「ザクセン、キミの髪は綺麗だね まるで星の輝きを反射する水面の様だ」 何百年も昔の時代、私が王国として認められた時に初めて迎い入れた王、 後に正義王と呼ばれる初代ザクセン王が私に言った先程の台詞は、時が経った今でもこの耳に残っている。 低く重みがある声にも関わらず、何処か甘いあの御方の声が愛しい。 背中まで伸びるあの御方が好きだった己の髪を一房摘まみ、目先まで持っていく。 毛先に近いほど金色が抜けていく己の髪が、他とは違う“異端”からか当時の私はこの髪がどうしても好きになれなかった。 (だけれどもあの御方はこの髪を褒めてくれた) たった一人に言われただけで私の人生は変わったと言っても過言では無いのかもしれたい。 それほど嫌で仕方がなかった自分の髪を褒めてくれたのが嬉しかったのか、若しくは王の言葉だからここまで深く突き刺さっているのか、今でも私には分からない。 只、未だに髪を伸ばし手入れをする私はあの御方にまた褒めて貰えるのかもしれない、という馬鹿な妄想から脱け出せていないのは確かだ。 (きらきらと) 2012/01/22 10:39 |