小説 | ナノ




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―なんだよ、それ





「…怒んねぇの?俺、勝手にお前のガキ産んでんだぜぇ…?」





腕の中でもぞもぞ動いて顔を上げようとしたが、予想以上にがっちり抱き締められていてザンザスの顔が見えない。




「……できたのは、お前のせいじゃねぇだろ。」



心なしか声が柔らかい。

(なんだ、怒ってないのかぁ?)




チラリと覗く首筋の痣は消えていた。叩かれた頬はじんわりと熱くて、少しピリッとするのだがザンザスの浴衣の胸元にピッタリと頬を寄せてそっと腕を腰に回した。





「…ごめん…俺、お前が嫌がると思ってた」


「なぜ」


「ガキ、嫌いだろぉ?」


「嫌いだ」


「知ってる」


「嘘や隠し事されるほうが何倍も嫌いだがな」


「うん…ごめんなぁ…」















「んっまぁっ!」

長い時間ザンザスの腕に拘束されていたが漸く解放されて広間に行くと皆が集まっており、スクアーロを見て口々に「あ、生きてた」と言った。


腫れた頬を見てルッスが大袈裟なリアクションをしたが、ボスに子供がいるとバレたこと、特に嫌がっては居ないことを伝えると浅くため息をついて冷えたタオルを用意してくれた。





「先輩どうすんの?ボスとシルと会わすの?」



「…あぁ。会わせたい」



「でもシルちゃん、いきなりボスを連れて行って父親ですって言われても混乱しないかしら?」



「どうだろ。とりあえずボスに詳しい話もしてないし、後のことは帰国してから考えるぜぇ」



「脳天気」



「んだとぉっ」



ヒュッ



コツン




レヴィとスクアーロが睨み合いを始めたその時、2人に目掛けて玩具のアヒルがクリーンヒットした。


「う゛ぉっ」

「おい。スクアーロ、風呂行くぞ」




振り向くとザンザスが入口に立って予備のアヒルを握っていた。



「お゛?…おぅ!っつーかなんだこれっ」

「日本の風呂にはコレを入れると聞いた」

「どこ情報だぁ?」









「すっかり夫婦ねぇ」

いきなりイチャイチャしはじめた2人を見送りながらルッスが呟いた。



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