ヒロアカaqua


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昨日は久しぶりに自宅で過ごし、今日から学校
朝ごはんを食べようと食卓につくと両親が既にそこにいた

「雫もう怪我は平気?」

「うん、だいぶましだよ
肩も後遺症とかはないし大丈夫」

「そう、無茶しないでね」

そう告げたお母さんを安心させるために頷いた
傍にいたお父さんも不安そうにこちらを見ている

「あのね、私ずっと2人の前で良い子でいようって努力してきたの」

「雫…」

「でもこれからはちょっとずつそういうのやめていこうって…どう、かな?」

チラッと両親の顔色を窺えば、2人とも柔らかい笑みを浮かべていた

「そんなこと気にしなくて良い、雫はどんな雫でも父さんの子だ」

「そうよ、我儘言ってもいいの
迷惑かけてもいい、喧嘩だってしていい…だって私たちは家族なんだから」

ぎゅっと抱きしめられて涙が滲む
こんなに簡単なことだったのに勝手に完璧でいなきゃって思い込んでたのは私だけだった

受け入れてくれる家族がいる、それなら私も本音を隠したりせずちゃんと向き合おう






駅に着くと、そこには私を待っていた焦凍くんの姿

職場体験を終え、みんなが登校してくる今日
久しぶりの学校にわくわくしてしまう

「楽しみだね!」

「そうだな」

久しぶりに焦凍くんと2人になったからか、どこか落ち着かない

「なあ、雫」

「んー?」

「大切なもんの中に俺も入ってんのか?」

その問いかけに少し驚いたけれどすぐに微笑む

「当たり前でしょ」

それを聞いた焦凍くんは「そうか」とだけ告げて先を行く
いつもの日常、生きていたからこその光景

教室に着いて談笑していると唄ちゃんが入ってきた

「唄ちゃんおはよう!」

嬉しそうに振り返ってガバッと抱きついてきた唄ちゃんを受け止める

「雫ちゃん!会いたかったよー!」

1週間ぶりの唄ちゃんにでれでれしているとこちらへ近づいてくる足音が聞こえた

「唄テメェ!なんだこれ!!!」

その声に不機嫌そうに振り向いた唄ちゃん
そこにいた爆豪くんの髪の毛が8:2になっているのでギョッとする

「あはははは!何それ!ウケる!!!!」

「「アッハッハッ!マジか!マジか爆豪!」」

爆笑する唄ちゃん、瀬呂くん、切島くん
わなわな震えている爆豪くん

「笑うな!クセついちまって洗っても直んねえんだ!おい笑うな!ブッ殺すぞ!!!」

「やってみろよ8:2坊や!アッハハハハハ!!!!」

次の瞬間、爆破して髪型が戻った爆豪くんを他所に、唄ちゃんはその手元のスマホを盗み取った
スマホには"ギルティルージュ新作コスメ、雄英生と共に発表!"と書かれた記事
そしてギルティルージュと唄ちゃんの写真
ギルティルージュと言えばカリスマ的な美貌と演技力で女優業をかけ持ちするプロヒーローだ

「わあ、唄ちゃん綺麗!ギルティルージュのところに職場体験行ったの?」

「うん、楽しかったよ!」

ギルティルージュということで集まってきた女子のみんなと各々の職場体験がどうだったのかわいわい話していると、上鳴くんが声をあげた

「ま、1番変化というか大変だったのは…お前ら4人だな!」

「そうそう、ヒーロー殺し!」

「心配しましたわ」

「命あって何よりだぜマジでさ、エンデヴァーが救けてくれたんだってな!流石No.2だぜ!」

ちらりと焦凍くんを見ると表情を変えず頷いて「そうだな、救けられた」と答えた

「俺ニュースとか見たけどさ、ヒーロー殺しヴィラン連合とも繋がってたんだろ?
もしあんな恐ろしい奴がUSJ来てたらと思うとゾッとするよ」

「でもさあ、確かに怖えけどさ…尾白動画みた?
アレ見ると一本気っつーか、執念っつーか…かっこよくね?とか思っちゃわね?」

上鳴くんのその一言に緑谷くんが反応した

「ちょ、上鳴くん!」

「え?あっ…飯…ワリ!」

「いや…いいさ、確かに信念の男ではあった…クールだと思う人がいるのもわかる
ただ奴は信念の果てに粛清という手段を選んだ、どんな考えを持とうともそこだけは間違いなんだ
俺のような者をもうこれ以上出さぬためにも!!改めてヒーローへの道を俺は歩む!!!」

飯田くんの様子に焦凍くんと目配せする
この様子だと飯田くんは安心そうだ

「ところで雫ちゃん、ちょっと」

こっちこっちと呼ばれた先はお茶子ちゃんの机付近
つまり教室の後ろ側の入口付近

そこには待ってましたと言わんばかりに集まっている女子チーム

「(あ、嫌な予感)」

「1週間轟と一緒だったんだよね?!」

「どーなん?進展あった?!」

みんな最低限の気は遣ってるのか小声だけどここ教室ね
というかなんで私が焦凍くんのことを好きって知ってるのという問いかけに梅雨ちゃん曰く「見てたらわかるわ」とのこと

「それになんだか雫ちゃんも雰囲気が変わったように見えるわ」

その言葉に微笑む
自然体でいようと思ってまだ数日なのにすぐに変化に気がついてくれたみんなに嬉しい気持ちになる

「お、その顔はやっぱなんかあった?!」

「な、何も無いよ!」

許嫁ということは唄ちゃんと緑谷くんと飯田くんしか知らない
緑谷くんと飯田くんには口止めしているから大丈夫だろうけど

「(問題は唄ちゃん!!)」

キラキラした目でこちらをみてるから余計にたちが悪い
でも可愛いから絆される、くそう

「でも心なしか轟くんの目が優しい気がする」

「「「わかる」」」

「本当に何もないんだってばー!」

「「「えぇー」」」


完全におもちゃと化してる自分
その後相澤先生がやってくるまでこの攻防は続けられた










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