ヒロアカaqua


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期末実技試験の翌日

空気が重い4名
上鳴くん、砂糖くん、三奈ちゃん、切島くん

どうやら実技で不合格だったらしい

「みんな…土産話っひぐ…楽しみに…うう、してるっ…から!!」

泣いてる三奈ちゃんに唄ちゃんと顔を見合わせる
なんて声をかければ良いのか全く見当がつかない

「まっ、まだわかんないよ!どんでん返しがあるかもしれないよ!」

「緑谷それ口にしたらなくなるパターンだ」

励ましに行った緑谷くん
けれど上鳴くんはクワッと目を見開いて叫んだ

「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!!」

「落ち着けよ、長え
わかんねえのは俺もさ、峰田のおかげでクリアはしたけど寝てただけだ
とにかく採点基準が明かされてない以上は」

「同情するならなんかもう色々くれ!!」

他のチームがどんな風にクリアしたのか知らないけれど、瀬呂くんはミッドナイトに眠らされてしまいその間に峰田くんがクリアしたらしい
あのミッドナイトを相手に1人で勝った峰田くんのポテンシャルすごいな

「予鈴が鳴ったら席につけ」

スパーンと勢いよく開いた扉
相澤先生の登場に慌てて席につき静まり返る一同

「おはよう、今回の期末テストだが残念ながら赤点が出た
したがって林間合宿は全員行きます」

「「「「どんでんがえしだあ!!!!」」」」

補習組の感激の叫び
フラグは折られてなかったらしい、よかった

「筆記の方はゼロ、実技で切島、上鳴、芦戸、砂糖、あと瀬呂が赤点だ
今回の試験、我々ヴィラン側は生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた
でなければ課題云々の前に詰む奴ばかりだったろうからな」

「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」

「追い込む為さ、そもそも林間合宿は強化合宿だ
赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん、合理的虚偽ってやつさ」

「「「「ゴーリテキキョギィイー!!!」」」」

相澤先生それ好きだなあと思っていると、前の席の飯田くんが挙手した

「またしてやられた…さすが雄英だ!
しかし!二度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかと!!」

飯田くんらしくてとてもいいと思うけど、今この場では言わない方がよかったんじゃないかと苦笑い
後ろの席のお茶子ちゃんも「わあ…水差す、飯田くん」って言葉を漏らした

「確かにな省みるよ、ただ全部嘘ってわけじゃない
赤点は赤点だ、おまえらには別途に補習時間を設けてる
ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツイからな、じゃあ合宿のしおりを配るから後ろに回してけ」

個性強化合宿っていうだけあってかなりハードそうなそれのあとに座学って普通にキツいと思う
さすが雄英、スパルタだ






翌日

木椰区ショッピングモールにて合宿の買い出しにきたA組一同
焦凍くんと爆豪くんは不参加だけれど、他はみんな揃っている
買うものもバラバラだし自由行動をしようということで唄ちゃんと行動しパパッと下着やらを買ってからカフェに入った

「あ、これ美味しいー」

嬉しそうな声を漏らした唄ちゃん
久しぶりのゆったりした時間を過ごしていると、その視線がこちらを向いていたので首を傾げる

「この前私のこと挑発した人と同一人物に思えないよねえ」

期末試験の際の挑発
あえてそうしたのもあるし、本音を出したのもあるけれど唄ちゃんはどう思っただろうか

「幻滅した?」

「まさか、どんな雫ちゃんでも大好きなのは変わらないよ」

いつもの人懐っこい笑顔を浮かべた唄ちゃんに頬が緩む

「私も唄ちゃんが大好き」

あの試験以来今までのようなちょっとした距離はなくなって、お互いずけずけと踏み込むようになっていた
唄ちゃんが昔誘拐されたこと、幼馴染2人とのことも聞いたし、私が焦凍くんの許嫁になった話や、家のことも話す
勿論保須のことは言えないけれど

全部が全部話す必要はないのかもしれないけれど唄ちゃんには知っててほしい
唄ちゃんも同じ気持ちのようで沢山会話をした

そうこうしている内に何やらショッピングモールが騒がしいことに気が付く
合流したお茶子ちゃんに聞いた話だと緑谷くんが死柄木と遭遇
ショッピングモールは一時的に閉鎖、区内のヒーローと警察が緊急捜査にあたるも結局見つからなかったらしい







「とまあそんなことがあってヴィランの動きを警戒し、例年使わせて頂いてる合宿先を急遽キャンセル
行き先は当日まで明かさない運びとなった」

週明けのHRでそう告げた相澤先生
行き先は親にも伝わっているし、どこで情報が漏れるかもわからない
そのための措置だろう

「てめェ、骨折してでも殺しとけよ」

緑谷くんにそう告げた爆豪くん
ムッとした唄ちゃんが爆豪くんに突っかかる

「ちょっと勝己、出久がどんな状況か聞いてなかったの?
そもそも公共の場で個性は原則禁止なの知らない?」

「知っとるわ!ナメとんか!!
とりあえず骨折れろ!」

「かっちゃん…」

めちゃくちゃな言い分の爆豪くん
ちょっとした名物になりつつある幼馴染トリオのやりとりをみんなして眺める
相澤先生は無表情だけれど

と、その時スパァアアアンと唄ちゃんが振り下ろした教科書が爆豪くんにクリーンヒット
クラスの何人かが吹き出したけど私は遠い目をしてしまった

「出久、気にしなくていいからね」

「こんのクソ鳥がァアア!!!」

ブチ切れた爆豪くんが個性を使おうとするけど、相澤先生がカッと目を見開く
個性を使って鎮められた3名

「そこの幼馴染トリオ、お前らしばらく口塞いでろ!」

叱られている姿を見てやれやれという思いと、いつもの光景にどこかホッとした

きっと林間合宿もたのしいだろう
そう思っていた私はまだ知らない

この夏何が起こって、自分がどうなるのかを










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