好きだよ3/14
僕が好きなのはエリシア。
エリシアが好きなのは僕。
わかっている。理解している。
でもやっぱり、エリシアのような素敵な女性が僕を好きでいてくれていることに少しの疑問と、
彼女がほかの男性と親密そうなところを見ると、心が不安定になるのだ。
エリシアの視界に入るのは僕だけでいいと、
エリシアが触れるのは僕だけでいいと、
時々、本気でそう思ってしまう。
ちゃんとエリシアに迷惑をかけたりしないから、
思うだけなら、許してほしい。
「…? どうかした?」
「…ううん。今日も可愛いなって思ってた」
僕がそう言うと、恥ずかしそうに顔を赤らめるエリシア。
あぁ、可愛いなぁ。
今日は、僕もエリシアも仕事が休み。
2人で今日はゆっくりしようと、朝からゆっくり朝食を食べて家の掃除をしたり、たまにはと家の中を模様替えしてみたり。
今は、模様替えも一段落して、ゆっくりアフタヌーンティーを楽しんでいる。
会話を楽しんでいると、エリシアが「そうだ、」と改めて僕を見る。
「ジュード君って、普段は研究研究で、ずっと気を張ってるでしょ?」
彼女の言わんとすることがまだ明確にわからず、僕は首を傾げつつも頷いた。
「そうだね。世界の未来に関わってくるし、早く結果を出すに越したことはないから」
僕の研究は、この世界に関係しているのだ。
気を緩めたまま研究なんてできない。
僕の答えに満足したのか、彼女は顔を緩めてこう言った。
「そんなお疲れのジュード君を癒すために、次2人の休みが重なった日は、ジュード君のわがままを言う日にしない?」
私にできる範囲でなら、なんでもすると、そう笑顔で言い切った彼女に、先ほど自分が考えていた内容が蘇る。
自分のわがままを言う日なら、これを言ってもいいかもしれない。
だって、迷惑をかけたくないと思っている当の本人が、それを許しているのだから。
何でも言ってね。と微笑んでいる彼女の頬に片手を伸ばし、まっすぐ僕を見つめるように顔を固定する。
「じゅ、ジュード君…?」
「僕はね、エリシア」
困惑している彼女に言葉を紡げば、慌てたように返事が来た。
「僕は、きっとエリシアが思っているより、エリシアのことが大好きなんだ」
深く深く、それこそエリシアと一緒なら地獄に落ちてもいいと、僕は本気で思っている。
君はそれを嫌がるだろうから、これは決して言わないけれど。
僕の突然の告白に、顔を真っ赤にさせる彼女。
そんな姿も可愛いと笑みをこぼしながら、更に言葉を紡いでいく。
「今度、僕とエリシアの休みが重なったら、エリシアのことを独り占めさせてほしい」
これが僕のわがままだと言えば、エリシアは顔を真っ赤にさせたままおずおずと頷く。
「そ、それをジュード君が望むなら…」
「ありがとう、エリシア。すごく嬉しいよ」
言葉とともにエリシアの唇にキスを落として元の位置に座り直し、紅茶を飲む。
数秒遅れて我に返ったエリシアは深く息を吐き、紅茶をぐいと勢いをつけて口へ運んだ。
「好きだよ、エリシア」
彼女に告げれば、彼女は激しく咳き込み、もう勘弁してくれと真っ赤な顔で僕を睨む。
怒った顔も可愛いなぁ。
結局僕は、どんな君でも大好きなんだ。
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