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太陽が沈む時間帯、人通りの少ない裏道を覆面をかぶった怪しげな男が走る。そんな怪しげな男を追う、二人の男

「見つけたぞ」

覆面の男を二人は追い詰めるが覆面の男の隣りにもう一人、覆面にサングラスをかけた男がいた。

「助けて下さい、親分!」

追われていた男が助けを求める。どうやらこの男が親玉のようだ。

「お前だな、窃盗犯の親分は」
「貴様ら何者だ!?」
「フハハハハ!貴様に名乗る名前等ない!お前みたいなクズ野郎、とっとと捕まえてやるぜ!」

どうやら覆面の男達は窃盗犯らしい。窃盗犯を追っていた男達は捕まえることができる。そんな自信があるのか強気な態度をとる。

だが、

「それはどうかな?」
「手を挙げな」

窃盗犯を追っていた男達の背後から聞こえてくる声。振り向くと窃盗犯の仲間と思われる三人が拳銃を持って立っていた。

五対ニ、不利な状況へ変わってしまった。

「うちの親びんに酷いことを言ってくれるじゃないか。クズ野郎だなんて」
「てめーらかくごはできてるんだろうなー」
「どうしようバニー?」
「そんなこと言われてもー」

焦りだす男達に窃盗犯の親玉も拳銃を取り出し二人に向ける。

「フフフ、これで終わりだな。そしてジ・エンドだ!」
「助けてくれ!」

とうとう男が命乞いをする。

しかし…

「死ねー!」

窃盗犯達は男の言葉に耳を傾けず拳銃を発砲する。

-パパァーン!!-

しかし銃口から出てきたのは鉛玉ではなくHAPPY BIRTHDAYと書かれた紙と色鮮やかな紙吹雪。
そして窃盗犯達の口からある言葉が言われた。

「「「「「「ハッピーバースデー!!」」」」」


………………はい。以上がバーナビーさんの為に行うサプライズの予行練習でした。
そして今はバーナビーさんがいないので私達が買ってきた兎のぬいぐるみをバーナビーさんの代役にしました。因みに先程までのバーナビーさんが言うであろう台詞は虎徹さんがアドリブで言ってました。
絶対あんなこと言わないだろう。
それにしても皆ノリが良すぎないか。もしかして私がノリ悪いだけ?えっ、私が可笑しいの?


「沙耶、お前すっげー棒読みだったから本番までには何とかしろよ」
「わかりましたー」

私のノリの悪さが演技にも出てたらしい。まあ、私自身もこの演技ないわーと思ってましたし。
そして虎徹さんはキースさんにアドリブはするな、やり過ぎだ。と言ってる。
でも私はキースさんの演技が私達の中で一番凄かったと思うんだけどな。何時もの爽やかな声がガラの悪い声になったときは驚いた。
そんな頑張ったキースさんに駄目だしをするとは。シュンとするキースさんの顔が悲しそうに見えるのは私だけではないはずだ。
というか、キングオブヒーローに悪役をやらせるとは何事か。…と思ったが私達も悪役をしてるのだからある意味同じか。変な感じだな、ヒーローが悪役とか。

そんなことを思ってたらカリーナちゃんが虎徹さんにバーナビーさんのプレゼントは決まったか聞いている。
この兎のぬいぐるみは私達からのプレゼントで、虎徹さんは個人でプレゼントを渡すみたいだ。しかし、虎徹さんは何を渡して良いのか分からない。そこにカリーナちゃんが色々とアドバイスを与えてたらしい。
……が、これが欲しいというのが分からなかったみたいだ。


「そっか…ごめん」
「いや!ありがとな」

力になれず落ち込むカリーナちゃんに虎徹さんは気にするな、と言うかの様に頭を優しく叩く。もう、今のカリーナちゃんの表情ときたら…。
やはりこれはもしかすると……もしかしてしまうのか?

ちらりと虎徹さんを見るとバーナビーさんへ何を渡すか唸りながら考えてる。
…んー、やっぱり私が深く考えすぎてるのかな?




虎徹さんがバーナビーさんを呼び出したのでいよいよサプライズが実行される。
アントニオさんとキースさんは別々の場所でスタンバイをしてる。そして私達はというと、2人の様子を見てすぐに行動できるようにと虎徹さんの近くにいる。

「で、プレゼント何にしたの?」

カリーナちゃんが虎徹さんに尋ねると、虎徹さんは自信満々な態度をとってきた。

これは良いプレゼントを見つけたのかな。

「俺がプレゼントってことで良いかなと!」

全然ダメだった。

「絶対良くない。喜ぶわけないでしょ!」
「やっちゃいけないパターンですよ。それ」

私達が否定をするとやっぱりそうかと虎徹さんが言った。当たり前だ。

「とりあえず何か準備しなきゃ」
「いやでも、もう時間が…」
「もう最終手段でコンビニかスーパーでケーキを買ったらどうですか?」
「お前結構投げやりだな」

そんなことをしてたらバーナビーさんがこちらへと向かって来たので私達は隠れる。
上手くいくだろうかと不安を感じながら二人の様子を見る。


「窃盗団がいるらしいんだ。一緒に捕まえてくれないか?」
「お断りします」

やっぱムリそう

不安が確信へと変わるがとりあえず2人の様子を見続ける。 そして、そこへアントニオさんが登場したがシナリオ通りいかずグダグダしてる。

「もう何やってんの」
「本当だよ」
「あら二人が動いたわ、行くわよアンタ達」

もう呆れながら様子を見てたのだが、やっと動き出したので二人の後を追う。
……が、二人のグダグダなやり取りはまだ続いてて、何時出れば良いのかタイミングを見計らう。
そしたらやっとアントニオさんの姿は見えないがキースさんと接触をしたので私達も動き出す。

うわー、いざ本番ってなるとドキドキする。私もノリノリで演技をしなくては…!


「うちの親びんに酷いことを言ってくれるじゃないか、クズ野郎だなんて」
「か「そんなこと誰も言ってませんけど」

えー

私の台詞がバーナビーさんの言葉で遮られてしまった。えー
ってか、またシナリオ通りにいってないんかい。「えっ」
「そうなの?」
「えー」

私達は戸惑いを見せるが虎徹さんは苦笑いをするだけ。
それよりも、あの人は本当にキースさんなのだろうか?何か服装が先程と違うし、体型もぽっちゃりしてるというか…。それにあの首からぶら下げてるペンダントは何?こう言っちゃ悪いけど趣味の悪いペンダントだな。
なんて思ってたら、キースさん?が拳銃を向け引き金を弾いてきたので私達も引き金を弾く。そしたらキースさん?の銃口から鉛玉が出てきた。

……鉛玉が出てきただと?

「今どうして玉出たの?」

虎徹さんも何が何だか分からないらしく私達に尋ねてきた。いや、私達にに聞かれても…

「何で犯人に話しかけてるんですか」

バーナビーさんが私達の方を見る。
そこでバーナビーさんが目にしたのは、HAPPY BIRTHDAYと書かれた紙を銃口から出してる玩具の拳銃を持ってる私達の姿

「何だこれ」

バーナビーさんが真顔で呟く。多分、バーナビーさんも何が何だか分からないの心境になってるのだろう。
でも今のバーナビーさんの様子を見ると驚いてはいるよね。
ってことはサプライズは大成功!
………なわけないか。


サプライズ不発

title:コランダム


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