ヒロアカaqua


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ギルティルージュの下でのインターン活動を経験した週明け

教室に入って驚愕した私と唄ちゃん
その視線の先にはボロボロの焦凍くんと爆豪くんの姿

「勝己…また喧嘩したの…?!」

「チゲェよ!!!」

怒鳴る爆豪くんに唄ちゃんは呆れたような目を向けるが、瀬呂くんが「仮免講習がスパルタだったみてぇだよ」と教えてくれた
そういえば2人は週末に仮免講習に行ってるんだったっけ

「授業が始まるぞ!麗日くんと梅雨ちゃんくんがまだ来てないが!?」

「公欠ですわ委員長」

百ちゃん曰く2人もインターンに行っているらしい
あと男子では切島くんも

「なあなあ、2人のことニュースになってたぜ」

上鳴くんが見せてきたスマホには"新米ヒーロー華々しいデビュー!"との見出しの記事
内容はこの前のヴィラン退治のことらしい

「つーかギルティルージュと2人って何かと縁あるよね」

そう告げた響香ちゃんに苦笑いした
まさか雄英のPR活動も兼ねているなんて言い出しづらい

と、その時スマホに入ったのは今日の午後に急遽インターンとの連絡
それを見た私と唄ちゃんは百ちゃんに事情を説明し、早退
午後にはギルティルージュの下でインターン活動を行った







数日後


「今日も頑張ろうね!」

「うん!」

唄ちゃんにそう言って寮を出るとそこにいたのは切島くん、緑谷くん、お茶子ちゃん、梅雨ちゃん

「あれ、みんなも今日インターン?」

「おう!お前らもか!」

いつもと違う集合場所
東京の方らしいのでそっちに向かうけれどみんなも同じ場所が集合だったらしい
到着した部屋には複数のプロヒーローとビッグ3の先輩達
それに相澤先生もいる

「おはよう、2人とも」

ポンっと肩に手を乗せられ振り向くとそこにいたのはギルティルージュ

「あの…これは?」

「しっ、説明が始まるわ」

そう告げたギルティルージュの言う通りその場にいたサー・ナイトアイが語り始めた

「あなた方に提供して頂いた情報のおかげで調査が大幅に進みました
死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます」

何やら始まった緊急会議
ものものしい雰囲気に包まれている中私たちは困惑しながら席に着く

「えーそれでは始めてまいります」

口を開いたのはサー・ナイトアイのサイドキックであるバブルガール

「我々ナイトアイ事務所は約2週間程前から死穢八斎會という指定ヴィラン団体について独自調査を進めています!」

「キッカケは?」

「レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からです
警察は事故として片付けてしまいましたが腑に落ちない点が多く追跡を始めました」

次に立ち上がったのは同じくナイトアイ事務所のサイドキック、センチピーダー
ムカデのような見た目なので申し訳ないけれど直視できない

「私、サイドキックのセンチピーダーがナイトアイの指示の下、追跡調査を進めておりました
調べたところここ1年以内の間に全国の組外の人間や同じく裏稼業団体との接触が急増しており組織の拡大・金集めを目的に動いているものと見ています
そして調査開始からすぐにヴィラン連合の1人、分倍河原仁ヴィラン名トゥワイスとの接触
尾行を警戒され追跡は叶いませんでしたが警察に調査を協力していただき組織間で何らかの争いがあったことを確認」

ヴィラン連合が関わる話なら…ということでグラントリノにも声がかかったらしい
あの時助けに来てくれたグラントリノと目があったので会釈しておいた、後でちゃんとお礼を言いに行こう

「えー、このような過程があり!HNで皆さんに協力を求めたわけで」

「そこ飛ばしていいよ」

「うん!」

緊張気味のバブルガールにセンチピーダーが告げた
けれど私たち1年生は首を傾げる

「HN?」

「ヒーローネットワークだよ、プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス
全国のヒーローの活動情報が見れたり便利な個性のヒーローに協力を申請したりできるんだって!」

波動先輩の説明に納得しているとプロヒーローのロックロックが呆れたような視線をこちらに向ける

「雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねえや
本題の企みに辿り着くころにゃ日が暮れてるぜ」

すると反論するように立ち上がったのはファットガム

「ぬかせ!この2人はスーパー重要参考人やぞ!」

「俺…たち?」

「ノリがキツい…」

ファットガム曰く切島くんと天喰先輩が重要参考人とのこと
確か2人も最近のインターンでヴィランに接触したとはニュースにあがってたけれど

「八斎會は以前認可されていない薬物の捌きをシノギの1つにしていた疑いがあります
そこでその道に詳しいヒーローに協力を要請しました」

「昔はゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!
そんで先日の烈怒頼雄斗デビュー戦!今までに見たことない種類のモンが環に打ち込まれた!
個性を壊す"クスリ"」

ファットガムのその言葉にギョッとして天喰先輩に目を向けた
先輩はどうやら寝たら回復したらしいけれどそのあたりを相澤先生が説明する

「俺の抹消とはちょっと違うみたいですね、俺は個性を攻撃しているわけじゃないので
基本となる人体に特別な仕組みが+αされたものが個性、その+αがひとくくりに個性因子と呼ばれています
俺はあくまでその個性因子を一時停止させるだけでダメージを与えることは出来ない」

先生の個性の説明に納得しているとファットガムは再び話を続けた

「環が撃たれた直後、病院で見てもらったんやがその個性因子が傷ついとったんや
幸い今は自然治癒で元どおりやけど」

「その撃ち込まれたモノの解析は?」

「それが環の身体は他に異常なし!ただただ個性だけが攻撃された!
撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ!弾も撃ったっキリしか所持していなかった!
ただ切島くんが身を挺して弾いたおかげで中身の入った一発が手に入ったっちゅーわけや!」

それを聞いた切島くんがギョッとしていた
まさか自分が功労者だとは思っていなかったらしい

すごい、お手柄だーと感心しているとファットガムの声のトーンが下がった

「そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出て来た…人の血ィや細胞が入っとった」

それを聞いた途端、唄ちゃんの顔色が悪くなった
かつての誘拐事件と重ねているのかもしれない
そんな私も人の血や細胞という単語に思わず顔を顰めた









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