その日のヒーロー基礎学

やってきたのは運動場γ
この学校は運動場いくつあるんだと思ってしまうが、雄英高校というだけで片付けられてしまう
オールマイトを前に集合する一同

「ハイ、私が来た
ってな感じでやっていくわけだけどもねハイ、ヒーロー基礎学ね！
久しぶりだ少年少女！元気か！？」

「ヌルッと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

久しぶりのオールマイトを前に口々の思うことをそのまま声に出す一同に苦笑いしてしまう

「職場体験後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ！」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか！？」

挙手をした飯田くん
元気そうで安心するけど怪我がまだ完治していないので休んだ方がいいと思う

「あそこは災害時の訓練になるからな、私は何て言ったかな？そうレース！！
ここは運動場γ！複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯！5人2組、6人2組の4チームに分かれて1組ずつ訓練を行う！
私がどこかで救難信号を出したら街外から一斉スタート！誰が一番に私を助けに来てくれるかの競争だ！！
もちろん建物の被害は最小限にな！」

そう言って爆豪くんに指を差す
名指しが不服なのか爆豪くんはいつも通りの怒り顔だ

「指差すなよ」

始めの組は出久、尾白くん、飯田くん、三奈ちゃん、瀬呂くんの5人
残りのメンバーはモニターを前に観覧する

「飯田まだ完治してないんだろ、見学すりゃいいのに…」

本当にその通り、一見元気そうに見えるけれど飯田くんが一番重症だった
何があったのかは4人だけの秘密なので口外できないが、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際だったんだ

「クラスでも機動力良い奴が固まったな」

「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」

「確かにぶっちゃけあいつの評価ってまだ定まんないんだよね」

「何か成す度大怪我してますからね」

各々誰がトップになるのか予想していく

「誰が1位だと思う？」

隣にいる唄ちゃんにそう問えば少し考えた後にモニターに映る緑谷くんを見た

「出久かな、何となくだけど」

唄ちゃんは幼馴染2人のことが本当に好きだ
けれど唄ちゃんのその予想を聞いた爆豪くんは後ろで舌打ちをする

「（爆豪くんって意外とわかりやすいんだなあ）」

唄ちゃんのことが好きなんだろう彼が微笑ましい

開始早々、対空能力の高い瀬呂くんが上に飛び上がる
けれどそれと同じように出久も飛び跳ねるように移動していた

「わあっ…！」

「すごい…！ピョンピョン…なんかまるで…」

保須での戦闘中も緑谷くんは何やら今まで以上の機動力を身につけていた
あの時、緑色の閃光が走ったように見えた彼の動きは個性によるものだとは思うけれどまだ使いこなせていない様子
身軽に飛び跳ねる緑谷くんの動きはまるで爆豪くんそっくりで、仲が悪くても結局2人も幼馴染なんだと思わされた
結局その後瀬呂くんが1位になったけれど、緑谷くんの変化に触発されてクラスの士気は高まり残りの3組も白熱した戦いを繰り広げた

授業終わり、更衣室で制服に着替えていると百ちゃんが唄ちゃんに話しかけた

「先ほどの舞羽さんの動き、今までの飛ぶというよりもパルクールに近いものを感じましたわ」

「あ、わかる？そんなに極めたわけじゃないんだけどね、個性に頼った動きはやめようって思って修行中なの」

「それもギルティルージュ直伝ですの？」

「そうだよ、初歩の初歩を齧ったくらいだから今から練習しなきゃだけど」

唄ちゃんはどちらかというと個性ありきの戦い方をすることが多い
けれどこの職場体験で基礎の部分、体術を学んだらしい

「（私も近接を避けがちだから鍛えないと）」

昔から行ってきた訓練の一環でそれなりに武術は嗜んでるけれどあんまり使う機会がない
遠距離しかできないと思われてそうだけど結構近接も好きだったりはする

と、その時

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ！！」

とんでもなく卑猥なことを叫ぶ峰田くんの声が聞こえてギョッとした
ここ女子更衣室だよね？と怪訝がると、壁に穴が空いている
男子更衣室へつながっているようで、それを峰田くんが見つけたらしい

「（この穴を空けた人の執念がすごい）」

「八百万のヤオヨロッパイ！芦戸の腰付き！葉隠の浮かぶ下着！
麗日のうららかボディに蛙吹の意外おっぱい！海色の色気あるデコルテ！
そして何より舞羽の御御足ィイイイ！！！！！」

と、直後
響香ちゃんのイヤホンジャックが穴越しに峰田くんへ刺さった
そこから爆音が伝わったようで壁の向こう側から悲鳴が上がる

「ありがとう響香ちゃん」

「何て卑劣…！すぐに塞いでしまいましょう！」

「（ウチだけ何も言われてなかったな）」

何故かしょんぼりしている響香ちゃん
鏡に映るデコルテを確認するけど色気…あるか？と訝しむ






その後、お昼ご飯を食べ終え午後のHR

「えー…そろそろ夏休みも近いがもちろん君らが30日間、1ヶ月休める道理はない」

相澤先生のその言葉にざわつくクラス一同

「夏休み林間合宿やるぞ」

「「「「知ってたよーーやったーーー！！！」」」」

わいわい盛り上がるクラス中に私もわくわくしてしまう

「ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は…学校で補習地獄だ」

「「みんな頑張ろーぜ！！！」」

必死な形相の切島くんと上鳴くん、どうやら2人とも勉強は苦手らしい

幸い私は勉強はできる方なので筆記は問題ないと思う

「（となるとこの期間は個性強化に努めようかな）」









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