不思議な男
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グリーンという男は、何を考えているかわからない。

「なあ、今日暇なら飯行こうぜ」

「いいよ」

度々私を誘っては適当な居酒屋に連れ出し、今日あった挑戦者とのバトルのこと、ジムトレーナーたちに怒られたこと、幼馴染の男の子がまだ帰ってこないことなど、いろいろ。

アルコールも入って普段よりも饒舌になっている彼の話に相槌を打ちながら、内心では話を左から右に流している。ただ飯ただ酒ほど美味しいものはない。

「だから俺はさあ、猫耳派なわけでーーーー」

ちなみに今は彼が犬耳派か猫耳派かうさぎ耳派の話だ。非常にどうでもいい。

私の興味のなさが顔に出過ぎていたのか、いつもはこっちのことなど関係なしに好きに話している彼が、眉間にシワを寄せて私を見る。

「聞いてんの?」

「聞いてる聞いてる。グリーンは猫耳派なんでしょ」

「……美咲はさあ、猫耳似合いそうだよなあ」

「それ以上言えばセクハラで訴えるけど」

私の言葉になんでだよと不満げな彼にため息をつき、彼のグラスの中身が空になっていることに気がつき、店員に追加の飲み物を注文する。

「……はい、以上で。……あ、すみません、やっぱりあと…」

メニューを戻す時に料理もあと少しになっていたため、料理も追加で注文し、今度こそメニューを戻せば、グリーンが嬉しそうに私を見ていることに気がついた。

「なに」

「いーや?いい女だなあと思ってさ」

本当に今日のグリーンはどうしたのか。
いや、そもそも彼の考えていることは日頃から謎だ。

早速追加できたビールを受け取り、片方をグリーンに渡してもう片方に口をつける。
2〜3口飲んでグラスを机に置けば、彼も私と同じようにビールに口をつけていた。

「グリーンなら女の人選びたい放題でしょ。それこそ、なんでご飯に私を誘っているのか不思議なくらい」

彼ならもっと綺麗な人がいるだろうに。

前から疑問に思っていたことを尋ねれば、グリーンは楽しそうに答えた。

「好きな奴と少しでもいたいからな」

このまま俺と付き合わねえ?


なんて言葉を続けた彼に、私は目を見開いた。
やはり私は、彼の考えていることがわからない。

彼は頬杖をつき、アルコールで目をとろんとさせ、これまで聞いたことがないような優しい言い方で話す。

「な、付き合おうぜ」

「…まあ、大事にしてくれるならいいよ」

グリーンなら信頼できるしいいかと頷けば、私の返事を聞いた彼は自信たっぷりに頷いた。

「はっ、誰に言ってんだ。目一杯幸せにしてやるよ」






不思議な男、グリーン


翌朝、顔を青くさせた彼に謝罪の言葉とともに、改めて告白されたのは面白かった。

 

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