ガラル地方へ 112/17
「ダイゴさん、相談があるんです」
私が作った朝食をダイゴさんと食べながら、数日前から考えていたことをダイゴさんに相談する。
彼は朝食を食べながら、首を傾げる。
「どうしたんだい?なにか欲しいものでもある?」
ごそごそと、鞄から財布を取り出そうとする彼を慌てて止め、ごほんと咳ばらいを一つ。
ダイゴさんの目を真っすぐに見て、言葉を紡いだ。
「私、ガラル地方に行きたいんです!」
「が、ガラルに…?」
私の言葉を聞いたダイゴさんは、予想外だというように目を見開いて驚く。
そんな彼に力強く頷き、ガラルの良さを語る。
「なんでも、いろんな地方のポケモンが同時に生息している地方みたいなんです。それに、ポケモンがキョダイマックスして、大きくなるらしいんですよ。…まあ、キョダイマックスは限られた場所みたいなんですが。それに、向こうのブティックはお洒落な洋服も多いらしくて」
「へえ、キョダイマックスか…。でも、限られた場所なんだろう?」
"なぜガラルに行きたいのかわからない"と不思議そうな顔をするダイゴさんに、私が仕入れた情報の中で、とっておきのものを彼に伝える。
「それにですね、ガラル地方には"あれ"があるらしいんです」
「"あれ"?」
なんだなんだと続きを促すダイゴさんに笑い、ある場所の名前を口にする。
「ガラル鉱山と第二鉱山」
「!?」
2つの鉱山の名前を口にした瞬間、ダイゴさんの目が開き、次いで輝いた。
「ほ、本当かいエリシア!鉱山があるのかい!?」
「珍しい石も見つかるかもしれないですね」
"知らないけど。"と心の仲だけで付け加えて、申し訳なくて心の中で謝る。
けれどそのおかげで、ダイゴさんはガラルへ行くことに前向きになった。
「まあ、あくまで鉱山なのであって洞窟ではないから、見つかる可能性は低いけど…。行く価値はあるね」
「私はいつでもいいので、ダイゴさんの都合に合わせます」
「そうだね。予定を調整してみるよ」
どうせなら1週間ぐらい滞在しよう、との彼の提案に何度も頷く。
ガラルに着いたらどこに行くか、
どんなポケモンが生息するか、
向こうのジムに挑戦してみるか、
などなど、ダイゴさんと話し合いながら朝食を食べていく。
「じゃあ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい。お気をつけて」
ダイゴさんがリーグに出勤するのを見送り、1人になって冷静になった頭で考える。
「……1週間で、ガラルの観光地と鉱山2つ行けるのかな」
なんだか、早速日程が延びそうな感じがするのは気のせいだろうか。
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