ガラル地方へ 213/17
「わぁ…!」
「これは、すごいな…」
長い長い旅路を経て、ついにガラルの地へ降り立った私とダイゴさん。
私たちは、目の前にある巨大なスタジアムや街の風景に圧倒されていた。
暫く呆けていたけど、大きなキャリーケースを持っていることを思い出して、ダイゴさんの腕を軽くたたく。
「ダイゴさん、とりあえず荷物を置きにホテルへ行きませんか?」
「あぁ、そうだね。行こうか」
スタジアムからほど近いホテルを目指し、ようやく私たちは歩き始めた。
はぐれないように、キャリーケースを引いていない、あいている手でダイゴさんと腕を組んだ。
ダイゴさんの見目の良さはガラルの地でも通じるらしく、先ほどから道行く人が彼を見ようと振り返っている。
やはりこうなったかと、内心ではため息をつく。
彼はホウエンのチャンピオンでもあり御曹司でもあるため、最初は少し地味な格好で行くべきだと進言したが、彼は頑なに首を縦に振らなかった。
"それだと、キミの隣に並べない"と、結局いつものスーツでガラルへ来たのだ。
その気持ちは嬉しいが、私としては今の状況が目に見えていたし、もし彼のファンに囲まれでもしたら、たまったものではない。
居心地の悪さを感じつつも、表面には出さずにダイゴさんと会話する。
「すごいね、ガラル地方は。ポケモンのキョダイマックスに対応するためとはいえ、桁違いな大きさのスタジアムだ」
「そうですね。今まで見たスタジアムの中で、一番大きいです」
「それに、街の人たちもみんな笑顔だ。ここは、本当に良い街なんだろうね」
トレーナーも強かったりするのかな。とわくわくしたような表情で話す彼を見て、自分の頬が緩むのを感じる。
好きな人が楽しそうだったり嬉しそうだったりしていたら、やっぱり嬉しいものだ。
「そうだ。ホテルに荷物を置いたら、どこかで食事をしようか。ホテルへまでの道に、美味しそうなお店があればいいけど…」
「じゃあ、レストランを意識しながら行きましょうか。ホテルの人に、おすすめのお店を聞くのもいいですね」
言いながら歩き続けること数分。
無事にホテルへ着けばチェックインして部屋に荷物を置き、道程に良さげなレストランが無かったためホテルの従業員におすすめのお店を聞いて、そこにしようと出発した。
…はずだったが、なぜかお洒落なブティックにいた。
え、なんで?
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