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発砲した男はあの後仲間と思われる男達と車に乗り去ってしまった。何か怪しいと感じた私達は虎徹さん達と別れた。
だけどあの雰囲気の中あの二人だけ残して良かったのだろうか。
いや駄目だろうな。絶対バーナビーさん怒ってるか不機嫌になってそう。そして「何を考えてるんですか」とか虎徹さんにグサグサ言ってそう。

「ボンジュール。ヒーロー」

そんなことを思ってたらアニエスさんから呼び出しがきた。





アニエスさんから話を聞いてみると強盗事件が発生したとのことだ。そしてこの事件は指名手配中の強盗犯ホーリー一味が引き起こしたもの。そのホーリー一味、やはりと言うのか私達に発砲した男達だったみたいだ。
何より驚いたのが盗んだ品である。ヘラクレスの涙と言うらしく価格にすると600万シュテルンドもするらしい。そんな超がつくほどのお宝は先程発砲した男が首に掛けてたペンダントときたものだ。趣味悪いなんて言ってすみませんでした。
まぁ、そんなこんなでホーリー一味を捕まえようとしてるわけなのです。
ホーリー一味は三人で形成しており、その内の一人を既にスカイハイが捕まえた。そしてワイルドタイガー達が主犯の男を追っている。なので私は残りの一人を捕まえようとその男がいると思われる場所に行ってみるが

「私の氷はちょ「遅かった…」

一足先にブルーローズが犯人を捕まえてしまってた。もうちょっと早く動けば良かったなぁ…

「決め台詞中に入ってこないでよ!」

私が悔しがってる一方でブルーローズはご立腹ときた。その理由は私が現れ、決め台詞と私の言葉が被り上手く決まらなかったかららしい。
自分の台詞が被り、何とも言えない気持ちになるのは先私も程経験したから良く分かる。悪いことしちゃったな

「だったらもう一回言ったら?今度は黙ってるわ」

申し訳ないのでもう一回決め台詞を言うのを勧めた。でも、「やらないわよ!」とか言いそうだな。なんて思ってたら

「…本当に黙ってなさいよ」

と言ってきた。私から勧めといてなんだか本当にするんかい。というわけでテイク2入ります。

「私の氷はちょっぴりコールド。あなた「おそかったか〜」

何と言うことでしょう。今度はファイヤーエンブレムが現れ、又もブルーローズの決め台詞は失敗してしまった。「だから決め台詞くらい最後まで言わせてよ!」
「あら何のこと?」「もう一回言ったら良いじゃない」
「もう言わないわよ!」

怒られてしまったよ。


「私だって」

そんなことをしてたら上から声が聞こえてきた。上を向くとスカイハイがいた。表情は分からないが凄く哀愁が漂ってる。

「決め台詞が言いたかった」

…そういえば


「ずっと待ってたのに」

あんなことが起きてしまったから

「路地裏で一人佇む私」

この人のこと

「とても寂しかった」

すっかり忘れてた。
一番ノリノリで、一番頑張ってたのに一人放置とか可哀相すぎる。だが、彼をそういう状況にしてしまったのは故意はないのだが、紛れもなく私達なのである。

うわー先程のブルーローズの台詞が被ってしまったときより、申し訳ない気持ちで一杯だよ。

「じゃあお詫びに残りの犯人譲ってあげるわ。捕まえてきたら?」

ファイヤーエンブレムも申し訳ないと思ったみたいで残りの犯人、主犯の男の捕獲を譲ると言う。主犯の男は今ワイルドタイガー達が追っているはずだ。でも、スカイハイが今からでも捕まえようとするのであれば恐らく彼等より先に捕まえてしまうであろう。

「いや、遠慮しておくよ。ここは彼等に任せておこうじゃないか」
「「へぇ?」」

スカイハイはその誘いをやんわりと断った。ファイヤーエンブレムとブルーローズは断ると思ってなかったら気の抜けた声をあげる。私も声こそは出さなかったが驚いてる。

「貴方の力ならあの二人より先に犯人を捕獲できるはずだわ。それなのに何故譲ろうとするの?」

つい思った疑問をスカイハイにぶつけてみる。するとスカイハイはこう答えた。

「だって今日は特別な日だろう」

その答えにスカイハイが何を言いたいのか分かった。
スカイハイらしいと言えばスカイハイらしい答えだろう。そしてこんなことを言えるのもスカイハイだからだと思う。

「貴方ってやっぱりキングオブヒーローね」

思わずスカイハイにそう言うと、いきなり言ったものだからスカイハイは首を少し傾げる。表情は分からないけど多分キョトンとした顔になってるのであろう。
でもすぐに何時も口にしてる「ありがとう。そしてありがとう。」と私に言った。

うん。自覚がなくいのもこの人らしい。


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