ダイゴさんとデート(?) 13/17
ある日、ダイゴさんからムロタウンにある石の洞窟へ行くからついてこないかというお誘いを受けた。
「石の洞窟へ…?」
ムロタウンにそんなところあったかなと首を傾げたが、そういえばあそこにはジム挑戦のためにしか立ち寄ってないことを思い出す。
「あぁ。ちょっと探してる石があってね。一緒にどうかな」
無理はしなくてもいいと言われたが、せっかくのダイゴさんのお誘いだしデートになるし(洞窟だけど)、私はありがたくそのお誘いを受けた。
「ご迷惑でなければ行かせてください」
「迷惑なもんか。よし、じゃあ明後日にムロタウンへ出発しようか」
「わかりました」
当日はなるべく動きやすい服装で、との指定を受けたためティアとクローゼットの前で洋服を合わせる。
久しぶりのダイゴさんとのデートに顔が緩んでいたのか、ティアも嬉しそうに笑う。
「お嬢様、楽しそうですね」
「だって、ダイゴさんは普段忙しくて、なかなかデートも出来ないんだもの。例え場所が洞窟だったとしても、彼と一緒ならどこでだって楽しいわ」
「そうだ!洞窟であればお弁当がいりますよね。シェフに言って作ってもらいましょうか」
「それは良い考えね!ちょうど良いし、私も料理教わろうかしら」
実家がカナズミシティにあるとはいえ、ダイゴさんの家は今トクサネシティにある。
あそこは使用人もいなければシェフもいない。
私は料理が全く出来ないため、泊まりに行ったときはいつもダイゴさんが作ってくれるか外食だ。
今後もそれが続くならば申し訳ない。
私の考えていることをティアに相談すれば、彼女もその方が良いと頷いてくれた。
「何でも、出来ないより出来た方が良いですからね。シェフに話を通しておきます」
「ありがとう、ティア」
彼女にお礼を言って、翌日にはシェフと一緒にお弁当に入れる献立を考えて、実際に教わりながら作ってみる。
野菜は等間隔で切れてないし、火加減はめちゃくちゃだしで、初めて作った料理はお世辞にも美味しいとは言えなかった。
それでもシェフが根気よく教えてくれたおかげで、何とか形にはなったと思う。
「ではお嬢様、明日の朝にはご出発なさるとのことでしたので、明朝お弁当を作りましょうか」
「迷惑をかけてごめんなさい。よろしくね」
今日料理に付き合ってくれたお礼を言えば、とんでもないと首を横に振られた。
…今度ティア経由で、お菓子の差し入れでも持ってこよう。私が渡そうとしても断られるだろうし。
デート当日
朝早くからシェフとお弁当を作り、出掛ける支度が整えばダイゴさんが迎えに来てくれたため出発する。
ムロタウンへは空を飛んで行くらしく、彼はエアームドを出して先に私を乗せ、彼も乗り込めばエアームドはゆっくりと上昇して空へと舞い上がる。
途中、私がいつもは持っていない大きめの鞄を見て不思議そうに尋ねてきた。
「家を出たときから気になっていたけど、何を持って来たんだい?いつものリュックも持ってるし…」
「今日向かうところが洞窟だったので、私とダイゴさんのお弁当を作って来たんです」
私の手作りであることも伝えれば、彼はそれはもう嬉しそうに笑い、私を抱きしめている腕の力を強めた。
「今からお昼が楽しみだよ、ありがとう。朝早くから頑張ってくれたんだね」
せめてムロタウンへ着くまでの間寝てていいよ。との彼の言葉に甘え、少しだけ寝ることにした。
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