SWAN LAKE BULLET:WT | ナノ
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夢を見た。
大きなお城の扉の前で立ち尽くしている春はお姫様のようなドレスを着ている自分に夢の中ながら笑ってしまった。どういう夢だよこれは。
とんでもなく大きな扉にも関わらず、そこについているドアノブと鍵穴は通常サイズだ。ドアノブをひねるが、鍵がかかっている。
自分のポケットを探ってみた。もしかしたら鍵がないかな、と思ったがどうにもそう都合よくはいかなかった。
開かないから仕方なく座り込んだ。ふわりと自分を中心にしてドレスの裾が広がって花のようだった。
ドアノブに青いリボンがかけられている。
それがするりとほどけて、春の手元におちてくる。なめらかな、シルクのような肌さわりのリボンをもてあそぶ。
するとリボンはいつのまにか猫に姿をかえた。青いリボンを首輪替わりにした猫が、春の鼻先をぺろりと舐めて『にゃあ』と可愛らしく一声鳴いた。
抽象的な夢の中で、ぼんやりと懐いてくる猫を自分の腹に乗っけたまま、お城を見上げるように寝転がった。

次に夢の中で目を覚ますとガタガタ揺れる車の中だ。
春は後部座席に乗っている。抱えていた猫のぬくもりが消えていたのが名残惜しかったが、それよりも、ご機嫌にハンドルを握っている運転手の顔を確認して顔を青ざめさせた。慌ててきちんと座りなおし、後部座席用のシートベルトを締めた。ほっと一息ついていると、案の定恐ろしいドライブが始まった。
運転手ばかりに気を取られていた春は、助手席への警告を怠った。
助手席から悲鳴が響き渡り、メガネの少年がフロントガラスから投げ出された。


爆発音、空にうち上がる花火と一緒に「にゃあ」とか細い猫の鳴き声。
青いリボンが、ほどけていくのを必死に手繰り寄せようと手を伸ばす自分。


そこで、春は目を覚ました。











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