小説 | ナノ




25


12月に入り、乾いた風が肌を突き刺すように冷え込み、雪が降る日が増えた。


漸くザンザスとスクアーロの謹慎も解け、溜まっていた仕事も何とか片付いていよいよシルヴィアに会いに行くことができるようになった。



(すっげぇ久々…アイツ怒ってんじゃねぇかなぁ…)



今日スクアーロはシルヴィアに会いに行く予定だ。
ザンザスは行かないと言ったのでスクアーロ一人で行くことにした。ザンザスがシルヴィアの存在を知って1ヶ月、未だ2人は対面していないどころか、写真すら見ていない。



(やっぱ嫌なんじゃねぇかぁ)


スクアーロはエントランスの扉を開くと、ふぅ、と溜め息をついた。
暗い館の中と正反対に外は眩しい。



「スクアーロ」



光の中へ一歩出た途端、暗い館の中から声がした。
振り返り目を細めた。冬の光とは言え、まだ正午になったばかりで外は随分と眩しく、より一層館内を暗く見せる。



「なんだぁ?やっぱり一緒に行きてぇとか??」


「寒いから嫌だ。」


「そこまで寒いかぁ?」


「ふん」


薄暗い中でニヤリと笑ったザンザスの赤い目が光って、際立っていた。


「シル、…シルヴィアも、赤いんだぁ、目が。ザンザスと同じ…、髪は俺と同じ、銀髪でよぉ…」



ポツリと漏らした言葉は切れ切れで、拙い。しかしザンザスは黙って聞いていた。


(俺、急に何言ってんだぁ)





「ここで一緒に住めばいい。ジジィくらいなんとでもしてやる」


「…え?」



ザンザスから思いもしない言葉がでてきて、スクアーロはひきつった様な笑みを浮かべている。一方のザンザスは何でもない、と言った様子で腕を組み扉にもたれかかっていた。



「さっさと行って連れてこい」







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