落乱三郎次
  


視界が一気に青くなり、辺り一帯が静寂に包まれた。

確かにさっきまであった筈の酸素がなくて、慌てつつ急いで口を閉じ、残り僅かの酸素を確保する。


どうにかして地上に戻ろうと、足を必死にばたつかせて這い上がろうとするけれど、肝心の脚が重石でも付けられたかの様に重く、動かす事も儘(まま)ならない。

それどころか体は自分の意志に反してどんどん海底へと沈んで行き、周りの世界が黒い暗闇に変化していく。


恐ろしい


光を失った何もない世界が怖くて無我夢中でもがこうと手を動かす。

だけど本来地上で生活し、肺呼吸をする私には当然水中で息なんか出来なくて、どんどん苦しくなる肺をどうにかしようと更にもがく。


それでも体は上へと進む事はなく、私は二酸化炭素が増えた空気を一気に吐き出した。

空気は水中で泡となり、私が幾度も懇願した地上へ帰るという行為をいとも簡単にしてみせた。



苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいくるしいくるしいくるしいくるしいくるしい苦しいくるしいくるしいくるしい苦しいくるしいっ!!!!!!!!!



どうしようもならないと分かっているのに、動物の生存本能が働いているのか手は上へ上へとと伸ばされる。

瞼が急に重くなり、もう閉ざされようとした瞬間、見覚えのある若草色に安堵を覚えながら私の意識はそこで途絶えた。



(エラ呼吸の仕方なんて分からないの)




某曲に感化されて



2011/12/21 17:25

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