ヒロアカaqua


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男子棟4階へやってきた一同

「あれ、勝己は?」

「「くだらねえ、先に寝る」ってよ俺も眠い」

唄ちゃんの問いに焦凍くんが返答する
何とも爆豪くんらしい言い分に苦笑いしつつ部屋巡り再開
切島くんの部屋はザ・男っていう部屋でとても暑苦しい
障子くんの部屋はスッカスカでミニマリストだということが判明

5階は瀬呂くんのお洒落エイジアンルームに驚いたけれど、その次の焦凍くんの部屋はなんと和室

「造りが違くね!?」

「実家が日本家屋だからよ、フローリングは落ち着かねえ」

「理由はいいわ!当日即リフォームってどうやったんだお前!」

「……頑張った」

「何だよこいつ!!!」

眠いのか説明する気のなさそうな焦凍くん

「(そっか、ここが焦凍くんの部屋…)」

好きな人の部屋ということでそわそわしてしまうのは私だけじゃないだろう
ふと視線を感じてそちらを見れば唄ちゃんと響香ちゃんがにまにましている

「なっ、バレるから!」

小声でそう言った私に唄ちゃんたちは「えー?」と楽しそうだ
本当にいつかバレそうで怖い

男子最後は砂糖くん、まさかのシフォンケーキを焼いてくれていたことに驚愕するも、とっても美味しくて頬が落ちそうなほどの絶品さに女子一同はベタ褒めだった

次いで女子棟
2階からなので私の部屋に集まる

「何だか恥ずかしいな…」

扉を開けば先ほど荷ほどきが終わったばかりの部屋

「わあ!女子って感じだー!」

「それにとってもいい匂い」

「これアロマなの、お母さんが持って行っていいよって言うから」

全寮制になるためしばらく両親には会えない
お父さんがやけに寂しそうだったけれど、お母さんは「やれる事全部やっておいで」と送り出してくれた
そうだ、私は強くなりに来た

続いて唄ちゃんの部屋
そこは韓国系インテリアで統一されていて、ホワイト、グレー、ベージュなどの淡い色でまとまっている

「韓国インテリアだ!」

「わあー!ふわもこー!」

「服もカバンもいっぱい…唄ちゃんって本当にお洒落だよね」

前におしゃれが好きと話していたのである程度は予想していたけれど、想像よりもたくさんの服やカバンが綺麗に収納されていて呆気にとられる
唄ちゃん曰く「そうでもしないとお母さんに着せ替え人形にされるから」らしい
遠い目をしてたけど大丈夫だろうか、そういえば前のコスチュームもお母さんが要望書書いたって言ってたっけ

3階に上がって、響香ちゃんの部屋にはたくさんの楽器があるそこはライブハウスのようで感動してしまう
その次は透ちゃんの部屋、ぬいぐるみもあって可愛らしいファンシーな部屋だ

4階、三奈ちゃんの部屋は柄ものが多く彼女らしい
お茶子ちゃんの部屋も彼女っぽい素朴な感じがとても良い

5階、そこで梅雨ちゃんがいないことに気が付くけれど、お茶子ちゃん曰く体調が悪いそう
最後は百ちゃん、まさかのとんでもない大きさのベッドで部屋が埋まっている状態
どうやら部屋の大きさがこんなに狭いとは思っていなかったらしい、お嬢様だ…

共同スペースに戻ってきて1人1票投票し、いざ集計
得票数5票で圧倒的1位に輝いたのは砂糖くん、理由はシフォンケーキが美味しかったからとのこと

終わったイベントに部屋に帰ってぼーっと天井を眺める

今日のこの部屋王もきっとみんななりに日常を取り戻そうと、この夏にあったことを乗り越えていこうとしてるんだろう

「…私はみんなに何ができるかな」

私のために命がけで助けに来てくれた6人
それ以外のみんなにも心配をかけてしまった
私のせいで迷惑をかけた雄英や先生たちもそうだ

あの日以降焦凍くんとはあまり会話できていない
なんとなく避けてしまっているのは彼をこんなことに巻き込んでしまったからだろう

「嫌われたかな」

簡単に捕まって、みんなに迷惑をかけて
何が水系最強だ

私は利用価値があるから焦凍くんの許嫁になれただけの凡人
役に立てなければエンデヴァーはこの関係を解消するだろう

許嫁解消それは元々私と焦凍くんが目指していたゴール
けれど彼を好きになってから今の関係に居心地の良さを感じてしまっていた

ずっとこのまま解消されなかったらどうなるのかなと想像すらしてしまう

「(そんな資格ないのに)」

本当にバカだなと自分を嘲笑うように目を閉じた










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