やっぱ好きだわ
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※とある歌を聴いていたら浮かんだお話し












太陽の光を受けて、ゆっくりと目を覚ます。

…もう朝か。


ベッドから出て、窓を開けて身体を伸ばし、深く深呼吸。

冷静な頭で昨日を思い出し、小さく息を吐いた。


「…また喧嘩しちまったなー」


昨日デートして、帰り際にささいなことで喧嘩した。
ふくれっ面の美咲を思い出して、1人で小さく笑う。



美咲と出会って付き合って、もう数年。
毎日笑い合って、記憶にも残らないような他愛もない会話を交わして。
そうやって、いつも当り前のように隣に美咲がいる。
でも、それが当たり前じゃないって思ったら。
あいつが俺を捨てて、他の奴のところへと行くのかと考えたら。

…少し考えただけでも恐怖を感じて、今すぐにでも美咲に会いたくなった。


「またあいつ、ぶすくれて留守電にしてんだろうなー」

仕方ねえなと笑いながら、美咲に電話をかける。
案の定あいつは留守電にしていて、とりあえず留守電のメッセージで"おはよう。"とだけ残す。


「もう、ジムも休みにすっかなー」


俺の今日の一日は、始めに出掛けないといけない。
ジムトレーナー全員に連絡し、出掛ける準備をする。

ちょうど家を出たところで、美咲から電話がかかった。


「あ、グリーン?今日ひま?タマムシシティ行かない?」


まるで昨日の喧嘩なんて何もなかったかのように。
いつもの耳に馴染む声が、電話の向こうから聞こえた。

それに酷く安心して、思わず口をついて出た言葉。


「…やっぱ俺、美咲のこと好きだわ」


俺の言葉に、電話の向こうから「はぁ!?」なんて可愛くない言葉が聞こえたけど。
でもこれは、照れ隠しだってわかってる。


「わ、私の方がグリーンのこと好きだし!」


美咲の言葉に、外だというのに顔がにやけるのを抑えられずだらしなく笑う。

俺よりも俺のことを上手く愛せるのが、美咲しかいないっていう事実が悔しいけど。


「…美咲」


「なに」


「おはよう」


これからもずっと、美咲と一緒にいたいんだ。
時には肩を組んで、時には手を繋いで。
恋人だったり、友達でいたいんだ。
美咲に"おはよう"って言って。
美咲と未来を生きる夢を見て。

本当は我儘なのに、周りに可愛いくて良い子だと思ってもらえるように頑張る美咲じゃなくて。
本当は弱いくせに、自分は強いと思い込んで、周りに見栄ばかり張っていた昔の俺じゃなくて。

互いに自然な生き方で、一緒に生きていきたい。


だからまずは、


「もう美咲の家に着くけど」


「それ早く言ってくれない!?」


美咲にはやく会いたい。

 

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