ハロルドとの出会い
冷たい、寒い。微かに人の声が聞こえている。私、死んだんじゃなかったの?

感じたことのない寒さ。段々と身体が痛くなってきて感覚が失われていくような。今度こそ本当に死んでしまうのだろうか。


「ちょっとアンタ、起きなさあぁぁあい!!!!起きなきゃ死ぬわよ?」


身体が暖かく、何かに包まれたような感じで。ゆっくりと目をあけると、どきついピンクが視界に映った。ぽってりとした唇にツリ目がちの瞳。ゆっくりと身体を起こすと"なんだ起きたの?"と発した。


『…此処、は?』
「なにアンタ、もしかして異世界人?!」
『は?』

素っ頓狂な声をあげた私を見て、にんまりと口許をあげるどピンクに"なぜ?"と首を傾けると、あぁともらした後に指をぴ、と立てて笑った。


「アンタが聞きたいことは、歩きながら答えてあげるわ。
此処は寒いから、基地に戻りましょ」


"ほら、立って"と手を差し延べてくれた彼女の手をとって立ち上がる。周りは雪で真っ白。ていうか、雪ってこんなにあると陰は黒とか灰色じゃないのね、なんて思いながら、前を歩く彼女に目をやった。フンフンと鼻歌を歌う彼女は、突然それを止めて、振り向いた。


「アタシはハロルド、アンタは?」
『あ…ケイカ、です』
「それにしても見たことない服着てるわね、何処から来たわけ?」
『に、日本、です』

「ニホン?…聞いたことないわね

ねえ、本当に異世界人?」
『え…と、』
「あ、因みに此処は地上軍の軍基地よ」


地上軍?何かの撮影?いや、撮影ならとっくに止められてるだろうし…。


「ヤバ!」
『え?』
「ちょっとアンタ、隠れててちょーだい」
『え、…は?なに、ハロルド?』


何処から出したのか不明な可愛い杖?を取り出し、前方から突如現れた熊みたいなおっきい生き物に突っ込んでいくハロルド。ええ、そんな棒で倒せないでしょ!!!


「ネガティブゲイト!」


高い声が辺りに響く。
カ、と光ったかと思えば、黒と紫が混ざったような色の球体?が生き物を飲み込み、耳を塞ぎたくなる程の鳴き声をあげて、その後、生き物は透明な丸い球体にかわった。


一体、なに?


「あれ、ケイカー?
驚いた、かしら。アレは魔物よ」
『魔物…熊じゃ』
「違う違う!殺らなきゃコッチが殺られちゃうのよ」


また歩きながらハロルドが話してくれた。魔物のことや生きる術、戦う術。本当は術…晶術というらしいそれは、特殊なレンズ?だかが必要らしいけど、研究者であるハロルドはそのレンズなしでも術を使う方法を編み出したらしい。…天才ってこういうこと?


「軍についたら、アンタを入隊させるわ。私の部下として」
『え、けど』
「戦いに進むか、補助に進むかはケイカ次第。好きにしていいわ

ま、普段は私の助手だから大丈夫よ」


にっこり笑っていうハロルドは、優しいのだろうか、いやたまに"助手になったら血液採取してーデータを分析しなきゃだわ"とるんるんで歩くハロルド。その後、小さな声で"ぐふっ"と女性らしからぬ笑いが聞こえてゾクリ、と背筋が寒くなり震えた。



ハロルドとの出会い




(戦うか、補助か…)
(真剣は握ったことないなぁ)



20110925


5姉妹の母、姫城恵華のお話。

娘を生むずっと前、彼女が20歳大学2年生のときのお話です。

事故にあいトリップした先はDの天地戦争時代。スタン達の時代より千年前。

ハロルドはとりあえず恵華の血液採取がしたいんです異世界人の血が欲しいんです。笑


ひぐらのえ


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