薄れていく意識
優しい両親に、兄妹。一緒にいて楽しくて安心できる友人。世間とか、まだよく分からないけれど、私は、幸せ。


「ねぇ恵華、合コン出てよー」
『やぁよ、面倒だし』
「恵華に来てほしいって男がいっぱいいんの!だからさぁっ」


上辺だけで付き合う人を友人とは呼びたくない。こう思うのは私だけだろうか。きっと、私は捻くれている。男なんて、女の顔しかみてなくて、性格とか中身とかその人の本質をちゃんと見てる人なんて一体どれくらいかな。大学の知り合いに合コンに!と言われたのは今回が初めてではなかった。何度も断っているのに諦めてくれない。きっと、私が行かないと合コンしないーとか言われてるのかなと勝手に解釈する。

自慢じゃないけど、己の容姿は分かってる。ぱっちり二重だし、出るとこ出てて引っ込むとこは引っ込んでて。万人受けする顔、と人にいわれることもしばしば。面倒だけれど損ばかりじゃないし、寧ろ良い事ばかり。


「好きな男でもいるの?」
『ないしょ!それじゃね!』


いつもの道、交差点。信号待ちをしながら話していた私と知人。


「、恵華!!!!!」

『へ?』


キキーッ

ドン、



痛みと共に、悲鳴が聞こえた。あれ、どうしたんだろう私。目が霞む。身体が、痛い。大きな音はきっとブレーキでタイヤが擦れた音。ああ、私死ぬのかな。こんなことなら、もっとママ達と一緒にいればよかった。今日は剣道だったのに、な。



薄れてく意識




(死にたく、ない)



20110925




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