ヒロアカaqua


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翌日


夏休み中ではあるが教室に集まったA組一同
相澤先生は私たちを見て口を開いた

「昨日話した通りまずは仮免取得が当面の目標だ
ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ
当然取得のための試験はとても厳しい、仮免といえどその合格率は例年5割を切る」

5割、半分が不合格になるそれで仮免が取れるという狭き門
けれどプロヒーロー達はみんなこれを乗り越えて来てるんだと思うと改めて難しさを実感させられた

「そこで今日から君らには1人最低でも2つ…必殺技を作ってもらう!」

「「「「学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタァア!!!」」」」

一斉に盛り上がる一同
相澤先生の他にエクトプラズム、セメントス、ミッドナイトが訓練に付き合ってくれるらしい

体育館γに集合する

「トレーニングの台所ランド、略してTDL!」

TDLはマズいだろうと呆れているとセメントスが地形を作り始めた

「ここは俺考案の施設、生徒1人1人に合わせた地形や物を用意できる、台所ってのはそういう意味だよ」

なるほど、確かに効率的だし合宿中もピクシーボブが似たようなことをしてくれたおかげで捗っていた気がする
と、その時飯田くんが挙手をした

「質問をお許し下さい!何故仮免許の取得に必殺技が必要なのか意図をお聞かせ願います!!」

確かに仮免取得と必殺技考案は結びつかない

「順を追って話すよ、落ち着け
ヒーローとは事件、事故、天災、人災、あらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事だ
取得試験では当然その適性を見られることになる
情報力、判断力、機動力、戦闘力、他にもコミュニケーション能力、魅力、統率力など多くの適性を毎年違う試験内容で試される」

「その中でも戦闘力はこれからのヒーローにとって極めて重視される項目となります
備えあれば憂いなし!技の有無は合否に大きく影響する」

「状況に左右されることなく安定行動を取れればそれは高い戦闘力を有していることになるんだよ」

相澤先生、ミッドナイト、セメントスの説明に納得がいった

「技ハ必ズシモ攻撃デアル必要ハ無イ、例エバ…飯田クンノ"レシプロバースト"
一時的ナ超速移動、ソレ自体ガ脅威デアル為必殺技ト呼ブニ値スル」

「アレ必殺技で良いのか…!」

「なるほど、自分の中にこれさえやれば有利、勝てるって型をつくろうって話か」

「そ!先日大活躍したシンリンカムイの"ウルシ鎖牢"なんか模範的な必殺技よ、わかりやすいよね」

必殺技、私の個性はよくも悪くも大掛かりで汎用性も高いので考えたことがなかった

「中断されてしまった合宿での個性伸ばしはこの必殺技を作り上げる為のプロセスだった
つまりこれから後期始業まで…残り10日余りの夏休みは個性を伸ばしつつ必殺技を編み出す圧縮訓練となる!
尚、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も並行して考えていくように
プルスウルトラの精神で乗り越えろ、準備はいいか?」

そう告げた相澤先生にクラスみんなが頷いた





必殺技を考案しては先生達に助言を受け改良していく
そんな日々が続いて4日目が終了した晩

お風呂上がりに共同スペースで女子メンバーで会話する

「フヘエエエ、毎日大変だあ…」

「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」

「あと一週間もないですわ」

毎日くたくたになるまで訓練し、寮に帰って休息をとるの繰り返し
夏休みが終わっていくので寂しくもあるが仮免が取れなかった時のことを考えると恐ろしいので頑張るしかない

「ヤオモモは必殺技どう?」

「うーん、やりたいことはあるのですがまだ体が追いつかないので少しでも個性を伸ばしておく必要がありますわ」

「梅雨ちゃんは?」

「私はよりカエルらしい技が完成しつつあるわ、きっと透ちゃんもびっくりよ」

みんなの進捗状況を問う透ちゃん

「唄ちゃんは?」

「そうだねー…1つは完成したけど、もう1つがなかなか上手くいかなくて」

「もう完成してるんだ!私は間に合うかわかんないなあ」

既に1つ完成してると言う唄ちゃんはやっぱりすごい
それに比べて私はがっくしと肩を落とし項垂れる

落ち込んでる暇はないと顔を上げるとお茶子ちゃんがぼーっとしているのが見えた

「お茶子ちゃん?」

つんと突いた梅雨ちゃんにびっくりしたのかお茶子ちゃんがビクッ!と肩を揺らす

「お疲れのようね」

「いやいやいや!疲れてなんかいられへん、まだまだこっから!
…のはずなんだけど、何だろうねえ…最近ムダに心が騒つくんが多くてねえ」

「「恋だ」」

三奈ちゃんと唄ちゃんがハモったそれに、お茶子ちゃんは顔を真っ赤にしながら「ギョ」という声を出した

「な、何!?故意!?知らん知らん!」

「緑谷か飯田!?一緒にいること多いよねえ!」

「チャウワチャウワ!!」

あわあわしているお茶子ちゃんは個性を使って宙に浮く
あまりにもわかりやすい動揺っぷりに三奈ちゃんとニッと笑った唄ちゃん
いつもは自分が質問攻めされる側なのでお茶子ちゃんに哀れみの目を向けてしまう

「誰ー!?どっち!?誰なのー!?」

「自白した方が罪軽くなるんだよ」

「言っちゃえ言っちゃえー!」

わいわいと盛り上がる三奈ちゃん、響香ちゃん、透ちゃん、唄ちゃんの4人

「違うよ本当に!私そういうの本当…わからんし…」

おろおろしているお茶子ちゃんを見かねた梅雨ちゃんが助け舟を出す

「無理に詮索するのは良くないわ」

「ええ、それより明日も早いですしもうオヤスミしましょう」

「そうだね」

梅雨ちゃんと百ちゃんに賛同するけれど三奈ちゃんは頬を膨らませる

「ええー!やだもっと聞きたいー!!何でもない話でも強引に恋愛に結びつけたいー!!!」

「恋愛の話なら雫がいるでしょう」

突然矛先がこちらに向いてギョッとする
百ちゃん何てことを

「え」

「ほんとじゃん!!!」

ぱああっと顔を明るくした三奈ちゃんが詰め寄ってきた
その間に部屋へ戻ってしまう百ちゃんに恨めしげな目を向けたけどスルーされる

「(もう!百ちゃんのばかー!!)」









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