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「メタグロス!コメットパンチ!!」


「…っ、ミロカロス!」

メタグロスの技が直撃したミロカロスは、目を回しながらその場に倒れる。

「勝負あり!勝者、挑戦者エリシア!」



「…っ、やったー!!!」


ミクリさんのもとで修業を始めて1か月。

ついに、ついに彼に勝った。


…といっても、接戦ではあったが。



ミクリさんは気絶したミロカロスをボールに戻し、軽く息を吐いて私に歩み寄ってレインバッジを差し出した。

「おめでとう。悔しいが、エリシアの勝ちだ」

「ありがとうございます!!」

両手でレインバッジを受け取り、落とさないように大事にケースにしまう。

ジムの入口まで送ってくれたミクリさんは、餞別だと、大きめの袋を私に差し出した。

「エリシアが勝ったら、これをキミにあげようと作っていたんだよ。ぜひ使ってくれ」

私がデザインしたんだと楽しそうに笑う彼に首を傾げ、袋の中を見て驚いた。

「こっ、これ…!!コンテストの衣装じゃないですか!!」


そう。
袋の中に入っていたのは、ミロカロスの衣装と私の衣装。
水色をベースに、フリルやレースがあしらわれているようで、きっと売ったら何十万の価値がつくのだろう。
なんせ、今をときめくコンテストスターが、直々にデザインしたのだから。


わなわなと、震えながらも落とさないようにしっかりと持ち、深々と頭を下げる。


「ミクリさん、何から何まで、ありがとうございます。私がここまで強くなれたのは、ミクリさんのおかげです」

コンテストも頑張ります。と続ければ、彼は私を見て満足そうに頷いた。

「最初に私に挑戦したあの時とは、比べ物にならないくらいエリシアは強くなったよ。もちろん、ポケモンもね。ぜひ、あのチャンピオンの座から彼を引きずり降ろしてやってくれ」

「まかせてください!!」

そんなあっさり頷いていいのかい?
もちろんですよ。そのために旅に出たんですから。
それもそうだったね。







「じゃあ、この後の道中も頑張ってくれ。…あぁ、そうだ」

チャンピオンロードではこれも必要だろうと、1つの技マシンを渡してくれた。
その技マシンとは、たきのぼり。

受け取って中身を確認した瞬間、驚きすぎて落とすところだった。

「この技マシン、どうしようかと思ってたんですよ…!ありがとうございます!!」

「またなにか困ったら、いつでも私を頼るといい」

「即座にポケナビで連絡しますね」

「あぁ、待っているよ」

行ってらっしゃい。


最後にミクリさんに頭を撫でられ、それではとミクリさんと別れてミロカロスを水面に放ち、なみのりで海面を進む。

最初にルネジムに来たときとは違い、心が晴れやかだった。

今ならダイゴさんにも勝てるかもしれない。


「ミロカロス、頑張ろうね!」

「ふわあぁぁぁぁぉ!!」


残るは、ポケモンリーグだ。

 

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