ヒロアカaqua


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それから2日が経過し、唄ちゃんに続き緑谷くんも復帰した日

「じゃ緑谷も戻ったところで本格的にインターンの話をしていこう、入っておいで」

先生が声をかけると開いた扉
そこに居たのは3人の生徒

「職場体験とどういう違いがあるのか直に経験している人間から話してもらう
多忙な中都合を合わせてくれたんだ心して聞くように
現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名、通称ビッグ3の皆だ」

確かに3年生にそう言う人たちがいるとは聞いていたけどこの人たちがそうなんだと言われてびっくりした
男性2人と女性1人、雄英生のトップ3

「じゃ手短に自己紹介よろしいか?天喰から」

先生にそう言われるや否やギンっと鋭い眼光で睨みつけた天喰先輩にA組一同がビクッとする

「ダメだミリオ…波動さん…」

ぼそりと口を開いた先輩は震え始めた、顔色も悪い

「ジャガイモだと思って臨んでも…頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない
どうしたらいい、言葉が…出てこない…頭が真っ白だ…辛い…っ!帰りたい…!!」

くるりと背を向け黒板に向かってうなだれた天喰先輩
大丈夫かこの人と呆れていると、尾白くんが戸惑いながら声をかけた

「雄英…ヒーロー科のトップ…ですよね…?」

「あ、聞いて天喰くん!そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!
彼はノミの天喰環、それで私が波動ねじれ、今日はインターンについて皆にお話してほしいと頼まれてきました」

答えるのは波動先輩
とても綺麗で笑顔が素敵な方だ

「けどしかしねえねえところで君は何でマスクを?風邪?オシャレ?」

「これは昔に…」

「あら、あとあなた轟くんだよね!?ね!?何でそんなところを火傷したの!?」

波動先輩の勢いの良い質問に驚きつつも焦凍くんが返事をしようとする
が、先輩は他の面々にも質問攻めをしていった

「芦戸さんはその角折れちゃったら生えてくる?動くの!?ね?
峰田くんのボールみたいなのは髪の毛?散髪はどうやるの!?
蛙吹さんはアマガエル?ヒキガエルじゃないよね?
舞羽さんのその羽って何で浮いてるの?痛覚はあるの?
どの子も皆気になるところばかり!不思議!」

所謂不思議系なんだろうか、怒涛の質問攻めに上鳴くんや峰田くんは喜んでるっぽい
相変わらずだなあの2人

そんな天喰先輩と波動先輩の様子に相澤先生が「合理性に欠くね?」と低い声を出した

「イレイザーヘッド安心して下さい!!大トリは俺なんだよね!
前途ーーー!!!?」

こちらに問いかけるようにそう言ったのはラスト1人の先輩
訳がわからない問いにシーンと静まり返ったクラス

「多難ー!っつってね!よぉしツカミは大失敗だ!!」

笑っているその人の様子にみんなが困惑してしまった
そりゃそうだろう、雄英のトップ3が何と言うかこんなにも自由奔放であるなんて
正直疑ってしまうのも無理はない

「まァ何が何やらって顔してるよね、必修てわけでもないインターンの説明に突如現れた3年生だそりゃわけもないよね
1年から仮免取得…だよね、フム…今年の1年生ってすごく…元気があるよね…
そうだねェ…何やらスベリ倒してしまったようだし…君たちまとめて俺と戦ってみようよ!!」

そう提案した先輩にギョッとするけれど相澤先生は許可を出す
体操服に着替えて体育館γに集合すると先輩は屈伸を始めた

「あの…マジすか」

「マジだよね!」

唄ちゃんと顔を見合わせて困っていると、体育館の壁に向かってうなだれている天喰先輩が声をかけた

「ミリオ…やめた方がいい、形式的にこういう具合でとても有意義ですと語るだけで充分だ
皆が皆上昇志向に満ち満ちているわけじゃない、立ち直れなくなる子が出てはいけない」

その言葉にA組一同の顔に影が曇る

「あ、聞いて知ってる、昔挫折しちゃってさヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった子がいたんだよ知ってた!?
大変だよねぇ、通形ちゃんと考えないと辛いよこれは辛いよー」

あっけらかんと言ってのける波動先輩に笑顔が消えた

「待ってください…我々はハンデありとはいえプロとも戦っている」

「そしてヴィランとの戦いも経験しています」

「そんな心配される程俺らザコに見えますか?」

ナメられていると理解し、常闇くん、唄ちゃん、切島くんがそう告げるけれど通形先輩は顔色一つ変えない

「うん、いつどっから来てもいいよね、一番手は誰だ!?」

「僕行きます!」

前に出たのは緑谷くん

「問題児!いいね君やっぱり元気があるなあ!」

構える緑谷くんに合わせクラス全員が臨戦態勢に入る

「近接隊は一斉に囲んだろぜ!!
よっしゃ先輩そいじゃあご指導ぉーよろしくお願いしまーっす!!!」

叫んだ切島くんの掛け声に合わせ通形先輩の体操服が体から落ちた
文字通り体から落ちたのだ

「あーーー!!!」

真っ赤になって叫ぶ響香ちゃん

「ああ失礼!調整が難しくてね!」

いそいそとズボンを上げる先輩に緑谷くんが蹴りを入れた…かに見えたけれどそれはすり抜けてしまう

「(すり抜けの個性…?)」

通形先輩に一斉に襲いくるA組みんなの個性
炸裂したかに見えたけれどそこには先輩はいない

「まずは遠距離持ちだよね!」

そう告げた先輩は響香ちゃんの背後に現れる
まるで瞬間移動のような動きに驚愕した

「すり抜けるだけじゃねえのか!?どんな強個性だよ!」

気がつけば私も唄ちゃんも地面に伏していた
遠距離持ちが全員倒されるまで僅か5.52秒
何が起こったのかわからないでいると相澤先生の声が聞こえた

「おまえら良い機会だしっかりもんでもらえ、その人…通形ミリオは俺の知る限り最もNo.1に近い男だぞ」










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