天槍のユニカ



蜜蜂の宴(20)

 安堵と、嘘をついているような申し訳なさに縮こまっていると、ディルクの体温は背中にぴったりと寄り添ってきた。
「ユニカ」
 呼ばれて、ユニカは目を開けた。身じろぎしそうになるのを辛うじて堪える。
「何かあったら言って欲しい。いつでも力になる」
 続いた言葉には息が詰まりそうになった。ユニカが起きていると気づいたから言ったのだろうか。それともディルクの心から溢れた思いだったのだろうか。
 彼はそのあとユニカの肩に額をすり寄せて来ただけで、ユニカの反応を待っているふうでもない。すぐ眠ってしまったのか。
 振り返ってディルクの胸に埋(うず)まりたい気持ちはあったが、今は背中に感じるぬくもりだけで我慢しよう。
 やがてユニカもまぶたを閉じ、さっきよりいくぶん悲しい気分が和らいだのを認めて眠ることにした。






- 1218 -


[しおりをはさむ]