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退学クライシス


今は理科のテストの返却を行う時間。次々と生徒の名前が呼ばれる中、ツナは憂鬱な顔をしていた。


「(最悪だ〜。理科のテストが返ってくる〜〜)」


全然わかんなかったしよりによって先生は根津だもんな〜と、ツナは頭をかかえていた。


「沢田」
「はい」


ついにツナの名前が呼ばれテストを取りに根津の前に行くと根津はチッと舌打ちをしツナのテストを受け取ろうとする手が空を切った。根津がテストを渡さずジロジロと見だしたのだ。


「あくまで仮定の話だが……クラスで唯一20点代をとって平均点をいちじるしく下げた生徒がいるとしよう」
「あの…っ?」
「エリートコースを歩んできた私が推測するにそういう奴は学歴社会において足をひっぱるお荷物にしかならない」
「(それって…)」


根津はクイっと眼鏡を持ち上げ嫌味ったらしく言い放った。ツナは根津の言葉にドキッとする。誰の事を言っているかなんて火を見るよりも明らかだったからだ。


「そんなクズに生きてる意味あるのかねぇ?」
「うわーーーーっ」


そう根津が言った刹那、ペラっと根津が持っていたテストが捲れツナの点数が露わに。そこには26点という文字が大々的に書かれていた。


見えた!、やっぱダメツナか…とクラスメイト達は大笑い。ツナは顔を赤く染めながら根津から遠ざかるようにテストをさっと受け取り席に戻った。


「(くっそー。根津の奴、本当にイヤな奴だぜ)」


自分が東大卒だからって勉強できない奴をいつもイジメるんだ…とツナは今にも泣きそうな思いだった。


そんな根津に対し、今まで大人しく黙っていた舞だったがもう我慢の限界だった。舞は立ち上がり大声を上げる。


「先生!今の言い方は酷いと思いますっ!!先生が生徒のやる気を削いでどうするのっ?」
「ほ、星野?」
「さっきの言葉、撤回してよっ。沢田君に謝って!」


舞は今にもガルル…と噛み付きそうな勢いで根津を睨みつけた。根津はいつも温厚で笑顔の舞が怒鳴り声を上げているのに驚きが隠せない。と、そんな時にガラっと扉が開いた。


「獄寺君…」
「コラ!遅刻だぞ!!今ごろ登校してくるとはどういうつもりだ!!」
「ああ!?」


遅刻してきた獄寺は一切悪びれる様子も無く鋭い目つきで根津を睨んだ。あまりの目つきに根津は恐縮する。


やっぱこえーよあいつ…、先輩達をしめ返したって話だぜ、と周りはヒソヒソと獄寺についての噂を言い合った。ツナは他人のフリ、他人のフリと心の中で呟いていた。しかしそんな呟きも獄寺には届かずズンズンとツナに向かって歩き出し、姿勢をピンと立て頭を下げた。


「おはよーーごさいます10代目!!」


大きな声にツナの身体はビクッと跳ね上がる。クラスメイトも不良である獄寺があのツナに対して態々挨拶していることに違和感しか覚えなかった。


「い…いやちがうんだよ…」


ただでさえ勉強できなくて目ぇつけられてるのに不良と知り合いだと思われたら最低だーっ、とツナは多くの誤解を生むクラスメイトに否定をした。


「あくまで仮定の話だが平気で遅刻してくる生徒がいるとしよう。そいつはまちがいなく落ちこぼれのクズとつるんでいる。なぜなら類は友を呼ぶからな」


また性懲りもなく、と舞はまた言い返そうとした。だが口を開く前に先に獄寺が行動を起こした。


「おっさん。よく覚えとけ」
「!?」
「10代目沢田さんへの侮辱はゆるさねぇ!!!」


獄寺は根津に近づき胸ぐらと襟元をつかみ掛かった。流石にこの行動には根津もクラスメイトも驚き顔を青ざめさせた。しかし舞を除いて。


「獄寺やっちゃえ!沢田君の仇打っちゃって!」
「あったりめぇだ!」
「(獄寺君も星野さんも…俺の名前出すなよーっ)」


ツナは頭をかかえて焦った。しかし獄寺に至っては締め上げた手を離そうとはしないし、舞は、そこだーっやら、いけーっ…などとプロレスの中継みたいな声を上げていた。


「10代目落とします?こいつ」
「ゲフッ」
「(もーーほっといてくれーっ)」


ツナの疲労はもうマックスだ。心の中でいくら止めてくれと叫んでもこの2人には伝わらないのだ。ツナは頭を机につけて目を逸らすことしかできなかった。



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