小説 | ナノ




3











スクアーロを追いかけて庭園をさ迷っていたディーノは、大きな噴水の周りをぐるっと半周したところで縁石に座って溜め息を吐いた。


「あーあ…パーティーに来てまで何やってるんだろ、俺」


どこへ行っても振り回される己の情けなさにがっくりと肩を落として、背を丸める様は到底一ファミリーのボスらしいとは言えない。


(その点アイツ…あの御曹司はいつも堂々としていて、既にボスの威厳に満ちてるよなぁ。世の中って不公平だ…)



「…はぁ、情けな…ダメダメ!」


そよそよとハニーゴールドの癖毛を風が優しく撫で、麗らかな日差しが足下の影を刻む。こんな爽やかな場所で華やかなパーティーが行われているのに、そんな他人を妬んでいる自分に腹が立ち、大きく頭を振って立ち上がる。
と、その時噴水の水音に混じって微かに人の声がした。

「…今の」

ゆっくりと声のした方を振り返ると、植木塀の向こうにガゼボの屋根が目に入った。ディーノはなるべく音を立てないように静かに近づく。

「…!?」


木葉の隙間から覗き見た向こう側では、ディーノが探していた銀髪の少女と、そして先ほど存在を妬んだばかりの彼の人物が、日常の彼等には想像もつかないような姿を見せていた。


勿論、“それ”が何かはお子様のディーノだって知っていた。

「っ…ぁ゛…」

「おい、声出すなドカス」

「う゛、…んんぅっ……」


支柱に両手をついて腰をザンザスに向かって突き出すような態勢のスクアーロと、スクアーロを後ろから揺さぶるザンザス…。誰がどうみても、それはセックス。


「ひっ……痛……もっと…ゆっくり」

目元を真っ赤にしたスクアーロがとろけそうな顔で悠然と腰を振るザンザスを振り返る。

「なんだ、こんなに濡らしといて痛いわけあるか」

「ぁ゛んっっ……」


そう笑ったザンザスが、ワザと音を立てるように腰を動かすと、ディーノのいる場所にまでぐちゅっと湿った音が聞こえた。


(わあああああっ……なっ、何っ……そんな、)


あの、スクアーロが。学校では誰からも恐れられているスクアーロが、泣きはらして男に犯されている。
つい先ほどまで男だと思っていた彼女が、嫌でもオンナなのだと思い知った。


「あ゛…ぃやだぁ………」


「はっ。何が嫌だ、テメェ感じ過ぎだろう?」


「…気持ち良すぎて…変になるっ……」




思いもよらない艶めかしい彼女の声に、覗き見ていたディーノ自身の股関が熱くなるのを感じた。




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