上司サンド:BBB | ナノ
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SHOPPING!!


優しいお兄さまでうらやましいわ。

店員さんがほうとため息をつきながら言った。
ですよねー、と私はにこやかに相槌をうった。兄じゃないけど。

会計をすませてきてくれたスティーブンさんは私の手をとってさぁ次はどこにしようかとニコニコ笑った。
妹を着飾らせて楽しむ兄、そうだよなーそう見えるよなー、と私も内心のがっくりを押し隠してにっこり笑った。

ただ、兄にランジェリー選ばせる妹なんてものはこの世にそんなたくさんいるんでしょうか店員さん。生暖かい目で!見ないで!そこの人を!止めてくれませんかね!!だれが!そんな!寒そうなすけすけを!きると!いうのか(絶望)
着ませんからね!


***


優しい恋人さんですね、と言われた。そうだよなぁ、と思う。
レオくんと私が並ぶと、年齢的にはお似合いだ。恋人というか、同年代の初めての友人なので、多分もしかしたら恋人よりも私はレオくんを優先するかもしれない。

「すごく大事な人です」

と、真顔で答えたらレオくんが真っ赤になっていて、私もなんだか照れ臭くて。

きっときっと大事にしようと再度心に決めた。


***


素敵なお父様ですね、と言われたときはさすがに憤慨したかった。クラウスさんは!まだ!そんな!老けてない!わたしだってそんな子供じゃない!
しかし高級なお店でそんな無作法できるはずもなく、クラウスさんと私は店員さんを前にお互いがどうしようと顔を見合わせた。

似てるいるだろうか?いやいや似てない、ですよね?

クラウスさんはまだ父親なんて年じゃない、けど。
ちょっと腹が立ったから「ええ、もうじき生まれてくるこの子のとーっても素敵なお父様になってくれます」と、私はお腹にそっと手を当ててドヤ顔で言ってやった。店員さんは大慌てで、旦那様でしたか申し訳ありません奥様、と謝罪した。

可愛い嘘、のはずだった。

次の瞬間わたしの足が地面にお別れを告げた。え?疑問を口にする時間さえなく。わたしはクラウスさんに抱きかかえられ、その足で産婦人科につれていかれ(もちろん何の異常があろうはずもない)、ライブラ本部に戻ったときには既に懐妊おめでとうぱーてぃーの企画が進行していた。なんでさ!
クラウスさんがものすごい真剣な顔してベビー雑誌読んでますけど!そんなクラウスさんを愉快げに皆さん見てますけど!!
ちょっとまってほしい!

「ま、まだちゅーもしてないのに??!!」

わたしは叫んだ。
赤ちゃんは手をつないだらできちゃうものでしたっけ?!コウノトリさんがはこんでくるんでしたっけ?!

クラウスさんが真っ赤になって、ばたんと、倒れた。
すいませんごめんなさいくっだんない嘘ついてほんと申し訳ありませんでした神様!



***



「素敵なお爺様ですね」

ですよねー!と照れながらも私は全力で相槌を打つ。ギルベルトさんに連れられてやってきた落ち着いたブティック。
おしとやかに、おしとやかに。お嬢様すまいるを精一杯うかべてこたえる。
この素敵老紳士の孫と思われているのだ、少しでも素敵な孫でいたい。
完璧なエスコートをしてくださったギルベルトさんが目を細めていたずらっぽく笑う。

「年若い恋人に捨てられぬよう必死なのですよ」

とかそんな!そんな!お茶目が!
素敵ですお嫁さんにしてくださいギルベルトさぁあああん!
プリティ・ウーマンのリチャード・ギアも霞む完璧エスコートに私はいつだってメロメロだ。



***



「素敵なお継母さんですね」

これは、あれか。再婚した母とその連れ子だと思われてるのだろうか。

「んもぉおお、これも!これも、これも試着してみて!!あ、こっちも!」

「け、K.Kさんっ、ご試着は三点までって書いて、」

「全部買うんだから、多めに見てくれるわよ」

「ひえっ?!やや、私は一人ですよ?!こんなたくさん分身でもしなきゃ着れませんよ?!」

「そちらのワンピースでしたら靴はこちらなどいかがでしょう?」

「いいわねっ!じゃ次はこれとこれようっー」

「店員さん煽らないで!K・Kさんを煽らないで!無駄遣いだめ絶対!」

結局死ぬほど買い物した。

いっそうちにお嫁にいらっしゃいとかいわれましたが息子さんといくつ離れていると?!
ていうか私のお婿さん(予定)は……く、クラウスさんですしね!!



***



「あ、こらザップ、そっちじゃないってば!!今日は買い物付き合ってくれるって言ったくせにぃいい!!」

「よーしよし、とりあえず馬見てスロットまわしてジャックアンドロケッツで飯食ってそれからまぁ気ぃむいたらな!」

「言いつけますからね?!スティーブンさんとクラウスさんにザップがお小遣い巻きあげるーって超言いつけますからね?あぁっ、そっちじゃないぃいい」

ランブレッタの後ろで絶叫した。夏用の帽子、可愛いの買いたかったのに!!取り置き今日までだったのに!!!

「ザップのばーか!銀髪!」
「銀髪は悪口なってねーからな。ただの事実しかいってねーからな」
「うぐぐっ、えーと、あー、その、あれだ!この天才め!」
「褒めてどーすんだばぁか」
「バカって言った方がバカなんですー!」

買えなかった帽子のことでぐずぐず泣いてたら、ヤリ部屋に忘れ物取りにきてた色っぽいおねーさんが心底同情してくれて、なんかめっちゃオシャレな香水くれました。ラッキー。後日帽子はクラウスさんがサプライズプレゼントしてくれたので、私は今日も幸せです。
とりあえず銀髪死すべし!!



***



「さて、とりあえず掃除用のエプロンを買おうチェイン!」

「……そうね」

「これどうかな?ほらほら、スティーブンさんカラーだよ?これつけて片付けしよう!」

「アリスはこれなんかどう?ミスタ・クラウスとお揃いにして」

「ク、クククラウスさんとお揃いとかそんなっ、恥ずかしくって無理無理!」

「いいじゃない、最近温室手伝ってるんでしょ?」

「う、うぅ、そうなんだけど。なんかお揃いプレゼントとか、迷惑じゃないかなぁ?安物だし、クラウスさんの使ってるやつはなんかこう手触りがめちゃくちゃいいやつだったような……」

「気持ちよ気持ち。ミスタ・クラウスがそんなくだらないこと気にするような人?」

「ちがいますね!」

「でしょ。じゃあ、これとこれに決まりね!」

「あっ、でもこれも可愛いよ?ねぇねぇチェインこっちもお揃いで買わない?四点セットでお安くなるって!」




***



「だめ!もうだめ!」
「嫌です」
「あああ!ダメだったらツェッドくん!ツェッドくんの服買おうってば!!あ、またそんな無駄使いをっ!わたし払うから!せっかく稼いだのに」

ツェッドくんそんなホイホイ女の人に貢いじゃいけません!私じゃなかったらとんでもない事態になってるとこです!とお説教したら、

「アリスさんにしかしないから問題ないでしょう?」

なんていうツェッドくん男前すぎて胸キュンしました。クラウスさん以外の人にときめいててどうするんだ私!クラウスさんをときめかせろよ私!

新しい種への挑戦も悪くないなとかお兄様無責任なこと言うのやめて!











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