ヒロアカaqua


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二次試験開始後、蛙吹たちと水辺の救助活動を行っている時に聞こえた爆発音
救護所の傍の壁が弾け飛んだらしい、姿を現したのはギャングオルカとそのサイドキック達

『ヴィランが姿を現し追撃を開始
現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ救助を続行してください』

「ヴィランだって…!?」

「見ろ!救護所のすぐ前!」

「あんな近くにヴィラン出すなんて意地悪!」

「ここの救助もまだだけど、あっちを見て見ぬフリは出来ないわね」

そう言った蛙吹を残し他のメンバーと共に向かった

「俺が足止めする」

その間に避難を頼む、そう告げて放った氷結がギャングオルカへ命中した
だが直前のところでそれは躱されたらしい

「ふうきイイイイイ飛べえええええっっ!!!!」

聞こえた声、そして風

「ヴィラン乱入とか!!!なかなか熱い展開にしてくれるじゃないっスか!!!」

現れたのは夜嵐
先ほどのことを思い出し互いにムッとした

「あんたと同着とは…!」

"俺はあんたらが嫌いだ"

こっちのセリフだ…気が散ることばっか言いやがって

「おまえは救護所の避難を手伝ったらどうだ
個性的にも適任だろ、こっちは俺がやる」

「ムムム」

放った炎
しかしそれは風で飛ばされた

「何で炎だ!熱で風が浮くんだよ!」

「さっき氷結を防がれたからだ、おまえが合わせてきたんじゃねえのか?
俺の炎だって風で飛ばされた」

「あんたが手柄を渡さないよう合わせたんだ!」

「は?誰がそんな事するかよ」

「するね!だってあんたはあのエンデヴァーの息子だ!」

苛立ちが募る

「さっき…から…何なんだよおまえ、親父は関係ねえ…っ!?」

夜嵐に意識が向いたところをサイドキックのセメントガンで撃たれた

「論外だな、喧嘩を始めるとは」

夜嵐と俺目掛けてセメントガンが発射される
それを避けながら次の策を練る

「関係あるんだなこれが!ヒーローってのは俺にとって熱さだ!
熱い心が人に希望とか感動を与える!伝える!だからショックだった!
そして入試の時あんたを見てあんたが誰かすぐにわかった、なにせあんたは全く同じ目をしてた!!」

「同じだと…ふざけんなよ、俺はあいつじゃねえ」

もういい、付き合うな
つまるところこいつはよくいるエンデヴァーアンチだ試験に集中しろ

気を荒立てるな、親父のことはもう乗り越えた

「(いや、あいつへの嫌悪はまだ…)」

炎が揺らぐ

「(ダメだ、試験に集中しろ)」

「俺はあんたら親子のヒーローだけはどーにも認められないんスよォー!!!!以上!!!」

「(試験に)」

放った炎が夜嵐の風で方向を変える

「また!やっぱりあんたは…!!」

その方向には動くことが出来ない傑物のやつ
まずいと思った時、傑物の奴を庇うように飛び込んできた緑谷と、炎を水で相殺した雫が現れた

「何をしてるの!!!」
「何をしてんだよ!!!」

試験前に強く突き放した雫の表情は怒っていた

「雫…っ」

「雫さん…?!」

急に冷静になっていく
風邪を使う個性…そうだ引っかかってた、あいつだ確かに
入試の時話しかけてきたあいつに向かって邪魔だと言い放ったことを思い出す

「(何ですぐ思い出せなかった…!?こんなうるせえ奴を!)」

思い返すのは雄英体育祭までの日々

「(見てなかったんだな本当に、エンデヴァーを否定するためにそれだけだったから…)」

うやむやにしたまま過ごしてきた…ここで来るかよ
過去も血も忘れたままじゃいられねえんだな

「ほう、増援か」

ギャングオルカと向き合った雫だが、サイドキックたちが取り囲んだ

「こっちは引き受けます!シャチョーはそいつらを!」

囲まれながらセメントガンを避ける雫

「とりあえず」

俺に向かって手を伸ばすギャングオルカに構える
が、攻撃は夜嵐に放たれた

「邪魔な風だ」

それを避けようとするがサイドキックのセメントガンに阻まれ落下する

「おい!」

「自業自得だ」

今度は俺に当たった超音波攻撃に気を失いかける

「(くそっ…)」

"何をしてるの!!!"
"何をしてんだよ!!!"

本っ当だよ…俺のしてきた事がこの事態を招いた、俺が…取り返さねえと!

サイドキック達が避難してる連中の方へ向かう
それを雫が防いだ

「ほう、やるな」

「っ!!」

ギャングオルカが雫へ向かう

「(無駄に張り合って相性最悪、連携ゼロ…こんなんでトップヒーローに敵うわけがねえ
もしお前もそう思ってんなら…下から掬いとれ!!!)」

地面に倒れながら発動した炎に夜嵐の風が組み合わさる

「(炎と風で閉じ込めろ!!!)」

炎の渦に閉じ込められたギャングオルカ
雫がこっちを見て驚いた表情をする

「おい後ろ!後ろ見ろ!!」

「シャチョーが炎の渦で閉じ込められた!」

「マズくないか!?」

檻の中にいるサイドキック達が慌て始める
巨大な檻のため耐久が脆いそれは少しずつヒビが広がり崩れ去る

「よし!未だ!夜嵐はいい!轟を止めろ!!」

こっちに向かって飛んできたセメントガンを氷結で弾いた

「いっけね…こいつ!轟!左右で2つの…!」

左右の同時発動はまだ慣れねえ、動きが鈍る
けど動けないなら関係ねえ

全員が必死に戦う
そんな中聞こえたのはギャングオルカの声

「炎と風の熱風牢獄か…いいアイデアだ、並のヴィランであれば諦め…泣いて許しを乞うだろう
ただ、そうでなかった場合は?撃った時には既に次の手を講じておくものだ」

乾燥しているはずのギャングオルカはペットボトルの水で保湿を取り戻していた
放たれた超音波アタックで炎の渦が消し飛ぶ

「で?次は?」

「(ねェよ…!)」

絶対絶命
その時飛んできたのは緑谷

「2人から離れてください!!!!」

おまえは…どこまでも…

と、その時ブザーが鳴り響く

『えー只今をもちまして配置された全てのHUCが危険区域より救助されました
まことに勝手ではございますがこれにて仮免試験全工程終了となります!!
集計の後この場で合否の発表を行います、怪我をされた方は医務室へ…他の方々は着替えてしばし待機でお願いします』










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