ヒロアカaqua


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騒動は落ち着いたけれど、爆豪くんや焦凍くんを野放しにすると危険だというお達しが出てしまいお目付役に任命された私と唄ちゃん

チラッと隣にいる焦凍くんを見ると「何だ」と聞かれる

「うーん、焦凍くんも爆豪くんと同じ括りなんだなと思って」

天然ではあるけど他人様に迷惑はかけないから安心だと思うんだけど…
というか女子の面々のあの顔、絶対楽しんでて任命したやつだ

「おい」

「ん?」

「落ちるぞ」

冷静にそう告げた焦凍くん
直後、浮遊感に包まれて凄まじい勢いで急降下していく乗り物

「わー!早い早い!!」

パビリオン内のアトラクションにジェットコースターがあったので乗っています
キャッキャと楽しむ私と無表情の焦凍くん
傍から見たらなんだこの2人と言われかねない光景だけど気にせずはしゃぐ

降りてから焦凍くんを見れば少しだけ顔色が悪い

「…もしかして怖かった?」

「少しビビっただけだ」

「…ふーん」

そっか、焦凍くん意外とこういうところあるのか
絶叫が無理ってわけじゃないだろうけど得意でもないらしい

「あ、ねえ次あれ行きたい!無重力体験だって!」

「麗日に頼めばいいだろ」

「いいから!早く!」

せっかくなんだし楽しもうと腕を引けば、焦凍くんも観念したように着いてきてくれる
それが嬉しくてにまにましてると不思議そうな顔をされるので誤魔化す

「(ちょっとしたデートみたいでもしかして役得…?)」

「なんか久しぶりだな」

「そうだね、夏休みに入ってからずっと会ってなかったし…2週間ぶりくらいかな?」

その間ずっと家で個性の特訓に明け暮れていたんだけど、焦凍くんも同じなのかな
家にはエンデヴァーもいるしどんな感じなんだろう

「(それにお母さんのことも…)」

病院へ面会には行っていると聞いた、けれどその先どうなっているのかは聞いていない

「林間合宿までの間、どこかでうちに来れるか?」

「…え?」

何と言われたのか分からなくて尋ね返す
すると焦凍くんは「姉さんに紹介したい」と告げる
前に授業参観の時に会いはしたけどちゃんと挨拶はできてない焦凍くんのお姉さんの冬美さん

「うん、挨拶させてほしいな」

踏み込んできていい、そう言われているようで何だかむず痒い
けれどそれは焦凍くんも同じだろう、さっきよりも足早になったのがその証拠だ






その後色々見て回ったけれどもう夕方
18:00でエキスポは閉園とのことで、私たちもホテルへ向かう
先ほど飯田くんから連絡があったけれどレセプションパーティがあるので正装に着替えないといけない
18:30にセントラルタワー7番ロビーに集合とのことなので急ぐ

「あ、雫ちゃんおかえりー」

部屋に入れば既にドレスに着替えた唄ちゃんがいる
赤いドレスに結った髪、いつも可愛いけれどドレス姿はもっと可愛い

「唄ちゃん似合ってるね!」

「本当?何だか着られてる感じで恥ずかしいなあ」

「そんなことないよ」

照れる唄ちゃんに微笑んでから私も持ってきたドレスに着替えた
髪を簡単に結って鏡の前でくるりを回って変なところがないか確認する

「(うん、大丈夫そう)」

「雫ちゃん大人っぽいね!」

「そうかな?中身は案外子供だよ」

「あ、それは否定しない」

2人してにししと笑ってから百ちゃんに連絡を入れる

「あ、百ちゃん?こっちは準備できたよ」

『それが…』

「?」

何やら言い淀む百ちゃんにどうしたんだと思った唄ちゃんと私は顔を見合わせる
その後しばらくしてからホテルのロビーに現れた百ちゃん、お茶子ちゃん、響香ちゃん
みんなドレス姿がとても可愛い

「ウチやっぱ無理…」

先ほど言い淀んでいたのは響香ちゃんが恥ずかしがってパーティに行くのを躊躇っているかららしい

「とっても似合ってるよ!」

「本当!響香ちゃんらしいロックな感じもあって素敵だね!」

唄ちゃんと一緒に褒めれば響香ちゃんが「そう…かな…?」とその気になる
本当に可愛いから自信持ってほしいけど、恥ずかしいって思っちゃう気持ちは分からなくもない
私もお父さんにパーティに連れてってもらった経験がなければ恥ずかしかっただろうし

「大変!時間を過ぎていますわ!」

集合時間を過ぎていることに気がついて急いで会場へ向かう
エレベーターに乗って上の階へ向かえば先に到着していた男子メンバーの視線がこちらに向いた

「ごめんね、遅れちゃった」

「「うおおおお!!!!」」

何やら盛り上がっている上鳴くんと峰田くんに首を傾げる
いつでもあの2人は元気だな

ふと焦凍くんと目があったので手を振れば思いっきり目を逸らされた
え、何で、やっぱりどこか変だったりする?

と、上がってきたエレベーターからパタパタと駆けてくるのはメリッサさん

「デクくんたちまだここにいたの?パーティはじまってるわよ」

「「真打登場ー!!!!!」」

メリッサさんの姿に感激している上鳴くんと峰田くんの2人だけど、正直私も見惚れてしまうほど美人だ

飯田くんはまだ来ていない爆豪くんと切島くんに連絡を試みたらしい、けれど繋がらないとか
あの2人らしいなと思っていたその時、警報音が鳴り響いた










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