肉と骨の熱が己の拳に伝わり、次の瞬間渇いた音と共に弾けた。 「な、んでぇ…」 『学園長から直々に命令があったんですよ、“貴方を消せ”って』 目の前の雌が身に纏っている小袖は土や血等で元の美しさを完全に失い、綺麗に整えられていた髪型は無惨にも刃物で斬られた後がある。 殴られたせいで腫れた頬は不気味な青紫に変色していた。 「私何もしてないよっ、只皆と仲良くなりたくて…」 『残念、それが我が学園を破滅させているんですよ』 その単語が空気を震動して数秒後、雌の元々白かった肌は青白く変化した。 それとは裏腹に私は口角を上げ、心底楽しそうに笑みを浮かべた。 『気付きませんでした?日に日に夜が静かになっていくのを、委員会で固まる事がなくなっているのを、下級生が貴方に寄り付かなくなっていたのを、気付かなかったんですか? この学園の平和が乱されていくのを』 「そんな、」 『“分からなかった”じゃ済みませんよ そんなんで済む程貴方の言う室町時代は甘くないんですよ、 無知である事が情報を持っていない事がどれ程枷となるかを貴方は知らない、そんなあまちゃんが生きていける程この世界は優しくない』 そう言い終わる頃には奴の表情は絶望一色に染まっていた。 『それでは神様とやらに宜しくお伝えください、次はもう少し賢い雌にする事をお薦めしますと』 - 2011/11/29 21:22 |