次の日宮城に行く為寮の玄関口で伏黒君を待っていたら「何でお前も行くの?」という顔をされた。先生、伏黒君に言うの忘れたな。昨日の先生との経緯を伝えると呆れと私に同情の視線を送られた。やめてーそんな目で見ないでー。
まあ何や感やで宮城県仙台へ私達は向かった。呪いの頂点に立つ両面宿儺の呪物、どんな頑丈な結界で守られているのかと思えば何処にでもある高校の百葉箱だった。伏黒君は先生とスマホで電話のやり取りをしながら呆れているが私も同じ気持ちだ。これだったら伏黒君一人で事足りただろうに。先生の言う通り呪物は怖いけど内容として見たら簡単な任務だった。美味し牛タンの店調べておこう。そんな事を考えながら百葉箱の箱の中身を見る。

何も入ってない。

視覚的結界を施しているのかと思ったが呪物の気配が感じない。嘘、本当にあんな厄介なものないの?血の気が引くのが嫌でも分かる。それと同時に伏黒君が電話をしながら苛立つのもわかる。

「ふふ伏黒君、せ先生は何と…?」

先生との電話を終えた伏黒君に恐る恐る聞いてみる

「回収するまでは帰ってくるな。と」
「人でなしー!」

簡単な任務だった筈なのに一気にハードルが上がった。しかもこんな大問題私達に任せるのか。何か起きたら私と伏黒君に責任が問われるとか?終わった…
私が絶望しているとこの学校の誰かだ持っている筈だから日中探すぞ。と言っているのが遠くから聞こえた。

次の日の放課後、極秘ルートで借りたこの学校の制服を着る。伏黒君と別れて学校内を散策するが呪物の気配を探っても両面宿儺の気配ではない。恐らく学校内にいる別の呪霊の方が強すぎて思うように感知できない。このままだと夜に学校内の呪霊をくまなく払ってから呪物を探すようになってしまう。うわー面倒、しかしよくあんな封印されているとはいえ危ないの拾えるな。いや何にも感じないからできたのか。あー嫌だ嫌だ無知って怖い。事の重大さも分からずにこうやって人に迷惑をかけているのだから。…おっと伏黒君から電話だ

「もしもーし如月です」
「持っている奴の目星が付いた。けど学校をもう出て行ってる。追うから校門にすぐ来てくれ」
「了解」

では無知なお馬鹿さんに会いに行きますか。



調べ上げたところ呪物をもっているのは虎杖悠二、私達と同じ高校一年生で親類は病院で入院している祖父一人だけ。今虎杖悠二は祖父の入院している病院にいる。いや正確には入院していただ。私達が到着する前に亡くなったようだ。

「虎杖悠二だな、呪術高専の伏黒だ。悪いがあまり時間がない。オマエが持っている呪物はとても危険な物だ。今すぐこっちに渡せ」
「喪中の中ごめんなさーい。同じく呪術高専の如月でーす。君が持っているのくれたらすぐ帰るから早く寄越せ」

受付窓口で書類の手続きをしている虎杖君と接触する。おー直接会ってみると彼から凄く呪物の気配を感じる。私達の登場と理由を聞かないと納得をしないという虎杖君に伏黒君が説明する。伏黒君が虎杖君が持っているのがどれだけ危険なのか説明した後、呪物が入っている木箱を伏黒君に渡した。

「回収できて良かったねー。でね、伏黒君帰りに私この牛タンの店に行きたい…はあぁー!中身入ってないんですけど!?」

一件落着、そう思いながら箱の中身を見たら何も入ってない。

「中身は!?」
「だァから先輩が持ってるって!!」
「何で君は空箱だけ持ってるの!紛らわしなあ!!」
「ソイツの家は!?」
「知るかよ。確か泉区の方…」

虎杖君が何か思い出したのか急に黙った。どうしたのかと問いただすと

「そういや今日の夜学校でアレのお札剥がすって言ってたな」

最悪な事態に私と伏黒君は言葉が出ない。私達の雰囲気に察したのだろう虎杖君が「もしかしてヤバイ?」と聞いてきた。ヤバイどころの話じゃないよ。本当無知って怖い物知らずで大馬鹿



急いで私達は学校に走って向かう。しかし男女の差なのか私と伏黒君達とで距離が開く。

「遅いぞ如月!」
「これでも頑張って走ってるのー!私のことは気にせず先に行って!すぐに行くから!」

私の言葉を聞いて二人は更にスピードを上げた。速っ。休みたいけど今はそれどころではない。学校に近ずくにつれ呪物の気配は強くなる。このままだと死者はでるし特急の呪霊も出てきてしまう。そうなったら私と伏黒君ではもうどうにもできない。全速力で走っていると目的の学校に到着した。校門の前には虎杖君が立っており伏黒君の姿はない。もう学校内に入ったか。虎杖君は伏黒君に此処に残ってろと言われたのだろう。しかし、学校の外にいても呪物と呪例の気配を感じ取り怖いのだろう。手が震えている。

「怖いんでしょ?帰ったら?君が帰ったことは私から伏黒君に言うよ」
「友達が危ない目にあっているのに自分だけ帰れるかよ」
「でも体は恐怖で震えてる。君が帰っても誰も責めない」
「……」
「まあ君達を守るのが私達の役目だから此処までは被害は届かないようにするから安心して」

考え込む虎杖君を尻目に学校の中に入る。学校内は呪物に引き寄せられてか低級の呪霊の気配を感じる。無視して先を行きたいが呪霊はみすみす見逃してはくれないようだ。

「もう、邪魔だなー!」

腕に付けていた数珠を外し呪力を込め、数珠の珠が増えロープぐらいの長さになる。

珠呪葬冥

私の術式。呪物に向かって数珠を投げ縄をするように投げ呪霊を拘束する。

「御陀仏しちゃえ」

数珠にまた呪力を込めると拘束された呪霊は爆発して跡形も無くなった。何処にいるか気配を探ろうとすると女性の悲鳴が聞こえた。急いで声のする方へ向かうと玉犬を出して呪霊を倒しながら走る伏黒君の姿を見つけた。

「伏黒くーん!」
「遅えよ」
「だからごめんねー!でも頑張って走ったんだよ!」

伏黒君と合流し走る。廊下の角を曲がった所、居た。呪霊が二人の生徒を取り組もうとしている。私達が攻撃するよりも先にこのままだと取り込まれてしまう。そんな時だった

外から虎杖君が窓ガラスを割って入り二人を救出した。ここ四階なのにどんな運動神経だ。しかし、これで心配の種はなくなった。
呪霊は諦めてないようでこちらに手を伸ばそうとするが、私が数珠で呪霊を拘束しその間に伏黒君が呪霊を倒した。

「何で来たと言いたい所だが良くやった」
「危ないから来ちゃダメって行ったのに!けど恩に着る!」
「なんで偉そうなの」

伏黒君は虎杖君に「怖くないんだな」と言っているが、校門前で震えていた虎杖君の姿を思い出す。伏黒君の問いに虎杖君は怖かったが此処で死ぬのは正しい死ではないから動けた。と答えた。正しい死、ねえ…
兎も角、このまま呪物の封印は解かれたまただし此処いては危険なので出ようとしたら呪霊の気配が急に現れた。それと同時に天井が崩れた。伏黒君の方が私よりも動くのが早く、身を呈して虎杖君達を庇った。現れたのは2級の呪霊。伏黒君はその呪霊に拘束されていが腕は動くようだ。伏黒君と私の術式で呪霊を攻撃しようとしたら、呪霊が私に向かって伏黒君を放り投げた。

「はあ!?…っぐぁっ」

壁と伏黒君に挟まれぶつかり更には呪霊が私達に向かって突撃し外に放り出された。体のあちこちが痛い。頭から血も流れており意識が遠のく。伏黒君は立ち上がれるようだけど私と同じで術式は出せないみたいだ。虎杖君と喋っているのが聞こえるが内容までは聞き取れない。その時だった

邪悪で膨大な呪力の気配を感じ遠のいていた意識は覚醒した。やっとの事で立ち上がり現状を見ると先ほどの呪霊は倒され、虎杖君には刺青が浮かんでいる笑っている。呪霊を倒したとこの呪力の出所は虎杖君だ。考えられる事は一つ、それは一番あってなならない最悪な事態。両面宿儺が受肉した。

「まずは手始めにこの女から殺るか」

背を向けていた宿儺が振り向き私を見る。私が宿儺の獲物。術式を組もうとするが先程の攻撃か、宿儺への恐怖からなのか上手くいかない。宿儺の腕が私に伸びたのだが、何故か宿儺は自分の手で自分の首を絞め自問自答を始めた。どうやら虎杖君の意識は死んでおらず逆に宿儺を抑え込もうとしている。宿儺相手にそんな事ができる人間がこの世に存在するなんて信じられない。私は唖然としていると伏黒君の方が決断と行動が早かった。

「呪術規定に基づき虎杖悠二、オマエを“呪い”として祓う」



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