐとハルの方へと向かっていっている。


「あれ?ドカーンってやつですねー」


悠長な感想を述べているハルだが少したってその危険の重大さに気づいた。だが既に時遅し。ダイナマイトが爆発をするとハルの体は宙を浮き、そのまま真っ逆様に川へと落ちてしまったのだ。ザボーンとものすごい水しぶきが川から飛び散る。


「あ〜〜〜あ。落ちちゃったよ!」
「これでもう大丈夫です」
「ハ、ハルちゃんっ!」


落ちてしまったハルをツナ達は上から見下ろす。川は其処まで深いものではない。泳げばすぐに岸へ辿り着く事ができるが不幸な事にハル纏っていた鉄甲冑がハルの自由を奪い泳ぐことを許さなかった。


「助け…ゴボッ。助けてぇーっ!」


バシャバシャともがきながら助けを求めるハルに只事ではないと瞬時に理解したツナと舞は慌て、ハルを川へと落とした当の本人はタバコを吸いながら首を傾げる。


「や…やばいよ!」
「ど、どうしよ。ハルちゃんが…」
「ん?」
「助けてやる」
「リボーン!」


どうすればハルを助けられるか。助ける方法を頭の中で張り巡らせていた時に声を発したのは今まで姿を見せなかったリボーンであった。リボーンは嫌がるツナへと銃口を向けいつものように撃ち抜く。撃たれたツナは迷う事なく重力に従うようにハルの元へと川へ飛び込んだ。


「死ぬ気でハルを救う!!!」
「はひ!?」
「俺につかまれーーっ!!!」


見事にハルはツナによって救出され怪我することなく岸へと上がることができた。その光景にリボーンは密かにニッと笑みを浮かべた。



▽ ▲ ▽



「ありがとーございました…」


頭からタオルを被り顔を俯かせながら三角座りをするハル。その横で心配するように舞は彼女の背中を優しくさすった。


「ったく反省してんのか?10代目にもしものことがあったら、おめーこの世に存在しねーんだからな」
「元はと言えば獄寺の所為なのに…」
「なっ!テメェは黙ってろ!チビ女!」
「チビチビって、あたしは其処までチビじゃないっての。平均が高すぎるだけだし」


小さく呟いた筈だが耳の良い獄寺には聞こえてしまったようだ。その後も横を見ながらボソボソ言葉を紡ぎ口を尖らせた。


「………プ」


今まで表情も見せなかったハルがいきなり吹き出して笑った。そのことにこの場にいる全員がハルへと視線を向ける。


「死ぬ気でハルを救う!俺につかまれーっ」


ハルはいきなり立ち上がりツナが先ほど吐いた台詞を大声で叫んだ。大袈裟にポーズをつけながら何度も叫ぶハルにその台詞を言った本人であるツナは恥ずかしさから顔が真っ赤になり、止めてくれ!と汗を飛ばしながら言った。


「すごく…ステキでしたよ。リボーンちゃんの代わりに飛び込んでくれた10・代・目」
「な!!」


ハルは頬を紅潮させながらうっとりとした瞳でツナを見つめた。その表情はまるで恋する乙女のように可愛らしい。


「ハルはツナさんに惚れたもようです」
「んな"ーー!」
「(なんだこのアホ女…)」
「(恋してるハルちゃん可愛いっ」


甘い言葉を囁きながらツナを追いかけるハル。勿論、ツナは足を速め逃げている。そんな2人の追いかけっこを獄寺は呆然としながら、舞は楽しそうに目を細めながら眺めていた。太陽の光が反射してキラキラと光る川の水は暑さを忘れさせるような爽やかなものだった。



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