「手を握る」



 するりと手を伸ばして、指先を絡める。すると、応えるように手が握られる。安心感と、温もりと。朧気な意識の中で「ベルは手、握るの好きだよなぁ」と呟きを聞いた。「ん、好き」と答えて、続けて訳も話す。

「……こうしてる間は、離れないだろう……俺の目の前から消えない、そうだろう…………」

 そう呟いて、ゆっくりと眠気に意識を委ねた。ノーチェは知らないんだろう、俺がたまにお前に関する悪夢を見る事を。そして俺は知らない――ノーチェが「まだ、不安なんだな」と頭を撫でた事を――。


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