「…おい」

「ん?なあに?ロー」


船の廊下を歩いてたら、後ろから声を掛けられる。何も考えず、呑気な声で返事をしながら振り返れば、そこには明らかに怒ってますアピールの我らが船長、もとい恋人のローが立っていた。


「…ろ、ローさん?」

「アクア」

「は、はい!!」


低く名前を呼ばれ、思わず裏返った声で勢いよく返事をする。わ〜情けない声。なんて自分で呆れるも、ローはそんな事お構いなしで怒ってる。


「俺はお前に再三言ったはずだ」

「え、なにを?」

「俺の部屋の本棚は弄るな、と」

「…あ!」


ローに言われて思い出す。今朝方、ローが居ない時に医学書を借りたくて部屋の本棚から本を取り出した。その時に誤って何冊か落としてしまい、適当に元に戻したのだった。


「い、や、…あ、あれは態とじゃなくって…!」

「俺には俺の法則であの本棚に並べてる。それを勝手に変えるなと言ってあったはずだが……分からないなら仕方ないな」


ローが呆れた様に溜息を吐いたと同時にローは能力を発動した。


「ちょ!ちょっと待っ…!!」

「room」


否が応にも冷や汗が流れる。慌てて逃げようとしても時既に遅し。一瞬でローの腕の中、私が居た場所にはローが持ってたのであろうペンが落ちてる。


「口で分からない馬鹿な恋人に、優しい俺は身体に教えこむ事にした」

「や、優しいなら優しく…」

「精々、気を失わない様にな」

「(あ、終わった……)」


私を引き摺るローを見て、もう二度と本は借りないと決めた。



(……ローの絶倫野郎)

(そうか、もっとか)

(っ、も、もう無理です!!)

(諦めろ)





fin.
title by 確かに恋だった

痛くない愛をください


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