ヒロアカaqua


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7月下旬

夏休みに入っていた私たち雄英生は各々のんびりと過ごしていた

「雫ー、手紙が届いてるわよー」

お母さんのその声にリビングへ降りていくと、綺麗な封筒とInvitationの文字

「何これ?」

不思議に思うけれど私宛で間違いないその封筒を開けてみればギルティルージュからのようだ
内容を読んでいくと巨大人工移動都市I・アイランドで開催されているI・エキスポへの招待状
世界中の科学研究者たちの英知が集まったその島で個性やヒーローアイテムの研究成果を展示しているらしい

ギルティルージュが招待されたが多忙のため行けないとのことで代わりに期末テストで合格をもぎ取った私と唄ちゃんに行ってきてほしいとのこと

と、その時着信がありスマホを見ると唄ちゃんの文字

「もしもし」

『もしもし、雫ちゃん?招待状届いた?!』

「届いた!せっかくだし行こうよ」

『うん!』

こうして私たちは林間合宿前の旅行が決定した






「「ついたー!」」

入国審査を終えて空港からでるとそこに広がるのは最先端の街並み
このI・アイランドは進んだ研究を取り扱うが故にヴィランから狙われる
研究成果・研究者双方を守るために移動しているというわけらしい

「てゆーかコスチュームの必要あったのかな?
ここの警備システムタルタロスくらい盤石なんでしょ?」

そう言った唄ちゃんのコスチュームは前までのものと異なり露出控えめ
チャイナ風の服にロングブーツ、頭には耳のような形の飾りも付いていてとても可愛らしい
期末試験を終えたギルティルージュがプレゼントしたそうで、これを受け取った唄ちゃんは恐る恐る中身を確認したとか

「念には念をってことじゃないかな?
新しいコスチュームとっても似合ってるよ!」

「ありがとう!これであのヒラヒラから卒業出来たんだと思うと感動しちゃう」

よっぽど嫌だったのか力強い言葉に苦笑いする

辺りを見渡せばさすが最先端
空飛ぶボール状の車、水を自在に操る空中アート
ここでは個性の仕様が認められているが故のその光景にわくわくしてしまう

「ホテルに荷物を置いたら色々回ってみよっか!」

「うん!!」

と言ったのが数分前
さすがギルティルージュ、予約されていたホテルは最高級で周りにはセレブばかり

「「(ば、場違い感がすごい)」」

フロントまで行くことすら気が引けてどうしようかと悩んでいると、「雫?」と声をかけられ振り向く
そこにいたのは百ちゃん

「ヤオモモ!?」

「百ちゃん!?」

それに百ちゃんの後ろにいたのはお茶子ちゃんと響香ちゃん

「えっ、な、どうして」

「父がI・エキスポのスポンサー企業の株主で招待されましたの」

「2人がI・エキスポ行くって言ってたんが羨ましくて女子みんなで話してたんよ」

「そしたらヤオモモがチケットを譲ってくれたってわけ」

聞くところによると他の女子もこの島には来ているらしい
ただ今日はプレオープンのため招待状をもらっている人しか回れない、だから3人で回ることにした様子

「同じホテルだったんだね、嬉しい!」

「すぐ荷物置いてくるから一緒に回ってもいい?」

「勿論!」

思わぬ合流で5人でひと塊りになってI・エキスポを巡る

「あ、これすごい!」

「こっちも!」

どれもヒーロー活動に役立ちそうなものばかりで目を輝かせていると、唄ちゃんとお茶子ちゃんがハッと何かに反応していた

「どうしたの?」

その視線を追えばそこには金髪美女と2人で楽しんでいる様子の緑谷くんの姿

「あれ、緑谷くん?」

ぽかんとしていると、私以外のメンバーがサッと隠れて2人の様子を見ている
響香ちゃんに至ってはイヤホンジャックで盗み聞きしているので本格的だ

「(緑谷くんご愁傷様)」

その後結局話しかけることにしたんだけれど、緑谷くんはかなり慌てている様子だった








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