漆
一ヶ月半、先輩達にしごかれ傷を作りながらの特訓の日々。その成果を発揮する時が来た。今日が京都校との交流会の日。
「野薔薇ちゃーん、行こうよー」
そろそろ先輩達に指定された時間になる。伏黒君は先に行っており私は野薔薇ちゃんの部屋の前で待っているのだが中々出てこない。
「もうそんな時間!?あー!まだ準備が終わってないのに!」
「まーだー?」
「琴葉、先に行って!それで真希さん達に少し遅れるかもって言っておいて!」
「おっけー」
しかし部屋の中で野薔薇ちゃん慌ただしそうだったな。お洒落でもしているのか。あっちの人達の為にお洒落なんてしなくてもいいのに。
「おはよーございまーす」
指定した場所に向かうとやはり私と野薔薇ちゃん以外は全員集まっている。
「野薔薇はどうした」
「なんだが準備がまだみたいだから先に行ってって言われてたの」
真希先輩に野薔薇ちゃんが遅れる理由を言ったら怪訝そうな顔をする。
「準備って何の準備だ?」
「身なりの準備とか?」
「アイツらにそんな気をつかう必要ねぇだろ」
「だよねー」
それから暫く待っていると野薔薇ちゃんが現れた。
「なんで皆手ぶらなのー!?」
私から言うとなんで野薔薇ちゃんはそんな大荷物を持っているのだろう。
「オマエこそなんだその荷物は?」
「何って…これから京都でしょ?」
んー、何だかんだ話が食い違っているのかな?
「京都で姉妹校交流会…?」
「京都の姉妹校と交流会だ」
「東京でやるんだよー」
私とパンダ先輩が指摘すると勘違いに気づいたらしく野薔薇ちゃんはショックを受けている。
「どうりで最近会話が噛み合わないはずだ」
「ですね」
「京都の旅行雑誌見てたのは京都に行きたいじゃなくて、京都に行くと思ってたからだったんだね」
「いやオマエもそこまで見てるなら気づけ」
交流会は昨年勝った方の学校でやるみたいらしい。そこに人数合わせで乙骨先輩が参加したら圧勝したとのこと。
「許さんぞー乙骨憂太ー!!」
此処には居ない乙骨先輩に対し野薔薇ちゃんが恨みを飛ばしていると京都校の人達が現れ
「あらお出迎え?気色悪い」
初っ端から禪院先輩が嫌味言ってきた。
「うるせェ早く菓子折り出せこら。八つ橋、くずぎり、そばぼうろ」
「手土産ないとかそんな非常識な行動まさかしないよねー?抹茶関連のお菓子とか普通は持ってくるよねー?」
「しゃけ」
「腹減ってんのか?」
京都校の人達は私達にお土産を渡さないまま内輪で揉め出した。おやおやー、これは京都校の方々はあまり関係が良好ではないのかな?京都校の先生が喧嘩を止めるが呆れている。そして私達の方を見て
「で、あの馬鹿は?」
と聞いてきた。
「悟は遅刻だ」
「悟が時間通りに来るわけねーだろ」
「誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ」
「ねえねえ、後ろから五条先生が来たよ」
凄いスピードで荷台に大きな荷物を乗せながら。久方振りに現れた五条先生は、何故か語り出しながら京都の人達によく分からない人形のお土産を渡す。
「そして東京の皆にはコチラ!!」
待たせてごめんね!な雰囲気で五条先生がこっちを見る。
「ハイテンションは大人って不気味ね」
「だねー」
あの大きな箱には何が入っているんだろう。でもお菓子ではなさそう
「故人の虎杖悠二君でぇーす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」
とんでもないものだ入ってた。
バカな事をして現れそうとは言ったがまさか本当にそれを実行して現れるなんて誰が想像できようか。虎杖君を見て私達が固まってると、思っていたのとは違かったのだろう虎杖君も気まずそうにしている。どうして良いか分からないでいたら先に動いたのは野薔薇ちゃんだった。
「おい」
「あ、はい」
虎杖君が入っている箱を野薔薇ちゃんが思いっきり蹴る。
「何か言うことあんだろ」
涙目になる野薔薇ちゃん。あんな風に強がってたけど野薔薇ちゃんは虎杖君のことを気にしていたのだ。そんな野薔薇ちゃんを見て状況を理解したのか
「黙っててすんませんでした…」
私達が言って欲しかった言葉をやっと言ってくれた。では次は私が
「おかえり虎杖君、戻ってきてくれて嬉しい」
あの時の、自己紹介をした時のように虎杖君の前に手を出す。虎杖君も察してくれて手を出して握手をする。
「ただいま如月。その、心配させてごめんな」
「本当だよー」
顔は絵がをのまま、握手をする手に思いっきり力を込める。私だって怒ってるんだから。皆を心配させてあんなふざけた登場して、それに
「如月、その手…」
「後で花代請求するからよろしくね」
「なんの話?」