ヒロアカaqua


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PM5:20


ようやく森の出口が見えた頃、空は既に夕暮れに染まっており、3時間ではなかったその試練にA組一同満身創痍でたどり着く
私も手足の先が痺れてるし、途中で出くわした普通の虫に発狂したのが計算外だった

「(虫は駄目、ほんっっとに駄目!!!)」

ぞろぞろと森から出て施設に辿りつくとマンダレイ、ピクシーボブ、先生、それに例の男の子がいた

「何が3時間ですか…」

「悪いね私たちならって意味、アレ」

「実力差自慢の為か…」

「ねこねこねこ…でも正直もっとかかると思ってた
私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった、いいよ君ら…特にそこ6人」

ピクシーボブが指差したのは最初に飛び出した面々

「躊躇の無さは経験値によるものかしらん?3年後が楽しみ!ツバつけとこー!!!」

男子メンバーに目星をつけたピクシーボブ
マンダレイ曰く適齢期で焦ってるらしい

「ずっと気になってたんですが、その子はどなたかのお子さんですか?」

「ああ違う、この子は私の従甥だよ、洸汰!ホラ挨拶しな、1週間一緒に過ごすんだから」

マンダレイが呼んで洸汰くんが歩み寄ってくる

「あ、えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷、よろしくね」

手を差し伸べた緑谷くんの急所を狙って叩き込まれた洸汰くんの一撃にクラスの男子一同が青ざめた

「緑谷くん!おのれ従甥!何故緑谷くんの陰嚢を!!」

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」

「つるむ!!?いくつだ君!!」

その様子に焦凍くんと顔を見合わせてから爆豪くんを見る

「マセガキ」

「おまえに似てねえか?」

「思った」

「そっくり」

ハッと笑っていた爆豪くんにそう告げた焦凍くんと私と唄ちゃん
キッと目を釣り上げた爆豪くんがこっちを見た

「あ?似てねえよ!つかてめぇ喋ってんじゃねェぞ舐めプ野郎!」

「悪い」

「テメーもだ泡女!!」

「ごめんごめん」

泡女って何だと思うけれど爆豪くんは他人の名前を呼ばないので諦める
そんなやりとりを見ていた相澤先生は呆れたように告げた

「茶番はいいバスから荷物降ろせ
部屋に荷物を運んだら食堂にて夕食、その後入浴で就寝だ
本格的なスケジュールは明日からだ、さァ早くしろ」

部屋は女子みんなで一部屋
8人なので特に問題なく使わせていただく

食堂へ向かえばそこには豪勢な料理の数々

「「いただきまーす!」」

疲労のせいで大食いモードの私の隣で唄ちゃんもぱくぱくと食べ進める
染み渡る美味しさに涙が出そうになった
最近こうやってお腹が空くことが多いからなあ

「雫ちゃんそれとって」

「はい」

唄ちゃんに言われたとおり唐揚げをよそい皿を手渡す
すると私がほしいなと思っていたサラダを唄ちゃんはよそってくれていてそれを受け取った

「お前ら熟年夫婦かよ」

目の前にいた切島くんにそう言われて、確かに何も言わないでも意思疎通ができているのは夫婦っぽいかもしれないとわざとらしく2人で抱きついた

「私たち」

「結婚しました」

疲労故のふざけたテンション
それを見てゲラゲラ笑う切島くんも相当疲れてると思う

食べ終わってからはお風呂
女子みんなでやってきたけど温泉があるなんて最高すぎる

「気持ちいいねえ」

「ほんと、ぽかぽかー」

疲れがとれるーとほのぼのしていると「壁は超える為にある!"Plus Ultra"!!!!」とかいう叫び声
また峰田くんかと呆れつつ男湯と女湯の間にある水蒸気で壁を作ろうとした
けれど先に現れたのは洸汰くん

「ヒーロー以前にヒトのあれこれから学び直せ」

「くそガキィイイイイ!!!」

峰田くんを対処してくれた洸汰くんにホッとする

「やっぱり峰田ちゃんサイテーね」

「ありがと洸汰くーん!」

こちらを見た洸汰くんが真っ赤になってバランスを崩した

「危ない!」

そのことに慌ててシャボン玉を作るけれど向こう側が見えないので慌ててしまう

「洸汰くん大丈夫?!」

「うん、気を失ってるみたいだけど…マンダレイのところに連れてってくる!」

向こう側から聞こえた緑谷くんの声に安堵した
打ち所が悪かったりしたら大変だ
緑谷くんへ唄ちゃんが「よろしくねー!」と声を返す

お風呂上がり、疲れた体で布団に入ればすぐに睡魔が襲ってきた私たちは熟睡だった












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