ヒロアカaqua


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遠距離部隊を一瞬で壊滅させた通形先輩はそのまま近接部隊も圧倒
もれなく全員がグロッキー状態へと陥った

「ギリギリちんちん見えないよう努めたけど!すみませんね女性陣!!
とまァーこんな感じなんだよね!」

「わけもわからず全員腹パンされただけなんですが…」

緑谷くんの言う通り本当に何が起こってたのかわからないまま終わってたんだから遠い目もしたくなる

「俺の個性強かった?」

「強すぎっス!」

「ずるいや私のこと考えて!」

「すり抜けるしワープだし!轟や舞羽みたいなハイブリッドですか!?」

「そーだそーだ!!」

瀬呂くん、透ちゃん、三奈ちゃん、唄ちゃんが通形先輩に文句を言う
それを聞いた波動先輩が挙手をした

「私知ってるよ個性!ねえねえ言ってい?言ってい!?トーカ」

「波動さん、今はミリオの時間だ」

「いや1つ!透過なんだよね!
君たちがワープと言うあの移動は推察された通りその応用さ!」

言わせてもらえなかった波動先輩はむっとしているが通形先輩は説明を続ける

「全身個性発動すると俺の体はあらゆるものをすり抜ける!あらゆる!すなわち地面もさ!」

「じゃああれ…落っこちてたってことですか?」

そう言った私に通形先輩は頷いた

「そう!地中に落ちる!そして落下中に個性を解除すると不思議なことが起きる
質量のあるモノが重なり合うことは出来ないらしく…弾かれてしまうんだよね
つまり俺は瞬時に地上へ弾き出されてるのさ!これがワープの原理
体の向きやポーズで角度を調整して弾かれ先を狙うことができる!」

それを聞いて冷や汗が伝った
それってつまりとっても難しいことなんじゃないかということに気がついたのだ

「攻撃は全てスカせて自由に瞬時に動けるのね…やっぱりとっても強い個性」

「…いや、違うよ」

梅雨ちゃんの言葉に首を横に振った

「うん、君はとても賢いね
海色さんの言う通り強い個性にしたんだよね
発動中は肺が酸素を取り込めない、吸っても透過しているからね、同様に鼓膜は振動を、網膜は光を透過する
あらゆるものがすり抜ける、それは何も感じることができずただただ質量を持ったまま落下の感覚だけがある…ということなんだ
わかるかな!?そんなだから壁1つ抜けるにしても片足以外発動、もう片方の足を解除して設置、そして残った足を発動させすり抜け、簡単な動きにもいくつか工程が要るんだよ」

それを聞いてA組一同がざわついた
急いでいる時ほどミスもする、何も感じなくなっているなら尚更

「案の定俺は遅れた!ビリッけつまであっという間に落っこちた、服も落ちた
この個性で上を行くには遅れだけはとっちゃダメだった!予測!周囲よりも早く!時に欺く!何より予測が必要だった!
そしてその予測を可能にするのは経験!経験則から予測を立てる!
長くなったけどコレが手合わせの理由!言葉よりも経験で伝えたかった!
インターンにおいて我々はお客ではなく1人のサイドキック!同列として扱われるんだよね!
それはとても恐ろしいよ、時には人の死にも立ち合う!けれど怖い思いも辛い思いも全てが学校じゃ手に入らない一線級の経験
俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!怖くてもやるべきだよ思うよ1年生!!」

通形先輩の話に引き込まれる感覚がした
私がインターンに行けばこの無力な自分を変えられるかもしれない、そう思った

「(もう神野のようなことは繰り返したくない)」

誰かが同じ目に合うのも嫌だ
そのためにも私は強くならないといけない


と思っていたのに、翌日

「1年生のヒーローインターンですが昨日協議した結果、校長をはじめ多くの先生がやめとけという意見でした」

相澤先生の言葉に一同からは不満の声が上がる

「ざまァ!!!」

嬉しそうにそう叫んだ爆豪くん
そっか、仮免取得してないとそもそも行けないんだっけ…ということは焦凍くんもだ

「が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり、方針としてインターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可するという結論に至りました」

「クソが!!!」

爆豪くんはそろそろ情緒安定剤か何か飲んだ方がいいと思う
そう思って呆れていた私は職場体験で行ったエンデヴァーのことを思い出す
けれどオールマイトの引退の為か荒れていると焦凍くんからは聞いているし避けた方がいいだろう

悶々としている私に「後で職員室に来い」と相澤先生が声をかけてきたので向かうとそこには唄ちゃんと根津校長もいた

「雫ちゃん…?」

「唄ちゃん…!」

互いに何故呼ばれたのかわからないでいると根津校長は話し始める

「君たちにインターンの受け入れ依頼が来た」

「えっ…?」

「けれど今ってそういう募集とかはしていないんじゃ…」

聞いた説明と違う話に困惑していると相澤先生が頷いた

「正式にはインターン活動と称した補習授業と思ってくれていい、なんせこれは雄英からの依頼だ」

雄英からの依頼ってどういうことだ?と首を傾げると、根津校長がにっこりと笑った

「雄英のイメージモデルになってほしいんだ、君たちで」







その週末

私と唄ちゃんが訪れたのは学校からそこまで離れていないホテルのような事務所

「あら、いらっしゃーい」

「「よろしくお願いします」」

ギルティルージュの下でのインターンと称した学校PR作戦が始まった











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