ヒロアカaqua


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後期始業式


朝早めに起きて個性やら何やらを使用しそーっと部屋に戻った私は朝ごはんを済ませ着替えてから1階に降りる

するとそこには掃除機をかけている幼馴染3人組
しかも緑谷くんと爆豪くんは怪我もしている

何かあったのかみんなが問えば、返ってきたのは喧嘩して謹慎になったということ

「喧嘩して謹慎ーーー!!?」

「バカじゃん!」

「ナンセンス!!」

「馬鹿かよ!」

「骨頂!!」

みんなから散々な言われようだけれど珍しく爆豪くんも反撃してこない辺り反省はしているんだろう

「唄ちゃんも?」

「いや、私は止められなかったから」

「あー、相澤先生なら連帯責任って言いそう」

喧嘩したのは緑谷くんと爆豪くん
止めに入ったけれど上手くいかなかったんだろう
唄ちゃんもセットで謹慎とのこと

幼馴染3人組を置いて登校すれば、今回は始業式があるらしい
入学式は相澤先生のおかげで出れなかったが今回は出席とのこと
みんなでグラウンドへ向かっていると、途中で待ち構えていたのは物間くん

「聞いたよーA組ィィ!2名!そちら仮免落ちが2名も出たんだってええ!!?」

「B組物間!相変わらず気が触れてやがる!」

「さてはまたテメーだけ落ちたな」

「ハッハッハッハッ!!」

笑うだけ笑ってどこかへ行く物間くんに切島くんが「どっちだよ」と問えば、くるりと振り返った
彼の向こう側にはB組の面々

「こちとら全員合格、水があいたねA組」

「(おお、すごい)」

全員合格ということで素直にすごいなーと思っていると、近くにいた焦凍くんが申し訳なさそうな顔をする

「悪ィ…みんな…」

「向こうが一方的に競ってるだけだから気にやむなよ」

「そうだよ」

そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないかとみんなで宥めていると、B組の角取さんが話しかけてきた

「ブラドティーチャーによるゥと、後期ィはクラストゥゲザージュギョーあるデスミタイ、楽シミしテマス!」

「へえ!そりゃ腕が鳴るぜ!」

「つか外国人さんなのね」

確かアメリカだったっけと考えていると物間くんが角取さんに耳打ちした

「ボコボコォにウチノメシテヤァ…ンヨ?」

「「「…」」」

物間くんのA組嫌いに巻き込まれた角取さんが可哀想で黙り込んでいると、今度は別の人から声をかけられた
そちらを見ると普通かの心操くんだ、後ろが詰まっているから前に進むようにと言うことらしい

「かっこ悪ィとこ見せてくれるなよ」

そう告げた心操くんは前よりも体つきが変わっているように見えた

「(何かやってるのかな?)」

グラウンドに出て整列する
三学年全クラス合同で集結するのは何気に初めてかもしれない

『やあ!皆大好き小型ほ乳類の校長さ!』

ひょこっと現れた根津校長の可愛さにのほほんとしているととんでも無く長くてどうでも良い話が始まった
いつまで続くんだろうかとみんなが遠い目をし始めた時、話が変わる

『生活習慣が乱れたのは皆もご存知の通り、この夏休みで起きた事件に起因しているのさ』

神野のことだ
無意識の内に拳を握ってしまった

『柱の喪失、あの事件の影響は予想を超えた速度で現れ始めている、これから社会には大きな困難が待ち受けているだろう
特にヒーロー科諸君にとっては顕著に表れる
2、3年生の多くが取り組んでいるヒーローインターンもこれまで以上に危機意識を持って考える必要がある』

ヒーローインターン
聴き慣れない言葉に首を傾げた
職場体験とは別物…ということかな?

『暗い話はどうしたって空気が重くなるね、大人たちは今その重い空気をどうにかしようと頑張っているんだ
君たちには是非ともその頑張りを受け継ぎ発展させられる人材となってほしい
経営科も普通科もサポート科もヒーロー科も皆社会の後継者であることを忘れないでくれたまえ』

校長の話が終わって最後にいくつかの注意事項をハウンドドッグ先生からということ

『グルルル…昨日ウ゛ウ゛ルルルルル寮のバウッバウバウッ!!!慣れバウバウゲルル生活バウ!!アオーーーーン!!!』

もう何を言ってるかわからなくて呆気にとられていると、ブラドキング先生がマイクを受け取った

『ええと「昨晩喧嘩した生徒がいました、慣れない寮生活ではありますが節度を持って生活しましょう」とのお話でした』

どうもキレると人語を忘れてしまうらしい

『それでは3年生から教室へ戻って』

その指示のもと教室へ戻るけれど昨晩の件で立派な問題児と化した幼馴染3人組は良くも悪くも目立つ
唄ちゃんは明日から来るみたいだけど緑谷くんは3日、爆豪くんは4日も謹慎とのこと

教室に戻った私たちに相澤先生はヒーローインターンについて説明してくれた

「平たく言うと"校外でのヒーロー活動"
以前行ったプロヒーローの下での職場体験…その本格版だ」

「はあーそんな制度あるのか…」

後ろの席のお茶子ちゃんがしばらく考えてから勢いよく立ち上がった

「体育祭の頑張りは何だったんですか!!?」

確かにインターンがあるなら体育祭でスカウトをもらわなくても道が拓けるだろう

「ヒーローインターンは体育祭で得た指名をコネクションとして使うんだ
これは授業の一環ではなく生徒の任意で行う活動だ、むしろ体育祭で指名を頂けなかった者は活動自体難しいんだよ
元々は各事務所が募集する形だったが雄英生徒引き入れの為にイザコザが多発しこのような形になったそうだ、わかったら座れ」

「早とちりしてすみませんでした…」

着席したお茶子ちゃん

「仮免を取得したことでより本格的、長期的に活動へ加担できる
ただ1年生での仮免取得はあまり例がないこと、ヴィランの活性化も相まっておまえらの参加は慎重に考えてるのが現状だ
まァ体験談なども含め後日ちゃんとした説明と今後の方針を話す、こっちも都合があるんでな

じゃ…待たせて悪かった、マイク」

相澤先生が出て行き代わりにプレゼントマイクが入ってくる

「(ヒーローインターンか…どうしようかな)」








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