交流会の一日目は団体戦その名も“チキチキ呪霊討伐猛レース”
指定された区画内にいる二級の呪霊を祓った方の勝ち。日没までに決着がつかない場合は三級以下の呪霊を多く祓った方の勝ち。妨害も有りだけど本来の目的は仲間を知って自分を知るためのもの。殺したり再起不能にさせないように。

以上が五条先生を締めながら説明してくれた夜蛾学長のお言葉である。仲良くって言ってもあっちの方々はそうするつもりは更々なさそうだけど。
開始になるまでの間は自由行動となるが私達は今後の最終確認をする為指定された屋敷へ向かうのだけど、その前に五条先生に声をかける。

「先生、五条せんせーい」
「何?琴葉?」
「何じゃないよー。虎杖君を内緒にしてたの先生の差し金でしょ?ひどいよー」

この一ヶ月半私達がどう過ごしていたか知ってる癖に。虎杖君は勿論、五条先生にも私はお冠なのだ。

「ごめんごめん。でも悠二が生き返ったのをどうなるか琴葉も想像はつくでしょ?」
「そうだけど」
「それにサプライズも成功したし」
「先生のサプライズ、センスがなくて逆にびっくりだけど」

あーっ。でも

「代わり映えのない日常を過ごしているお爺ちゃんには驚きって良い刺激になるから良かったかも」

私が笑いながら言うと五条先生も笑いながら言い返す。

「そこに目をつけるとは琴葉はお目が高い」






「メンバー増えちまった。作戦変更か?時間ねぇぞ」

虎杖君の加入により私達は作戦をどうするか話し合う。パンダ先輩に何ができるかと聞かれ虎杖君は殴りと蹴りだと答えるが間に合っていると言われどうするか困っている。
先輩達は虎杖君のことを知らないからどうしたら良いのか分からないけど虎杖君を知っている私達から見たら虎杖君の蹴るや殴るは凄く強力だ。場合によってはパンダ先輩以上になるか、もしかしたら

「東京校・京都校全員呪力なしで闘り合ったら虎杖が勝ちます」

伏黒君も私と同じ考えを持っていたようで先輩達に助言する。普段の伏黒君なら言わないその言葉を聞き先輩達は目を丸くして驚くものの、直ぐに笑みへと変わる。
伏黒君の言葉が決め手となり作戦の流れが決まった。本来なら京都の東堂先輩の相手はパンダ先輩か伏黒君であったがこれを虎杖君へ変更する。残りの私達で呪霊を倒したり遭遇した京都校の人達と戦う流れだ。
東堂先輩は去年起きた呪術テロ“新宿・京都百鬼夜行”に参加し一年生ながらに一級と特級の呪霊を倒したとんでもない人。そんな人の相手をするのは虎杖君で適任だと私も思う。まあ少し心配はしているがそれよりも、私が予想している“もしも”の方が心配だ。

「ねえねえ、虎杖君」
「んっ?どうした?」
「あのね、もしも危ないって感じたらすぐ逃げて私達に連絡してね」
「それって東堂ってヤツと戦った時?」
「ううん。東堂先輩以外で危険って感じた時」

何言ってんだ?という顔で虎杖君は私を見るが流石に正直に言うのは気がひけるので言わない。

君が殺されろうになった時だよ。なんて

生き返って戻って来てくれたのにそんな事、言えない。

「とにかく危ないって思ったら連絡を!報連相は大事なんだからー!」
「?おう。分かった」

分かってないでしょ。大丈夫かな。そんな一抹の不安を感じながらも時間は過ぎ、開始時刻になる。五条先生の無茶振りに京都校の先生が怒るというぐだぐだな緊張感のないやり取りで始まった。

先頭を玉犬が走り周囲を詮索する。向かうはボス地点が居ると思われる中間地点。東堂先輩が現れたら伏黒君と真希先輩、虎杖君を除いた残りの私達の班に別れる。走っていると玉犬が目の前に三級の呪霊が居るのを知らせる。討伐しようとすると伏黒君から止まれと言われた。そして次の瞬間

「ぃよぉーし!!全員いるな!!まとめてかかってこい!!」

ゴリラ、襲来

間違えた。またも上半身裸で東堂先輩が現れた。それも木々を倒しながら現れるというインパクト大な登場の仕方。しかし東堂先輩が此方来るのは予想通り。直ぐに虎杖君が東堂先輩の相手をし私達は二手に別れる。

「こわー」
「分かっちゃいたけど化け物ね」
「そっ、だから無視無視」
「ツナ」


中間地点に急いで向かうが目当ての呪霊が見当たらない。それどころか此処に現れると予想していた京都校の人達を誰一人感じない。疑問に思いパンダ先輩が詮索を始める。

「変だな。京都校がまとまって移動している…。悠二とバラけた辺りだな」

“虎杖君と別れてから”…どうやら苦々しいことに、不安は現実になりそうだ。

「これ京都全員揃ってないか?」
「二級よりも大事な目的がいるからそっちに行ってるでしょ」

皆が私を見る。パンダ先輩は今ので勘付いたようだ。

「おい。それって」
「呪霊以外の目的って何よ」
「あっちの人達、虎杖君を殺そうとしてるよ」

野薔薇ちゃんの目が大きく見開き驚愕の色に染まる。

「何ソレ!!意味分かんない!!」
「こんぶ」
「確かにそこまでの敵意は感じなかった」

学校に来た時も、今日最初に会った時も嫌味や喧嘩腰ではあったが殺意を含めた敵意はなかった。しかし

「ありゃ悠二生存のサプライズ前だろ」

前回の虎杖君の死亡の原因に関わっており、そして虎杖君が生きていると分かったのを知り面白くない人物が一人だけ、いる。

「楽巌寺学長の指示なら全然あり得る」
「他人の指図で人を殺すような腑抜けの集まりなの?京都校は?」
「認識が違うんだよ」
私達一年は虎杖悠二という人間を知っている。しかし、知らない人から見ると宿儺を身に宿している人間。恐怖の対象でしかなく呪いを祓うという感覚なのだ。パンダ先輩が私達以外が見た虎杖君の認識を伝える。しかし虎杖君を知っている私達からみたら、もう死んでほしくない。それなのに

「危険だと思ったら連絡してって言ったのにー!報連相って言ったのにー!」

スマホを見ても虎杖君からの着信はなく、電話をかけても出てくれない。

「虎杖君を助けに行こう。それで京都校の人達ギッタンギッタンにしよう」
「待て琴葉。俺と野薔薇で悠二の安否を確認する。オマエは棘とこのまま呪霊狩りを続けてくれ」

まさかの展開

「おかか」
「あっちは全員で喧嘩売ってるんだから私達も全員で買ってやろうよ」

狗巻先輩もパンダ先輩の作戦は反対なようで手をバツにして意見する。

「悠二が心配なのは分かるよ。でも俺の妄想が正しければ京都校がやろうとしてんのは団体戦のゴタゴタに乗じた悠二暗殺。団体戦が終われば暗殺もなしだろ」

確かにこのレースが終わればあっちは手出しできなくなる。

「それにあいつらが一番注意してるのは棘だ。呪言の対策も考えてるだろう。琴葉は棘の負担を減らすようにと棘が攻撃されそうになったらサポートをしろ」
「…分かりましたー」

パンダ先輩の言葉は理に適っており納得せざる得ない。狗巻先輩も納得したようだ。

「真希のこともある。悠二は殺させないし団体戦にも勝つぞ」
「当然」
「野薔薇ちゃん頑張ってね!顔狙っちゃいな!顔!!」
「そのつもり。琴葉も頑張りなさいよ」
「おっけー!」

私達は更に二手に別れそれぞれの目的を目指す。

「狗巻先輩よろしくお願いしますー」
「高菜」
「はーい」

狗巻先輩何言っているか分からないけどフィーリングでなんとかなるだろう。

あの後中央エリアを探したがお目当ての呪霊は出てこず。移動しているという結論になり私と先輩は森の中にいる。走っている時、遠くから大きな音が聞こえてきて皆が戦っているのが分かる。皆も頑張っているんだから私達も頑張らなくては。森を詮索していると玉犬が私達の所に向かって来た。口にスマホを加えておりどうやら京都校の誰かのスマホのようだ。このスマホをどうするのか不思議に思っていると狗巻先輩は察したらしくスマホを受け取る。電話をかけたかと思うと

『眠れ』

呪言で電話を出た相手を眠らせた。これで一人は戦力外になった。味方からの電話だと思ったら敵でしかも攻撃されるなんて相手も思わなかっただろう。

「おぉー!お見事!」
「ツナマヨ」

私が感動をして拍手をすると狗巻先輩は少し照れる。

「玉犬もお疲れ様」

玉犬に労いの言葉を伝え、先輩は玉犬を撫で『戻れ』と言うと玉犬は居なくなった。呪霊の散策を再度再開すると直ぐに気配を感じた。しかしそれはとてつもなく嫌な気配。木々の間から呪霊の頭があらわれる。しかし現れたのは頭だけで身体の部分はなく死んでいた。それなのにこの嫌な気配は消えずにまだ、居る。

二級の呪霊?ううん、これは違う。かといって一級でもない。そうだこれは

特級だ

それは姿を現し、私達を獲物として見る。二級って言いながら特級用意するなんて先生達もサプライズ好きねー。ってそんな訳ないか


「しゃけ、いくら、明太子」

狗巻先輩も戦闘態勢に入り私も数珠を発動する

「狗巻先輩、全力でサポートします」



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