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獄寺は悲痛な表情を浮かべ低い声でツナに言い放った。


「俺はアネキに近づけません。10代目…アネキをこの町から追い出してもらえないでしょうか」
「そ…そりゃあ、どちらかといえば俺もビアンキがいない方がすこぐ嬉しいけど…でも…俺じゃあ…」


ツナの煮え切らない返事に獄寺は間髪を入れず、作戦があります!と答えた。獄寺が言うには、ビアンキにはリボーンに惚れる前にメロメロだった男がいたのだと。その男は事故で死んだが未だにビアンキは忘れられずにいた。


「そこで、その元彼とそっくりな奴を探すんです。アネキをそいつに会わせれば地の果てまでそいつを追いかけるはずです」
「またぶっ飛んだ作戦だーー!!」


頭の良い獄寺が考えたと思えないあり得ない作戦にツナは驚きを隠せないでいると、これが元彼の写真ですと言って一枚の写真をツナに見せた。その写真を見てツナは更に吃驚する。


「こんな牛男見たことあるーー!!!」


その牛男とは、ツナの家に居候するランボの10年後の姿にそっくりだった。


「ツナ君。あの雲、ツナ君みたいな形だよっ」
「雲見てないで舞ちゃんも協力して!!!」


静かだと思っていたら舞は何も作戦を聴かず今で雲を眺めていた。そして、場に似合わない発言をした舞にツナはツッコミを入れた。ここ最近、ツナは叫ぶことが多くツナの喉はガラガラに乾ききっている。



▽ ▲ ▽



「…なるほど。じゃあ、10年後の前見たランボって子の姿をビアンキさんに見せるってことだね」
「うん。上手くいくかはわからないけど…」
「でも、あたしはビアンキさんにいなくなってほしくないけどな〜」
「それは作戦全否定だから言わないで!」


ビアンキを見ることもできない獄寺を置きツナ達はランボに10年バズーカを撃たせるためツナの家に帰って来た。ビアンキにばれないように、2人はそろりそろりと階段を上りツナの部屋で寝ているランボを視線にとらえる。


「たとえ、そっくりな奴が現れるのが一瞬でもいいんです。アネキはそいつを探して出て行くでしょうから」


ランボを起こすように揺さぶりながら、先程の獄寺の言葉を頭に思い浮かべる。


「ランボ起きろ!」
「ん?」
「わりーんだけど、10年バズーカで10年後のランボ呼んでくれないかな」
「ランボ君、お願いっ!」


ツナ達が両手を合わせて頼むとランボの体はドキッと跳ねた。そして、明後日の方向を向きながら大量の汗を飛ばし言葉を紡いだ。


「ラ…ランボは10年バズーカなんか撃ったことないぞ!」
「はあ?」
「10年バズーカはボスに使っちゃダメだって言われてるんだもん。ラ…ランボが撃つわけないじゃん」
「「(この子嘘つきだーーっ)」」


ランボの嘘は明らかで、不自然にキョロキョロと視線を這わせた後にふて寝をしてしまった。

そこでツナはある事を考えついた。ランボが10年バズーカを使うのはリボーンにコテンパンにされた時だ。だったらリボーンに頼めば良いと、リボーンの元へと向かい、ランボを軽くどいてほしいと頼んだ。が、格下は相手にしないというリボーン。どうしたものかとまた考えるとふて寝していた筈のランボが自らリボーンを倒すと屋根の上にやって来たのだ。


「死ねリボーンッ。ボスに送ってもらったスタンガンでビリビリとな!」


スタンガンを片手に持ったランボだったが足を滑らせ、リボーンが用意していたプールに入ってしまいランボの体が感電し、ぐぴゃぁぁあっと悲痛な叫び声が木霊した。


「バ…バカすぎるーっ」
「い、痛そう…」


ランボは泣き叫び頭から10年後バズーカを取り出し、そして、自分に撃ちはなった。


もくもくと煙に包まれながら見える影は先程の子供の姿ではなく大きな大人のものだ。


「ほ、本当に大人になるんだねっ」


初めて見る10年バズーカに舞は感動で瞳を輝かせた。


「やれやれ。なぜ俺に水がしたってんるんだ?」


大人ランボはプールの水のせいで全身びしょ濡れで濡れた髪を片手でかきあげた。すると舞の姿を発見した彼は目を見開き悲しそうに瞳を揺らして涙を溜める。


「あ、貴方は…舞、さん…!」
「ん?」


大人ランボは舞の両手を優しく握り締めた。しかし、舞は大人ランボの行動に首を傾げる。握り締める手は震えていて舞をとらえる瞳は悲哀に満ちていたからだ。


「ランボ君どーし 」
「ロメオ!生きてたのね!」


舞の言葉を遮ったのはビアンキ。作戦通りビアンキは大人ランボを元彼だと思い嬉しそうに走り近寄った。ツナはビアンキの様子に内心でガッツポーズをした。これは感動の再会となる、と思われたがビアンキは大人ランボにポイズンクッキングをお見舞いしたのだ。


「ポイズンクッキングUーー!!」
「何ーーっ!!」
「えっ、何が起こったの!!?」


ポイズンクッキングを顔面に喰らった大人ランボはプールに沈められた。リボーンが言うにはビアンキと元彼は別れる直前とても険悪だったらしくよく元彼を思い出しては腹を立ててたと言う。


こうして、獄寺の考えた“ビアンキ追い出し作戦”は失敗に終わったのだった。



▽ ▲ ▽



後日作戦の失敗を獄寺に告げたツナ達であったが獄寺から、そーいえば…と思い出したように言ったのは元彼は食中毒が死因だったという事実。そのことにツナは体を震わせた。


「これでビアンキさんも出て行かないねっ。良かったぁ」
「ケッ。あんなアネキとっとと追い出してやるぜ」
「あーあ。早くお料理教室やりたいなっ」
「って舞ちゃん!まだ、そんな事言ってんの!?昨日のランボ見たでしょ!!?」
「テメェ、10代目の手を煩わせるんじゃねぇよ」


夏も真っ盛り中、3人の声が道中に響き渡る。3人は仲を深めようとしているわけではないがこのツナ達の姿を見た者達は口を揃えて仲が良いと言うだろう。その位、3人で過ごすこの時間は当たり前のようになっていたのだった。ーー肌を焼くような暑い夏はまだ始まったばかり。



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