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死ぬ気の炎


ツナが手につけているXグローブは死ぬ気弾と同じく素材でできているため、死ぬ気の炎を灯すことができるらしい。骸はツナを見てまたフッと笑った。


「まるで毛を逆立てて体を大きく見せようとする猫ですね。だが、いくら闘気の見てくれを変えたところで無意味だ」
「死ぬ気の炎は闘気じゃない」
「ほう…面白いことを言う。ならば見せて…もらいましょうか!?」


骸はダッと走り出し、三叉槍を大きく振りかざす。それをツナは受け止めるとXグローブに灯っている炎の熱のせいで柄はグニャリと曲がった。


「な!?」


そして今度はそのグローブを骸に掠めた。肌に直接的に熱が伝わり骸は思わず顔を歪めてしまう。


「(熱い……!闘気が熱を帯びている!?)」


死ぬ気の炎と闘気ではエネルギーの密度が違うとリボーンは言う。限られた人間の目に見えるだけの闘気と違って死ぬ気の炎はそれ自体が破壊力を持った超圧縮エネルギーということなのだ。


「そのグローブは焼きゴテというわけか…」
「それだけじゃない」


次はツナから骸へと走り出す。骸は近づいて来るツナを睨みつけ三叉槍を一振りした。だが、それは空気を切るだけであった。


「!?消えた?」


そう呟いてから気付く。背後にツナが立っていることに。「バカな!いつまのに!?」と骸はツナの行動に驚き体を反転させ攻撃を三叉槍で受け止める。しかしツナの力に耐えきれず地面に倒れこんでしまった。


「何だ今のは……?奴は何をしたんだ……」


体を起こし骸は顔を顰める。


「ウォーミングアップはまだ、終わらないのか?」
「くっ………クフフ……クハハハハハッ」


骸は満足気に笑った。ここまでとは嬉しい誤算だと言う。ツナの肉体を手に入れれば知略を張り巡らさずとも直接、ファミリーに殴り込みマフィア間の抗争を起こせそうだと。それを聞いてツナとリボーンはピクリと反応を示した。


「マフィア間の抗争がお前の目的地か」
「クフフ…まさか…僕はそんなちっぽけな男ではありませんよ。僕はこれから世界中の要人の体を乗っ取るつもりです。そして彼らを操りこの醜い俗界を座純粋で美しい血の海に変える」


ーー世界大戦…なんてベタすぎますかねぇ


現実味の無い空想のような話。でもこの場にいる者は誰一人としてそんなことはできるわけないと否定しなかった。骸ならやろうと思えば可能ということを皆が理解していたからだ。


「だが手始めは、やはりマフィアーー…マフィアの殲滅からだ」
「何故マフィアにこだわる」
「恨みか」
「クフフ。一つは僕の大切な人が傷つけられたからでしょうか」


そこで骸はチラリと舞に視線を向けた。それにツナとリボーンは首を傾げるが骸が訳を話すわけなかった。


「おっとこれ以上話すつもりはない。君は僕の最強形態によって僕のものになるのだから」
「見るがいい!!」


その時、骸から黒いオーラのようなものが飛び出しツナに襲いかかった。


「……幻覚だ。こんなもので…」


しかしそれはツナに攻撃を与えた。幻覚の中につぶてを潜ませていたのだ。あまりの痛さに目を開けられないでいると、その隙をついた骸が上空から止めを刺そうとする。


「(もらったーー…!!)」


骸は確信をした。この勝負、自分が勝てると。


「ツナ」
「わかってる!!」


ツナはグローブにボオッと炎の威力をあげるとまたも骸の背後へと回った。そして勢いよく骸の顔面を殴りつける。彼は床に打ち付けられ、苦しそうな声とともに吐血した。


「骸…」


その苦し気な表情に舞の眉も下がった。ツナ達が傷ついて欲しくないと思うと同じように彼女は骸にも傷ついて欲しくないのだ。


「クフフフ。これがボンゴレ10代目。僕を倒した男か……ーー…殺せ。君達マフィアにつかまる暗いなら死を選ぶ」


その言葉にツナは舞と同じように眉を下げ、できないと首を振った。そんなツナを見て骸はニヤリと笑みを溢す。そして一瞬でツナの背後に回り込み手を掴んだ。


「その甘さが命とりだ」
「骸。おまえ…….!」
「おっと、君の妙な技が手の炎の力で起きているのはわかっている。手を封じれば怖くありませんよ」


骸はツナの後頭部に頭突きをかました。そして次は膝で背中を。身動きの取れないツナに次々と攻撃を喰らわし耳元で囁くように言葉を発した。


「何故、多くの刺客に君を狙わせたかわかりますか。君の能力を充分に引き出してから乗っ取るためだ。御苦労でしたね。もう休んでーー…いいですよ」


骸はツナを蹴り飛ばした。ツナはその衝撃に従うように壁へと飛んで行く。


「飛ばされた先を見るがいい」
「「「!」」」


骸に言われ壁を見てみれば、そこには三叉槍の刃がありキラリと輝いていた。


「クフフ……空中では受け身がとれまい。君はそのくだらぬ優しさで自分を失くすのです」

「いけ、ツナ。今こそXグローブの力を見せてやれ」
「うおおお」


ツナは雄叫びをあげるとグローブの炎を逆噴射し刃先の前で動きを止めた。


「これは!?」
「そーだぞ。さっき瞬時におまえの背後に回ったのは死ぬ気の炎の推進力を使った高速移動だ」


ツナは炎を上手く使い骸の元へ飛び顔面をつかんだ。


「うあぁああ!!……ああ…!あ…」
「…骸の、闘気が」


骸の闘気はグローブにより浄化された。そして彼は壁に衝突し仰向けに倒れた。すると壁にあった三叉槍の刃先がパリンと粉砕するのであった。



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