眠り姫には愛の口づけを。
―嵐だと、初めは思っていたよ―
屋敷の回廊の奥でたまに見掛ける月と同じ瞳を持った少女。
客人として現れる時もあれば、使用人のような格好もしている。
いったい彼女は何者なのだろうか。
否、ただの使用人である俺には知らなくてもいい事なのだろう。
だが、一度気になってしまえば仕方ないのない事で次々と予想も付かない事が頭の中を過ぎる。
だが、結局は俺の妄想だ。
真実など聞かなければわからない。
――今日もまたその少女はこの無駄に広い屋敷へと訪れる。
華やかドレスを身に纏い、少し裾を邪魔そうにしながらこちらへと向かって行く。
だが、俺の気配には気付いていないのか、誰もいないのをいい事に天井を見上げ、届かないかと跳んでみせる。
例え、どんな大男が跳んだところで天井に手が届く事はないだろう。
――いったい、彼女は何をしたいのだろうか。
見ているこちらにとっては彼女の意図は読めないものでついつい吹き出してしまう。
「――ん?」
靴と床が掠れる音が止み、それと同時に小さな声が少女から漏れた。
「だぁーれだっ!」
小走りでこちらへと向かってくる少女の髪がふわふわと揺れる。
壁に隠れていたのだが、見事に見付かってしまい俺は吐息をはく。
「あら、誰かと思ったら、レイティさんじゃん!」
「――え?」
「んぅ?どうかした?」
「いや、どうして――名前を……」
「ああ…、へへっ」
何かを含めた笑顔に少女は自分の胸元を人差し指で指す。
その行動が意味するのはー―…俺の胸元に付いている名札の事だった。
「ああ!」
気付いた時には彼女はもう走り出していた。
クルリと振り返り、小さく手を振りながら「またね」と笑う。
そして、何事もなく颯爽と角を曲がって消えて行ってしまった。
「…嵐みたい」
吐息とともにこぼれた言葉は彼女の印象。
初めはおしとかやな少女だと思っていた。
だが、二度目。
風のように表れ、少女は嵐のようにすべてをさらって行く。
彼女が去った後は何も残らないんではないかというほどに。
「君はいったい…」
***
「ちょっ…ニナ!」
「なぁーにー?」
「そんなに食ってどうするんだよ!」
「ツークも食べなよー。
美味しいよ?」
「いや、俺はいらねぇから…」
少年少女がパーティー会場の隅っこで小さなやり取りをする。
それは先日見た少女で。
やっと名前が知れたと思った頃には違う男性とともにいた。
少女は出されている品々を口にほうり込みながら、小さく笑う。
ふと、俺が少女の方に視線を向けていると目があった。
ニコッと可愛らしい笑みを浮かべ、少女はこちらに手を振る。
「また会ったね!」
本当にくだらない物語になってしまった(;・∀・)
え、ナニコレナニコレ。
恋物語?
オッサンそんなのが書きたくて書いたわけちゃうぞ?
何となく物語が書きたくて書いたのがこれとは笑止。
本当は「鏡よ、鏡」とか
白雪姫のお母さんみたいな奴を出したかったの。
ニナも出す気はなかったしね。
うん、次はもう少し内容を考えるわ。
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18th.Mar.2011
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