ヒロアカaqua


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非常階段を登り続ける一同
メリッサさん曰く最上階は200階

80階にたどり着いた時、上へと続く階段へのシャッターが下りていることに気が付き立ち止まる

「どうする、壊すか?」

「そんなことしたら警備システムが反応してヴィランに気付かれるわ」

万事休すか、そう思った時
峰田くんが80階の内部に入る扉のロックを開けてしまった

「ダメ!!!」

メリッサさんの叫び虚しく、扉は開く
これでヴィランは私たちに気がついた、そう悟り急いで80階内部を駆け抜ける

「他に上に行く方法は?」

「反対側に同じ構造の非常階段があるわ!」

「急ぐぞ!」

と、その時前後のシャッターが閉まり始める
完全に閉じ込めるつもりだと察して冷や汗が伝った

前方の締まりかけているシャッターの向こうには横へと続く別の扉が見える

「轟くん!海色くん!」

飯田くんの声に焦凍くんと同時に氷結を繰り出してシャッターが閉まるのを阻止した
その隙間から駆けていった飯田くんが扉をブチ壊す

「この中を突っ切ろう!」

扉をくぐればそこは植物生茂る空間
個性の影響を受けた植物を研究する植物プラントらしい

「待って!」

唄ちゃんの声が聞こえたので急いで足を止める

「エレベーターが上がってきてる!」

彼女の言う通り徐々に上昇している目の前のエレベーター
じきに80階まで到達するだろう

隠れてやり過ごすことにするけれど、下りてきたヴィランは二名
完全に私たちのことがバレているようで近づいてくる
必要な時は戦闘をするしかない、そう思って息を殺した

「見つけたぞクソガキ共!」

見つかった

緊張が走ったのも束の間

「ああ?今なんつったテメェ」

その声に唄ちゃんがビクッと反応した
そりゃそうだろう、そこにいるのは爆豪くんと切島くんの2人
どうしてこんなところにいるんだと思うけれど今はそれどころじゃない

「お前らここで何をしている」

「そんなの俺が聞き「ここは俺に任せろ!な?」

爆豪くんを制した切島くんが前に出た

「あのー俺ら道に迷ってしまって、レセプション会場ってどこに行けば」

「見えすいた嘘をついてんじゃねぇぞ!!!」

攻撃を繰り出したヴィラン
切島くんに直撃するかに見えたそれは氷結によって阻まれた

「この個性は」

「轟!?」

切島くんをかばった焦凍くん
しかしヴィランも一筋縄じゃいかないようで氷を砕く音が聞こえてくる

「チッ…俺たちで時間を稼ぐ、上に行く道を探せ!」

私たちの足元を囲うように氷柱が作られデッキまで押し上げられた

「焦凍くん!?」

「いいから行け!ここを片付けたらすぐに追いかける!」

「っ…わかった!」

デッキを伝い先ほどと反対側の通路に出る
しかしやはりこちらもシャッターが降りてしまっていた

「メリッサさん、あの天井…扉みたいなものが見えませんか?あそこ!」

「認証システムのメンテナンスルーム」

「あの構造なら非常用のはしごがあるのでは?」

「確かに手動式のがあるけれど、中からしかあけることはできないわ!」

それを見た百ちゃんが個性で爆弾を生み出し通風口を爆破した
通風口を伝って外壁沿いに上の階に行き、上にも同じものがあれば中に入れるということだろう
ただ通風口は狭い、そして外壁を伝うことができるのは…

一同の目が峰田くんへ向けられる

「え?も、もしかしてオイラか!?」

「お願い峰田くん!」

「アンタにしかできないんだよ!」

「バカバカ!ここ何階だと思ってんだよ!!」

80階、風も強いだろうし絶対怖いとは思う

「みんなを助けた功労者になったらインタビューとかされて女子に人気間違いなしだぞー」

「「「「お願い!」」」」

唄ちゃん、お茶子ちゃん、響香ちゃんと共に懇願すれば峰田くんはなんとかやってくれた
おかげでメンテナンスルームへと続く非常用はしごを登りきり上の階へと急ぐ

100階を超えてからシャッターが開きっぱなしで明らかに誘い込まれているこの状況
緊張が漂う中120階のそこに一人のヴィランが待ち構えていた

「オイオイあいつらこんなに取りこぼしたのかよ
これだから新人はいやなんだよ」

ゆっくりとこちらへ近づいてくる男に私と唄ちゃんが前に出た
幸いシャッターは開いているので向こう側へは回り込めるだろう
ここを誰かが抑えれば

「唄ちゃん!雫ちゃん!」

「みんな先に行って!」

「でも!」

焦る緑谷くんの声
けれど私たちが今すべきはメリッサさんを200階まで連れて行くこと
腕を一振りしてヴィランを拘束する檻を形成する
水分が少ないせいで戦いづらい上に走ってきたせいで体内の水分も限界が近い

「(それでも戦わなきゃいけない時はある!)」

「早く!行って!!」

唄ちゃんの声に再び上を目指し始めた面々
残った私達を見たヴィランが面倒そうに肩を回した

「ガキ2人、しかも女…ナメがって」

氷の檻を掴んだ男の体が変形していく
みるみる大きくなったその姿は簡単に檻を破壊した

「どっちから殺してほしい?」

巨大なタコになった男に構えた










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