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翌日から私はルネジムに通い始め、ミクリさんとポケモンバトルを重ねていく。
彼の教え方は優しかった。
理解が遅いからと怒るわけでもなく、私の足りないところ、ポケモンの足りないところを具体的に説明してくれて、アドバイスをくれる。
そんな彼に、私が懐かないはずもなく。
「ミクリさん!今日もお願いします!!」
「もちろんだ。今日も良いバトルをしよう」
ミクリさんとバトルをして、負けを経験してから1週間。
毎日ジムに通って彼とバトルを重ねる。
彼のアドバイスのおかげで、バトルで負けそうになっても焦ることが少なくなり、手持ちのみんなの経験値もあがってきて、今ではミクリさんと接戦できるぐらいまで成長した。
朝一でミクリさんとバトルをしたらアドバイスをもらい、一緒に昼食を食べて一休みしたら、午後にもう一度バトルをする。
1日の大半はミクリさんと行動しているといっても過言ではなかった。
最後のジムということもあるのか、滅多に挑戦者が来ることはなく、ミクリさんも暇を持て余していたらしい。
今は3時のおやつを食べながら雑談している。
ミクリさんが出してくれるおやつ、全部私好みだから嬉しい。
…というか、なんかミクリさん私について詳しくない?
昨日なんて言ってないはずなのに誕生日知られてたし。
侍女のティアのことも知ってたし。
私が好きな食べ物知ってたし。
私が身に着けているシトリンのネックレスが、昔ダイゴさんから貰ったものだって知ってたし。
私が最初に持ったポケモンがロコンなの知ってたし。
…ミクリさんって、何者?
「そういえば、エリシアはダイゴと婚約者らしいね」
あいつが私を恨めしそうに見てたよと話すミクリさんに首を傾げる。
「たしかにダイゴさんとは幼い頃から婚約していますが…。というか、何でミクリさんに恨めしそうな顔を?」
「エリシアが私のところに1週間もいるからね」
石にしか興味がないあいつにも、独占欲というのはあるらしいね。
小さく笑いながら話すミクリさんの言葉に、思わず顔が熱くなる。
「…嫌われていないようで良かったです」
顔を背けながら言えば、ミクリさんは笑う。
「あいつはよくエリシアの話しをしているよ。私がうんざりするぐらいにはね」
ダイゴさんがチャンピオンになって以来、よくミクリさんとお話をするようになったらしく、よくダイゴさんの話しに私の名前があがるらしい。
そのせいか。私のキュウコンもライチュウも、ダイゴさんから貰った石によって進化したことも知っていたのは。
ほかにも、私が石に興味を持っていること、好きな食べ物、趣味など。
私に関するいろいろな情報が、ダイゴさんを通してミクリさんに伝わっていた。
「なんか私の婚約者がすみません……」
「本当だよ…。知らない間にエリシアついて詳しくなる、私の身にもなってくれ…」
遠い目をして呟くミクリさん。
いや本当、ダイゴさんがご迷惑おかけしてすみません…。
でもそうか。ダイゴさんのせいか。
ミクリさんが、私の好きな食べ物だけでなく、話してないはずのネックレスやティアについて知ってたの。
でもそのおかげで、3時のおやつが美味しいから私は満足です。
…なんて言ったら、ミクリさんに怒られそうだから言わないけど。
(さて、そろそろ今日最後のバトルをしようか)
(はい!今度こそ勝ちますよ!!)
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