追想の場所(19)
一日で部屋へ戻れる確証はもちろんない。それでも、納得いかないという顔をしていたユニカの表情は少しだけ緩んだ。
「……本だけもらって帰ります」
「そんな薄情を言わずに」
その言葉がどこまで本気だったのかは分からないが、ユニカは大人しくディルクについてくることにしたようだった。
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