ヒロアカaqua


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試験終了後、更衣室に向かい着替える
みんなでしばらく待った後、目良さんがモニター前に立った

『皆さん長いことお疲れ様でした、これより結果発表を行いますが…その前に一言
採点方式についてです、我々ヒーロー公安委員会とHUCの皆さんによる二重の減点方式であなた方を見させてもらいました
つまり…危機的状況でどれだけ間違いのない行動をとれたかを審査しています
とりあえず合格点の方は五十音順で名前が載っています、今の言葉を踏まえた上でご確認下さい』

一斉に表示された名前

「(う…う…)」

海色雫
その名前が確かに表示されていることに口を押さえた

「あった…!」

近くにいた三奈ちゃんと喜びを分かち合う
どうやらA組はほとんどみんな名前があったらしい、2名を除いて

「ねえ!!」

そう叫んだのは爆豪くん
きっと要救助者達に何かしら暴言を吐いたんだろう
戦闘に全振りしているので怪我人に優しい言葉をかけるとか知らなさそうと呆れて見ていると夜嵐くんが焦凍くんに頭を下げた

「ごめん!!あんたが合格逃したのは俺のせいだ!俺の心の狭さの!ごめん!!」

それを聞いて驚いた
モニターを見ればそこに焦凍くんの名前はない

「(あの時の喧嘩だ…)」

ヴィランを前に私情で喧嘩をしたが故の減点
おまけに仲間を危険に晒した

「元々俺がまいた種だし…よせよ
お前が直球でぶつけてきて気づけたこともあるから」

そう告げた焦凍くんに何も言えなくなる
エンデヴァーのことだろうか…と思ったけれど脳裏を過ぎるのは試験前の焦凍くんとの喧嘩
そうだ、喧嘩しているのはあの2人だけじゃない

『えー全員ご確認いただけたでしょうか?続きましてプリントをお配りします
採点内容が詳しく記載されてますのでしっかり目を通しておいてください』

渡された紙には92の文字
減点箇所はを読んでいると、響香ちゃんが「待って100点?!」と叫んだのでそちらを見るとどうやら唄ちゃんが満点らしい
一次も1番に通過、二次も満点

「(唄ちゃんやっぱりすごい!)」

どんどん成長していく姿に私もやる気に満ち溢れる

『ボーダーラインは50点、減点方式で採点しております
どの行動が何点引かれたか等、下記にズラーっと並んでます
合格した皆さんはこれから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場となります
すなわちヴィランとの戦闘、事件事故からの救助など…ヒーローの指示がなくとも君たちの判断だけで動けるようになります
しかしそれは君たちの行動一つ一つにより大きな社会的責任が生じるという事でもあります
皆さんご存知の通りオールマイトという偉大なヒーローが力尽きました、彼の存在は犯罪の抑制になるほど大きなものでした』

思い出すのは神野のこと
私がオールマイトを終わらせてしまったあの一件

『心のブレーキが消え去り増長する者はこれから必ず現れる、均衡が崩れ世の中が大きく変化していく中いずれ皆さん若者が社会の中心となっていきます
次は皆さんがヒーローとして規範となり抑制できるような存在とならねばなりません
今回はあくまで仮のヒーロー活動認可資格免許、半人前程度に考え各々の学者で更なる精進に励んでいただきたい!』

そうだ、あくまで仮
私たちが学ぶ事はまだまだたくさんある

『そして…えー、不合格となってしまった方々
点数が満たなかったからとしょげてる暇はありません、君たちにもまだチャンスは残っています
3ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば君たちにも仮免許を発行するつもりです
今私が述べた"これから"に対応するにはより"質の高い"ヒーローがなるべく"多く"欲しい
一次はいわゆる"落とす試験"でしたが選んだ100名はなるべく育てていきたいのです
そういうわけで全員を最後まで見ました、結果決して見込みがないわけではなくむしろ至らぬ点を修正すれば合格者以上の実力者になる者ばかりです
学業との並行でかなり忙しくなるとは思います、次回4月の試験で再挑戦しても構いませんが』

それを聞いて焦凍くんも爆豪くんも挑むことにしたらしい

「すぐ…追いつく」

救済措置があって本当によかった

その後発行された仮免許を見て感慨に耽っていると、傍にいた唄ちゃんが免許を見てにまにましている

「羽動いてるよ」

クスクス笑いながらそう言えば、唄ちゃんが恥ずかしそうにした
直したいらしいけど一向に直る気配のない癖が可愛い

すると向こうから夜嵐くんが走って来た

「轟!また講習で会うな!けどな!正直まだ好かん!!先に謝っとくごめん!!」

「こっちも善処する」

焦凍くんに言いたいことを言った夜嵐くんがこちらを向いたのでビクッとする

「雫さん!好きです!!」

「ごめんなさい!」

今度こそしっかり断る
A組のみんなが興味津々というように見てくるけれどここははっきり言わなきゃ
けれど夜嵐くんは笑顔を浮かべた

「仮免が取れたらまたリベンジさせて下さい!」

「えっ?!」

話聞いてなかったのかなと思うけれど、言いたい事を言って走っていってしまった夜嵐くん
どうしたものかと思うけれどひとまずちゃんと断れたことにホッとする

チラッと焦凍くんを見れば目があって逸らされた

「(あとは私たちだけだ)」










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