伏黒君が虎杖君を祓うと言ったが通常なら私達が二人がかりでも太刀打ちできる相手ではない。

「それより俺も伏黒達もボロボロじゃん。早く病院行こうぜ」

祓う宣言をされた本人は何にもさなそうに私達に接する。それが私達の判断を、祓うという判断を鈍らせる。しかし今は普通に接しているが宿儺を見に宿しているのだから突然意識を奪われ私達を殺す。なんて事もあり得る。

「今どういう状況?」

私達三人以外の声が聞こえた。この声は私を急遽しょうもない理由で任務につけた、そして酷い目にあっている元凶

「五条先生!どうしてここに」
「来る気なかったんだけどさ、流石に特級呪物が行方不明になると上が五月蝿くてね。観光がてらはせ参じたってわけ」

そう言いながら先生はボロボロの私達が面白いのかスマホで写真を撮る。凄いや先生、登場してから一分も満たないのにこんなに苛つかせるなんて

「で見つかった?」

主語は言っていないがそれは宿儺の指だとは想像がつく。しかし「宿儺が受肉しちゃいましたー」なんて言えずに私と伏黒君は先生から目を逸らし黙っていたら代わりに虎杖君が言ってくれた。あっ先生、笑顔が固まった。

「マジ?」
「「マジ」」

私達の回答と虎杖君をまじまじと見てる。宿儺の気配を感じ取ると先生は在ろう事か虎杖君に10秒、宿儺を出せと言った。そして先生は手に持っていた紙袋を伏黒君に渡す。伏黒君は紙袋の中が何か分からないようだが、この紙袋は…!

「これは?」
「喜久福」
「喜久福だー!」

私が仙台に来て食べたかったTOP3に入る食べ物。伏黒君はこんな一大事に何土産買ってるんだ。って顔をしているが頑張った私達へ買ってきたご褒美かも!

「土産じゃない。僕が新幹線で食べるんだ」

違かった。

抗議を入れようとしたらいつの間にか宿儺が先生に攻撃を仕掛けていた。しかし五条先生、人でなしではあるが最強の呪術師。宿儺と対等に渡り合う。人でなしではあるが強いのだ。というかよく考えたら先生が喜久福買ってないで直ぐに此処へ来てたらこんな厄介事にはならなかったのに。
そう考えると私にもこの喜久福を食べる権利がある筈。伏黒君から紙袋を拝借し一個だけ貰おうとしていたら10秒経ったようで意識を戻した虎杖君を気絶させていた。次に目を覚ました時に虎杖悠二として目を覚ましたら器の可能性があるらしい。

「さてここで二人にクエスチョン。彼をどうするべきかな」

先生が私達に問い掛ける。その問いに先に答えたのは伏黒君だった。

「仮に器だとしても呪術規定に乗っ取れば虎杖は処刑対象です。でも死なせたくありません」
「…私情?」
「私情です。なんとかして下さい」
「成る程。…琴葉はどう?」
「虎杖君言ってました。呪いなんて理不尽な死ではなく、知っている人は正しい死に方で死んで欲しいって」
「へえ…」
「虎杖君は呪いでは死ななかった。それなら理不尽な死を今、虎杖君に与えるべきではありません。彼はまだ生きるべきなんだと思います。…なので先生、虎杖君を助けてくださーい」

私達の答えに先生は楽しそうに笑う

「かわいい生徒達の頼みだ。任せない」

どうやら私達の答えは先生にとって正解みたいだ。先生人でなしだけど、上に対抗する力はあるからなんとかなるだろう。

「それと琴葉、喜久福勝手に食べようとしてたから罰として今からマジデコピンね」
「はぁー!?待って!こっち来な…ぃっだああぁ!」

夜の学校に私の悲鳴が響き渡る。


次の日、私と伏黒君は怪我の治療を受け終わり火葬場へ向かっていた。

「実際になんとかしちゃうんだから先生って凄いよねー」

虎杖君は先生のお陰で今すぐに死刑になるのではなく、宿儺の指を全て取り組んでから死刑になるという執行猶予がついた。普通ならこんな事はあり得ないのだが最強呪術師と謳われ家系も強い五条先生だからなせる力技。

「乙骨先輩の時も先生がなんとかしたんだから虎杖の件もなんとかなったんだろう」
「乙骨先輩かー。何時帰ってくるんだろう」

乙骨先輩とは二年生で私達の先輩である。乙骨先輩が昨年呪術高専に来たのは今は居ないりさちゃん?りなちゃん?だっけ?まあ乙骨先輩の幼馴染が凄い怨霊で、それが理由で先生が上と揉めてたようだ。でも先生はそこでもなんとかしたようだ。で、今ではりかちゃん?は無事に成仏をして乙骨先輩は無事に?呪術師として生活し、今は仕事で海外に行っていている。

「お土産何買ってきてくれるかな?」
「如月、お前怖くないのか」

主語を言わないが虎杖君の事を指しているのだろう。呪いの王、両面宿儺を見に宿した人間。何時どうなるか分かったものではない。それに昨日私が宿儺に未遂だが殺されかけた事から伏黒君は心配をしている。

「彼ってさ、昨日会っただけでも真っ直ぐな善人って分かるじゃん。そんな人を怖がるなんてできないよ。伏黒君だってそうでしょ?」
「…さあな」
「素直じゃないなー」

顔が少し笑ってるから肯定してるのは分かるんだぞー。なんて思いながら歩いてたら五条先生と虎杖君を発見した。荷物をまとめろと言われても虎杖君はこれから何処に向かうか分かってないらしい。伏黒君が行き先を伝えると虎杖君は私達の存在に気づいた。

「伏黒!如月!元気そうじゃん!」
「包帯見てそう思うか?」
「君の元気の基準が分からない」

伏黒君がこれから虎杖君は私たちが通う学校に転入する事を伝える。同級生が四人しかいない事に対し驚いている虎杖君の前に私は立ち

「よし!自己紹介するね」
「昨日したじゃん」
「昨日のあれは、どうせもう二度と会わないと思ったからあんなの酷いのになっちゃたの。だからノーカン!これから君の同級生になるんだからちゃんと自己紹介は必要だよー。
では改めて、私は如月琴葉。君が通う呪術高専の一年だよ。よろしくね虎杖君」
「虎杖悠二。これからよろくな如月」

私と虎杖君が握手をすると五条先生はニコニコ笑いながら、伏黒君は面倒くさそうに私達を見ている。五条先生が「恵も挨拶したら」と言うとすぐさま「やりませんと」返ってきた。素直じゃないなー。



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