ある日森の中くまさんに出会った

誰もが知っている童謡の歌詞が頭の中に浮かんでくる。でも実際は森の中ではなく学校の校内で、更に言うと追ってくるのはくまではなくパンダで
あっ、後ろで走っていた野薔薇ちゃんがパンダ先輩に捕まって放り投げされた。

「次はおまえだぞー琴葉」

怖んですけどー

野薔薇ちゃんの悲鳴とパンダ先輩の声が聞こえて来て走るスピードを上げる。しかし私の頑張りも虚しく肩を掴まれた瞬間思いっきり上に投げ飛ばされた。
私達が弱いのは接近戦だと指摘され相手から攻撃を受けても慣れるように、とパンダ先輩から追いかけられては投げ飛ばされる。パンダ先輩との鬼ごっこを何十回とやっていると伏黒君が戻って来た。伏黒君は真希先輩にどんな人を助けたいかと聞いて来たが、真希先輩の答えは伏黒君の期待に沿えなかったようでがっかりしている。

「伏黒ォ!!面接対策みたいな質疑応答してんじゃないわよ!!
交代!!学ランはシンドい!!可愛いジャージを買いに行かせろー!!!」

ジャージを持っておらず制服で動き回っていた野薔薇ちゃんは限界が来てしまったらしく、大きな声で主張を上げる。その主張が通り野薔薇ちゃんはジャージを買いに出かけて行った。
残った私達は一旦休憩を取り伏黒君と真希先輩の特訓を鑑賞する。

「真希先輩すごーい。つよーい」

近距離戦が苦手な私達とは反対に近距離を得意とし呪具を使いこなす真希先輩。伏黒君が仕掛ける攻撃を難なくかわしていく。

「感動するのは良いけど恵と同じの琴葉もするから」
「しゃけ」
「なんと」

真希先輩から一本とる未来が想像できない。伏黒君のを見て参考にしよう。でもその前にパンダ先輩に聞きたい事がある。

「ねえねえ、パンダ先輩。質問しても良い?」
「いいぞー」
「私達が受けた任務って五条先生と仲の悪い上の仕業でしょ?」
「……」
「あの時は緊急事態って言われて急いでたし、伊地知さんも何も知らなさそうだったから考えるの一旦止めたんだ。でも虎杖君が死んじゃってから考えたの」

特級呪霊関連の任務はやはり通常考えたら有り得ない。恐らくあの時の本来の目的は両面宿儺を身に宿した虎杖君の殺害。宿儺を一刻も早く殺したい、五条先生が気に入らない上の人達が仕組んだ事。だから五条先生が居ない時に実行した。そして自分達の手を汚さないように任務で、呪霊を使っての間接的な殺人。

「五条先生って敵も多いから目星は沢山あるけど、京都の学長とか絶対絡んでるよねー。パンダ先輩達はどう思う?」

真希先輩に聞いても「そんなもん知るか」って言われそうだし狗巻先輩はおにぎりの具しか喋らないから何言ってるか分からないし。聞くとしたら消去法でパンダ先輩になる。返答を待つ

「ツナマヨ」
「パンダニンゲンノコトバワカラナイ」
「わざとらしー」

やはり狗巻先輩は何を言ってるか分からない。しかし話を逸らそうとするパンだ先輩の姿勢から、あたかも私の考えが当たっているとのが分かる。そうなると…

「京都の学校も絡んでるか。そっかー。…そっかー」
「あまり言うなよ。それに恵達にも…」
「言うつもりはないのでご安心をー」

まあ伏黒君は薄々感づいているとは思うけど。

「よしっ、そうと決まれば絶対京都校に勝ってやる!」
「しゃけ」
「その意気だ。じゃあ休憩終わりっ」
「うがあぁ

休憩終わりと同時に投げ飛ばすのはどうかと思います。







「あれー、伏黒君と野薔薇ちゃんは?」

訓練をしていたある日トイレから戻ると同級生の姿が見えず、真希先輩一人立っていた。
「飲み物を買わせに行った」
「私もジュース買いたかったのに」
「オマエがトイレに行ってる間勿体無くて待ってられるか」
「おうぼーう」
「あ"っ?なんだって?」
「なんでもないでーす。私も飲み物買いに行って来まーす!」

怒る真希先輩を他所に走って自動販売機に向かう。この学校には自動販売機は少ないから私が向かう所に二人もいるだろ。そこへ向かうと人が二人いた。一人は野薔薇ちゃんだけどもう一人は伏黒君じゃなくて女の人で。あの人は…そう思った矢先、野薔薇ちゃんが撃たれ倒れた。その光景を目にし、数珠を発動し野薔薇ちゃんを撃ったあの人を拘束する。

「禪院先輩こんにちはー。ねえねえ、野薔薇ちゃんに何してるの?」

禪院先輩、真希先輩の妹は不意に拘束され驚いたが私の姿を見るて、禪院の名前を協調して言うと苦々しい顔をした。

「あらこんにちは如月さん。口の利き方がなっていないから注意してあげただけよ」
「えー、注意するのに禪院先輩銃で撃つのー?こわーい!たんきー!」

私の喋り方が癪に触ったのか禪院先輩の表情が苛立つ。

「そのバカらしい喋り方どうにかならない?それにこの数珠解いてくれないかしら」
「えー、数珠解けって?禪院先輩もおバカさんー」
「ちょっと…!」
「解くわけないじゃん。そっちから先に攻撃してきたんだから危険とみなすのは当然でしょ?それにそっちの言い分だと口の聞きたがなってなかったから手を上げたんだよね?だったら」

私達の学校で問題を起こす人に手を上げても良いって言い分になるよね?



大怪我をさせるつもりはない。ちょっと痛い目見てもらうだけ。数珠に少しの呪力を込めようとしたら

「止めろ琴葉」
「い"だっ!?」

声が聞こえたかと思った瞬間、頭に衝撃が走る。後ろを見たら真希先輩が立っており私は呪具で殴られたみたいだ。

「真希先輩、頭はやめてー。私最近頭ばっかり攻撃されてるからバカになっちゃうよ」
「オマエはもうバカだから安心しろ。それより琴葉術式を解け」
「…はーい」

真希先輩の言葉に逆らえずしぶしぶ数珠を解く

「あら、落ちこぼれ過ぎて気づかなかったわ。真希」
「真希先輩、真希先輩。ああやって強がってるけど内心私の数珠に焦ってて気づいてなかっただけだよ」
「琴葉、オマエは黙ってろ」
「はーい」

真希先輩と禪院先輩が喋っているが見えないが火花が飛んでいるように見える。こわーい

「野薔薇!!立てるか!?」

真希先輩が野薔薇ちゃんに声を掛ける。禪院先輩は暫く起きないと言うが、真希先輩が禪院先輩の注意を引いている内に野薔薇ちゃんが禪院先輩を押さえつける。

「おろしたてのジャージにばかすか穴空けやがって。テメェの制服置いてけよ」
「次は体の穴増やしてやるわよ。あとその足の長さじゃこれは着れないんじゃない?」
「野薔薇ちゃん止めた方が良いよ。禪院先輩の服、東京で男から逆ナンを待つ為に露出を上げた服だよ。そんな痴女の服着ない方が良いよ」

そう言うと禪院先輩が般若みたいな顔でこっちを見た。こわーい

険悪な雰囲気の私達の前に現れたのは上半身裸の男の人だった。未だ喧嘩腰の禪院先輩を止める。その理由がアイドルの握手会に行くからというぶっとんだ内容だが。
しかし禪院先輩は意外にも諦めて男の人について行く。あの禪院先輩が素直に従うなんて何者だろう?

「アンタ達、交流会はこんなもんじゃ済まないわよ」
「何勝った感出してんだ!!制服置いてけゴラァ!!」
「私には負けかけてたのに。やーい、負け犬の遠吠えー!!」
「やめとけ馬鹿」

禪院先輩達がいなくなった後、野薔薇ちゃんが先程の二人の会話について問い真希先輩は答える。真希先輩は自分が呪力が無いことを悲しそうにも、苦しそうにも言わず目標を持って真っ直ぐに前へ進む。

「私は真希先輩、尊敬してますよっ」
「私も!私も真希先輩好きー!」
「あっそ」

言葉遣いは悪くても、横暴だけど私は真希先輩が好き。


あの後硝子さんの所に行くと野薔薇ちゃん以上にボロボロな伏黒君が居た。あの人達との経緯を聞いてみると

「女性のタイプを聞かれて答えたら殺されかけた?意味わかんない」
「俺の方がこんな目に合って意味わかんねぇよ」



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